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神戸物産 Research Memo(2):「業務スーパー」を軸とした食の製販一体企業として成長

発行済 2018-08-14 15:02
更新済 2018-08-14 15:20
神戸物産 Research Memo(2):「業務スーパー」を軸とした食の製販一体企業として成長
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■会社概要

神戸物産 (T:3038)は、食品スーパーの「業務スーパー」を全国にFC展開するだけでなく、食材となる農畜産物の生産や製造加工などもグループで手掛ける国内トップの食の製販一体企業である。
事業セグメントとしては、主力の業務スーパー事業のほか、神戸クック事業、クックイノベンチャー事業、エコ再生エネルギー事業の4つの事業セグメント及びその他で開示している。
2018年10月期第2四半期累計の売上構成比で見ると、業務スーパー事業が87.7%となっており、また、営業利益に関しても大半を占めることから、連結業績の動向は業務スーパー事業とほぼ連動する格好となっている。


1. 業務スーパー事業
業務スーパー事業では、同社が「業務スーパー」のFC本部として商品の企画・開発及び調達等を行っており、「業務スーパー」で販売するPB商品の一部を国内外の子会社で製造している。
2008年以降、M&Aにより食品工場を積極的にグループ化しており、現在、国内における100%出資の食品工場保有数は21拠点と、食品小売業界の中でトップとなっている。


「業務スーパー」は業務用をメインとした商品開発・販売からスタートし、中間流通マージンを除いた直仕入や店舗運営の徹底した効率化により、「品質の良い商品をベストプライス」で提供することで顧客からの支持を集め、2000年の開業以降、急成長を遂げてきた。
ここ数年は年間30~40店舗ペースで店舗数を拡大し、2018年10月期第2四半期末の店舗数は802店舗まで拡大している。
直営店舗は2店舗のみで、FC展開によって店舗数の拡大を進めている。
主なFC企業としてはG-7ホールディングス (T:7508)の子会社である(株)G-7スーパーマートのほか、オーシャンシステム (T:3096)などがある。


FC本部としてのロイヤリティー収入はFC加盟店への商品出荷高の1%としており、FC展開する企業の中では低い料率となっている。
これは同社の経営方針として、すべての取引会社の収益を拡大していくことが、自社の成長につながるという考えによるもので、ロイヤリティー収入で稼ぐのではなく、食品の製造と卸売事業で収益を拡大していくことを基本戦略として掲げているためだ。
なお、FC加盟店からはその他に加盟料216万円(税込)、保証金1千万円の一時金のほか発注システム利用料で月額30,857円(税込)を徴収している。


業務スーパーの取扱商品総数はPB商品、NB商品合わせて約4,000点に上る。
PB商品に関しては、国内外の生産子会社20社、23工場(うち中国2工場)に加えて、海外の約350の協力工場から調達している。
PB商品の出荷額構成比率は2018年10月期第2四半期累計で31.2%とここ数年上昇傾向にある。
また、輸入比率は約20%で、そのうち半分を中国、残り半分を欧米、ASEAN地域から直輸入している。
輸入先数は約40ヶ国に上り、ここ数年は欧州やASEAN地域など中国以外の国からの輸入を強化している。
商品としては各国の代表商品となるようなもので、イタリアならパスタやピザ、ベルギーではチョコレートやワッフルといったように、消費者にとって魅力のある商材を発掘しているほか、ハラール食品の調達にも注力している。
なお、生鮮食料品については自社で仕入調達せず、各FC店舗の裁量に任せている。


また、同社はグループ会社で農畜産物の生産といった第一次産業も手掛けている。
農業に関しては北海道でジャガイモなどを生産し、業務用として販売しているほかJAを通して市場に出荷している。
養鶏業では岡山県で「吉備高原どり」、群馬県で「上州高原どり」の養鶏を行っている。
処理された鶏を新鮮な状態で近畿や関東圏などの「業務スーパー」に納品しており、一部近隣の店舗には24時間以内に納品しているほか、それらの鶏をソーセージなどの加工品に仕上げて出荷も行っている。
また、水産業に関しては宮城県で地域産業復興支援も兼ねて、漁業や水産加工業を行っている。


