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GMOペパボ Research Memo(11):ストック型ビジネスは価格改定を実施(1)

発行済 2023-03-13 14:51
更新済 2023-03-13 15:01
© Reuters.
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*14:51JST GMOペパボ Research Memo(11):ストック型ビジネスは価格改定を実施(1) ■GMOペパボ (TYO:3633)の今後の見通し

2. 主要事業の見通し
(1) ホスティング事業
ホスティング事業は売上高で前期比4.0%増の5,659百万円、営業利益で同2.2%増の1,933百万円となる見通し。
各事業の施策として、「ロリポップ!」では電力料金の値上げ等に伴うコスト増を理由に2023年2月より価格改定を実施した。
契約期間が36カ月の長期契約分については従来価格を据え置いたが、その他のプランについてはすべて価格改定した※。
値上げ幅については各プランとも契約期間ごとに異なっているが、総じて短期契約ほど値上げ幅が大きくなる傾向となっている。
今回の値上げによって低価格プランを中心に解約が増加し、契約件数の減少傾向が続くことを想定している。
一方でハイスピードプランに注力することで顧客単価を引き上げ、若干の増収増益を目指す。
営業施策としては引き続き有力アフィリエイトサイトを活用した契約の獲得に加え、ホームページ制作プランやWordPress有料テーマ販売などについて法人/アフィリエイター向けの販促強化を推進する。


※12ヵ月契約の場合を見ると、エコノミープランが月額132円(税込)から198円、ライトプランが330円から418円、スタンダードプランが660円から770円、ハイスピードプランが825円から990円、エンタープライズプランが2,200円から2,365円にそれぞれ改定した。



「ムームードメイン」についても円安による仕入コスト増分をカバーするため、サービス維持調整費を導入する。
このため契約件数については微減となる可能性があるものの、顧客単価の上昇でカバーする格好となる。
営業施策としては、複数ドメインのバンドル販売やドメインAPI提供拡大による大口・法人需要の取り込みに注力する。
また、価値の高い中古ドメイン販売によるドメイン二次流通の強化も継続する方針だ。


(2) EC支援事業
EC支援事業は売上高で前期比6.7%減の2,654百万円、営業利益で同7.2%増の709百万円と減収増益を見込む。
このうち、「カラーミーショップ」については若干の増収、利益は横ばい水準で見ている。
契約件数はフリープランが増加し、有料プランが減少する傾向が続くものの、前期に引き続き顧客単価の上昇でカバーする格好となる。


新たな取り組みとして、上位顧客層の取り込みを目的としたプレミアムプランの提供を2023年1月より開始した。
同プランは月額利用料が39,600円(税込)と従来の最上位プランであったラージプラン(9,595円)の約4倍の水準となる。
サービスの特徴としては、ネットショップ運営の課題解決に向けた分析や提案などを行う「ECアドバイザー」や売上の最大化を支援する各種機能(会員ランク機能、予約販売機能、タグ管理for GTM)が付くほか、既存プランよりクレジットカード決済手数料が安価に設定されている※。
このため、月商200万円以上のショップでは運営コストを従来プランよりも低く抑えることが可能となる。
既に、既存顧客のなかからプレミアムプランに移行した顧客も出ているほか、大規模ECショップ運営事業者の新規取り込みが期待でき、2023年12月期の顧客単価上昇に寄与するものと考えられる。
同価格帯での競合サービスとしては、「MakeShop」や「Shopify」などが挙げられる。
「MakeShop」はGMOインターネットグループであるGMOメイクショップが提供しているが、料金プランはエンタープライズプランで月額55,000円(税込)となっており、提供する機能なども違いがあることから棲み分けは可能と見ている。
新規顧客の開拓にあたっては販売代理店などを活用していく。
新規顧客の獲得が順調に進めば、「カラーミーショップ」の成長に弾みがつく可能性もあり、今後の動向が注目される。
その他の施策としては、Amazon Payや決済プラン変更による店舗の利便性向上や、食品ECをはじめとした成長カテゴリーの顧客獲得に引き続き注力する方針だ。


※クレジットカードの決済手数料率は、スタンダード・ラージプランの4.0%~に対して、プレミアムプランは3.14%~に設定。



「SUZURI」については流通額の減少により減収が続くものの、前期に実施したテレビCM費用180百万円が無くなることで損益は改善する計画となっている。
EC支援事業の営業利益が前期比47百万円の増加見込みとなっており、「カラーミーショップ」を横ばい水準で想定していることから、「SUZURI」は47百万円程度の損益改善を見込んでいることになる。
前期は95百万円の損失だったため今期も若干の損失が続く計画だが、前期の第3四半期以降は若干ながら黒字に転じていることを考えれば、保守的な計画と見ることもできる。


同社では流通額の回復施策として、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」を2023年2月より利用可能とし、Amazonユーザーが「SUZURI」の商品を購入しやすくしたほか、デジタルコンテンツの取り扱いも開始した。
当初は11カテゴリー(イラスト、動画、音楽、3Dモデル等)を用意し、イラストレーターや音楽・動画クリエイター、写真家など多様なクリエイターに新たな活躍の場を提供していく。
デジタルコンテンツについては販売額の5.6%+22円を手数料収入として売上に計上する。


クリエイターが「SUZURI」でデジタルコンテンツを販売するメリットとしては、コンテンツをアップロードするだけで簡単に販売ができること、様々なフォーマット(音楽、動画、写真等)で自由に表現できること、1つのショップでデジタルコンテンツと一緒にグッズも作成・販売が可能なことが挙げられる。
例えばクリエイターは自身が作成したイラストの販売だけでなく、イラストを使用したTシャツなどのグッズの販売も可能となる。
成長が続くデジタルコンテンツを取り込むことで、「SUZURI」の流通額も再び成長軌道に戻ることが期待される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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