[リガ 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁は26日、国際的な紛争で通貨ユーロを武器として使うべきではないと主張、将来的に魅力低下につながる恐れがあるとの認識を示した。
日米欧などは2022年、ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁の一環としてロシア中銀の資産約3000億ドルを凍結。約2000億ドルはベルギーの決済機関ユーロクリアなど欧州に保管されている。
欧州連合(EU)はロシア中銀の資産を没収し、ウクライナの復興費用に充てることを検討しているが、一部では資産没収への不安を背景に投資家が欧州から資金を引き揚げ、ユーロ安・債券利回り上昇につながるのではないかとの懸念が出ている。
総裁は講演で「通貨を武器として利用すれば、必然的に通貨の魅力が低下し、代替手段の登場を促す」と発言。「こうした力は賢明に使うべきだ。国際関係は反復ゲームの一つだ」と述べた。ロシアには直接言及しなかった。
総裁は、ウクライナ戦争を受けて人民元の役割が増したと発言。ロシアの貿易の多くは現在、人民元建てで行われている。
「中国当局は明らかに国際舞台で(人民元の)役割拡大を促しており、ウクライナ侵攻を受けて国際社会が制裁対象とした国など、他国での利用を奨励している」と指摘。その結果、人民元は貿易金融のシェアがユーロを抜いて2位となったと述べた。
総裁はユーロの魅力を高めることでユーロの力を強化すべきだと主張。発行量が十分で予測可能な安全資産の創出、銀行同盟の完成、効率的な決済・市場インフラ制度の整備など、遅れている改革を推進し、準備通貨としての役割を高める必要があると述べた。