為替変動の影響に関して、同社は仕入れ決済の大半を米ドル建てで行っているため(残りはユーロ、円建て)円安はコスト高となる。
2017年10月期の輸入実績としては約330億円となっており、米ドル建て決済は約2億ドル弱の規模となっている。
このため、一部為替予約によるヘッジを行っており、ヘッジ部分に関しては営業外収支に反映されることになる。
一方、為替変動に伴うFC加盟店への卸価格の変更はタイムラグが生じるため、急激に為替が変動した場合などは、収益に与える影響も一時的に大きくなる可能性がある。


2. 神戸クック事業
神戸クック事業は、「業務スーパー」で構築された原材料の仕入れ調達から商品販売に至るまでのローコストオペレーションのノウハウを生かした外食・中食事業となる。
現在は多国籍料理をバイキング形式で提供する「神戸クック・ワールドビュッフェ」(2018年10月期第2四半期末、19店舗)、自社グループで製造された専用の食材等を店舗で組み合わせて調理し、出来立ての惣菜やお弁当を提供する惣菜店として「Green's K」(同8店舗)を展開しているほか、2018年2月より惣菜店の新業態として「馳走菜(ちそうな)」を直営で1店舗オープンした。
「Green's K」との違いは、パック詰めの商品で全て販売しているほか、商品数も絞り込むなど効率性をより重視した店舗になっていることが挙げられる。
「Green's K」では量り売りも行っており、衛生管理面でのコストなどが課題となっており、その改善策としての新業態展開となる。
そのほか、ビュッフェとセルフクックを融合したレストラン「Green's K 鉄板ビュッフェ」(同2店舗)を展開しているが、「Green's K 鉄板ビュッフェ」についてはリーズナブルな料金でサービス提供しており、収益性が低いことから今後、店舗数を増やす予定はない。


3. クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業は、2013年4月にグループ会社化した(株)ジー・コミュニケーショングループの事業となる。
2018年10月期第2四半期累計の売上構成比で11.2%、営業利益構成比で7.2%と、「業務スーパー」事業に次ぐ比率を占めている。
ジー・コミュニケーショングループの中核企業となるジー・テイスト (T:2694)が株式上場しており、居酒屋や回転ずし、焼き肉屋などの外食事業で約700店舗を直営・FC展開している。
なお、ジー・テイストは英会話事業を2018年1月1日付で、学習塾事業を同年3月31日付で廃止し、主力の外食事業に経営リソースを集中していくことを発表している。
これら教育事業の2018年3月期売上高は1,500百万円、営業利益は90百万円であり、連結業績のマイナス要因となるが影響は軽微となっている。


4. エコ再生エネルギー事業
2012年より新規参入したエコ再生エネルギー事業では、主に太陽光発電事業を展開しているほか(2018年10月期第2四半期末の発電能力18.0MW)、2017年7月より大分県で地熱発電(発電能力50kW)を開始している。
また、2018年7月より北海道で総事業費約40億円をかけて木質バイオマス発電(発電能力6.25MW)の試運転を稼働させており、同年8月に本格稼働が始まった。


5. その他
その他には輸入食品や日本各地の名産品などを取り扱う小型店舗「ガレオン」事業と観光事業、及び設備賃貸事業が含まれる。
「ガレオン」は2018年10月期第2四半期末時点で首都圏にフォーマットの異なる店舗を3店舗出店(直営1店舗、FC2店舗)しており、現在収益モデルを構築している段階にある。


一方、観光事業は現在、リニューアルに向けて一時休業している温浴リゾート施設「ホットラグーン大分」(2016年10月15日開業)のほか、2020年の開園に向けて準備を進めている北海道の観光果樹園が含まれる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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