ポストコロナの環境下で成長していくのはどんな企業やサービスなのか。
緊急事態宣言の解除後、現在の環境の延長線上でも安定的に利益を伸ばしていけるのかどうか、投資家は企業を選別中だ。
今回のシリーズでは、ポストコロナで頭角を現しつつある注目すべき銘柄としてピアズ (T:7066)を取り上げる。
2005年の創業以来、同社は右肩上がりで成長を続けてきた。
直近の2020年9月期第2四半期の売上高は前年同期比180%の26.5憶円、営業利益が前年同期比116%の3.9憶円と過去最高を更新している。
競争と製品の移り変わりの激しい通信業界にあって、これは特筆すべきである。
端末一つとっても、ガラケーからスマートフォン、タブレットと刻々と変化する新商品や新サービスの知識習得、お客様に喜んでいただくための説明や提案、店舗の労働環境や販売員の意欲向上は常に解決すべき課題であった。
消費者保護、働き方改革、と業界の変遷に伴い課題も変化してきたが、同社はこうした変化に真正面から取り組んできた。
販売員に売り方を教える一方で、大手通信キャリアやメーカーに対して販売教育やマネジメントの改善の提案を行うことで、コンサルティング会社へと変貌してきた。
変化の激しい業界で鍛えられた「人づくり、組織づくり」のノウハウと、真に効果のある働き方の改革とは何かという現場主義から学んだ情報量、これら激しい変化への対応力,適応力は他社にはそう簡単には真似出来ない同社の強みと言える。
昨年秋以降、ピアズは「働き方改革」を更に進めた「働き方革新」というテーマを掲げ、これまでの通信業界へのコンサルティングから大きく事業ポートフォリオを変革してきている。
一つの軸が他業種・他業界への業容拡大であり、もう一方の軸がTech領域である。
同社はこれまで培ってきた現場の働き方を改革するノウハウを生かし、組織活性化プログラムを他業種にも展開、今年4月には更に他業界への組織コンサルティングを積極的に推進すべく専門の子会社OneColorsを設立した。
また、4月末、コロナウイルスの感染が拡大した局面では、モバイルオーダー決裁システムを開発・販売する子会社を立ち上げ、飲食業界向けに、客のスマートフォンから直接注文ができるセルフオーダーシステムを無料提供するキャンペーンを開始。
矢継早に、空室をリモートワーク空間に転用するシステムを提供する合弁会社を設立している。
今回のコロナ危機で白日の下にさらされたのは、日本政府や日本企業における「働き方改革」への取り組みの遅れだ。
コロナ以前から日本の労働力不足を課題として深刻に認識し「社会全体の働きがいの最適化を追求する」という大きなビジョンを掲げ、常に現場で「働き方革新」と「生産性向上」の課題に取り組んできた同社にとって、ポストコロナの状況はようやく時代が追いついてきたという感じだろう。
次回からは、同社の新たな事業展開について見ていく。