■コニシ (T:4956)の業績動向
2. 2017年3月期のセグメント別状況
(1) ボンド事業
セグメント売上高は58,923百万円(前期比2.3%増)、営業利益は5,694百万円(同12.9%増)となった。
販売数量増に加えて原材料価格の低下の恩恵を受けて営業利益は大幅増となった。
業界別の売上高及び状況は以下のようであった。
a) 一般家庭用:売上高6,426百万円(前期比1.6%減)
CVS向けや「100均」向けが競争の激化によって苦戦、また、これまで増収をけん引してきた手芸や裁縫に使われる「ボンド 裁ほう上手」の伸びも一巡したことから売上高は前期比減収となった。
b) 住関連用:売上高21,176百万円(同2.7%増)
住宅市場全般が比較的好調に推移したことに加え、タイル用接着剤など今まで拡販に注力してきた製品が伸びたことから、売上高は増収となった。
c) 産業資材用:売上高6,456百万円(同4.4%増)
主な製品はパネル用途向けウレタン系接着剤、自動車関連産業向け離型剤、産業用ホットメルト系接着剤などだが、特に紙関連及び保冷車向けパネル用での需要が堅調で増収となった。
d) 土木建築用:売上高12,515百万円(同2.3%増)
セグメントでは増収だが、内容にはばらつきがあった。
建築関連は比較的好調に推移し、前期比で4.0%増程度になったが、一方で土木関連は思うように現場を取れなかったことから減収となった。
前期比ではセグメントとして増収となったが、計画値を下回っており必ずしも満足いく結果ではなかったようだ。
e) ウォールボンド工業(旧矢沢化学工業):売上高2,561百万円(同1.5%増)
主要製品は壁紙用接着剤であることから、100%が住関連である。
前期比で増収にはなったが、計画値を下回った。
特に同社の販売網を使った西日本での売上が思ったほど伸びなかった。
しかし、逆の見方をすれば西日本ではまだまだ「伸びしろ」があるとも言える。
f) サンライズMSI:売上高8,290百万円(同4.5%増)
ここでも売上高の大部分を占める住関連において、特に戸建住宅小口ユーザー向けが好調に推移し、前期比では増収となった。
ただし、その前の2年間減収が続いたことから、好調に推移したと言うより元に戻ったというのが正直のようだ。
(2) 化成品事業
化成品事業の売上高は51,210百万円(前期比1.6%増)、営業利益は428百万円(同10.3%減)となった。
コニシ本体及び丸安産業(株)ともに増収を維持したものの、原油価格の下落等により販売価格・マージンが低下し利益面では厳しかった。
主な向け先別状況は以下のようであった。
a) 自動車:売上高16,008百万円(前期比8.0%増)
主にプリウス等のハイブリッド車向け商材と北米向け車種用商材が堅調に推移した。
b) 化学工業:売上高7,196百万円(同5.0%減)
原材料のナフサ価格が下落したことから、商品価格も下落し減収となった。
c) 電子・電機:売上高5,986百万円(同6.2%増)
CD・DVD用ケース向け、センサー関連の需要が比較的堅調に推移したことから増収となった。
d) 塗料:売上高4,828百万円(同7.3%減)
過去3年間減収が続いており不調。
同社が商品を納めているのは2番手グループの塗料メーカーが多いため、これらの需要先自体が業界内においてやや低迷していることが要因。
新しい商品を開発し提案していけば売れる可能性もあるので、このような商品開発を急いでいる。
e) 丸安産業:売上高12,290百万円(同1.4%増)
全体としては増収となったが、向け先別でまだら模様だった。
主力のコンデンサー向け商材は好調であったが、薄膜用(主にレンズ用等)は不調で、医薬中間体も伸び悩んだ。
(3) 土木建設
2016年3月期から新たにセグメント分けされた土木建設工事の売上高は10,985百万円(前期比8.4%増)と堅調であったが、営業利益は663百万円(同10.7%減)となった。
a) ボンドエンジニアリング:売上高8,678百万円(前期比8.9%増)
インフラ・ストック市場の補修・改修・耐震・補強工事等が堅調に推移したことから順調に推移し、5期連続で増収・増益を達成した。
b) コニシ工営:売上高1,289百万円(同13.2%減)
2016年3月期は冬季の内装工事を予想以上に受注したことから31.8%増収を達成したが、2017年3月期はその反動もあり計画したほど冬季の内装工事を受注できずに減収となった。
c) 近畿鉄筋コンクリート:売上高1,018百万円(同49.6%増)
売上高は堅調に推移したが、工事進捗の遅れや不採算工事の発生などのより大幅減益となり、セグメント利益の足を引っ張った。
(4) その他事業
化学品のデータベース事業が中心。
売上高231百万円(同69.6%減)、営業利益46万円(同59.0%減)であったが、金額が少ないため全体に与える影響は少ない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
2. 2017年3月期のセグメント別状況
(1) ボンド事業
セグメント売上高は58,923百万円(前期比2.3%増)、営業利益は5,694百万円(同12.9%増)となった。
販売数量増に加えて原材料価格の低下の恩恵を受けて営業利益は大幅増となった。
業界別の売上高及び状況は以下のようであった。
a) 一般家庭用:売上高6,426百万円(前期比1.6%減)
CVS向けや「100均」向けが競争の激化によって苦戦、また、これまで増収をけん引してきた手芸や裁縫に使われる「ボンド 裁ほう上手」の伸びも一巡したことから売上高は前期比減収となった。
b) 住関連用:売上高21,176百万円(同2.7%増)
住宅市場全般が比較的好調に推移したことに加え、タイル用接着剤など今まで拡販に注力してきた製品が伸びたことから、売上高は増収となった。
c) 産業資材用:売上高6,456百万円(同4.4%増)
主な製品はパネル用途向けウレタン系接着剤、自動車関連産業向け離型剤、産業用ホットメルト系接着剤などだが、特に紙関連及び保冷車向けパネル用での需要が堅調で増収となった。
d) 土木建築用:売上高12,515百万円(同2.3%増)
セグメントでは増収だが、内容にはばらつきがあった。
建築関連は比較的好調に推移し、前期比で4.0%増程度になったが、一方で土木関連は思うように現場を取れなかったことから減収となった。
前期比ではセグメントとして増収となったが、計画値を下回っており必ずしも満足いく結果ではなかったようだ。
e) ウォールボンド工業(旧矢沢化学工業):売上高2,561百万円(同1.5%増)
主要製品は壁紙用接着剤であることから、100%が住関連である。
前期比で増収にはなったが、計画値を下回った。
特に同社の販売網を使った西日本での売上が思ったほど伸びなかった。
しかし、逆の見方をすれば西日本ではまだまだ「伸びしろ」があるとも言える。
f) サンライズMSI:売上高8,290百万円(同4.5%増)
ここでも売上高の大部分を占める住関連において、特に戸建住宅小口ユーザー向けが好調に推移し、前期比では増収となった。
ただし、その前の2年間減収が続いたことから、好調に推移したと言うより元に戻ったというのが正直のようだ。
(2) 化成品事業
化成品事業の売上高は51,210百万円(前期比1.6%増)、営業利益は428百万円(同10.3%減)となった。
コニシ本体及び丸安産業(株)ともに増収を維持したものの、原油価格の下落等により販売価格・マージンが低下し利益面では厳しかった。
主な向け先別状況は以下のようであった。
a) 自動車:売上高16,008百万円(前期比8.0%増)
主にプリウス等のハイブリッド車向け商材と北米向け車種用商材が堅調に推移した。
b) 化学工業:売上高7,196百万円(同5.0%減)
原材料のナフサ価格が下落したことから、商品価格も下落し減収となった。
c) 電子・電機:売上高5,986百万円(同6.2%増)
CD・DVD用ケース向け、センサー関連の需要が比較的堅調に推移したことから増収となった。
d) 塗料:売上高4,828百万円(同7.3%減)
過去3年間減収が続いており不調。
同社が商品を納めているのは2番手グループの塗料メーカーが多いため、これらの需要先自体が業界内においてやや低迷していることが要因。
新しい商品を開発し提案していけば売れる可能性もあるので、このような商品開発を急いでいる。
e) 丸安産業:売上高12,290百万円(同1.4%増)
全体としては増収となったが、向け先別でまだら模様だった。
主力のコンデンサー向け商材は好調であったが、薄膜用(主にレンズ用等)は不調で、医薬中間体も伸び悩んだ。
(3) 土木建設
2016年3月期から新たにセグメント分けされた土木建設工事の売上高は10,985百万円(前期比8.4%増)と堅調であったが、営業利益は663百万円(同10.7%減)となった。
a) ボンドエンジニアリング:売上高8,678百万円(前期比8.9%増)
インフラ・ストック市場の補修・改修・耐震・補強工事等が堅調に推移したことから順調に推移し、5期連続で増収・増益を達成した。
b) コニシ工営:売上高1,289百万円(同13.2%減)
2016年3月期は冬季の内装工事を予想以上に受注したことから31.8%増収を達成したが、2017年3月期はその反動もあり計画したほど冬季の内装工事を受注できずに減収となった。
c) 近畿鉄筋コンクリート:売上高1,018百万円(同49.6%増)
売上高は堅調に推移したが、工事進捗の遅れや不採算工事の発生などのより大幅減益となり、セグメント利益の足を引っ張った。
(4) その他事業
化学品のデータベース事業が中心。
売上高231百万円(同69.6%減)、営業利益46万円(同59.0%減)であったが、金額が少ないため全体に与える影響は少ない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)