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KLab Research Memo(5):新作タイトルのリリース時期の見直しにより、通期業績予想を減額修正

発行済 2018-08-29 18:22
更新済 2018-08-29 18:40
KLab Research Memo(5):新作タイトルのリリース時期の見直しにより、通期業績予想を減額修正
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■業績見通し

1. 2018年12月期の業績予想
2018年12月期の通期業績予想(レンジ形式)※についてKLab (T:3656)は、2018年8月7日に期初予想を減額修正した。
上期業績が好調であったにもかかわらず、通期業績予想を減額修正したのは、下期に予定していた新作タイトルのリリース時期を遅らせたことが理由であり、それ以外の前提条件に変化はない。
昨今の市場環境や動向を鑑み、より完成度を高める必要があると判断したことが、リリース時期の見直しにつながった。


※同社は、2017年12月期よりレンジ形式による「通期業績予想開示」を採用している。
なお、レンジ形式による「通期業績予想開示」に変更したのは、新作タイトルのヒット度合いにより業績が大きく変動することや、2016年12月期まで採用していた「翌四半期業績予想」では企業価値を長期目線で判断するには情報不足となることが理由である。



減額修正後の業績予想は、売上高が30,000百万円(前期比12.0%増)~33,000百万円(同23.2%増)、営業利益が2,750百万円(前期比43.8%減)~4,250百万円(同13.1%減)、経常利益が2,750百万円(前期比43.3%減)~4,250百万円(同12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益を1,600百万円(前期比48.8%減)~2,600百万円(同16.9%減)と増収減益を見込んでいる。


下期は3本~5本の新作タイトルによる業績貢献を想定。
また、レンジ設定の考え方は、既存タイトルの売上ライフサイクル(自然減)及び新作タイトル(既存タイトルの海外展開を含む)のヒット度合いを反映したものである。
すなわち、レンジ幅上限は、新作及び既存タイトルが好調だった場合を想定する一方、レンジ幅下限は、新作及び既存タイトルが不振だった場合を想定した設定となっている。
なお、上限・下限のいずれも新作タイトルのリリース時期は保守的に設定しているようだ。


一方、費用面では、新作タイトルの積極的なプロモーション展開やイベント出展による広告宣伝費の増加、新作タイトルのリリースに伴う運営費用(労務費、外注費/業務委託費、減価償却費)の増加、人員拡大に向けた労務費及び採用関連費の増加を見込むとともに、2019年12月期以降の事業展開を見据え、積極的な投資を行っていく方針である。


通期業績予想の達成のためには、下期の売上高が14,014百万円~17,014百万円、営業利益が157百万円~1,657百万円必要となる。
弊社では、新作タイトルのリリース時期については不確実性があるものの、「キャプテン翼」グローバル版が想定以上に好調に推移していることや、他の主要タイトルについても大きく落ち込む懸念が少ないことから、仮に新作タイトルが不振であったとしても、レンジ下限は保守的な水準であるとみている。


2. 新作タイトル及びパイプラインの状況等
今期1本目となる新作タイトル「ガールズ&パンツァー あつまれ!みんなの戦車道!!」(外製及び他社IP)※1については8月3日にリリースし、順調に立ち上がったようだ。
また、2018年8月8日時点のパイプライン(本開発中及びプロト開発)は内製2本(そのうち他社IPが1本、自社IPが1本)、外製4本(そのうち他社IPが3本、自社IPが1本)の合計6本となっている。
そのうち「禍つヴァールハイト」は6月7日より、「幽☆遊☆白書 100%本気(マジ)バトル」は7月30日より事前登録受付を開始している※2。
一方、既存タイトルの「キャプテン翼」については6月28日に中国大陸版をテストオープン。
中国においては課金への考え方や遊び方が他の国と比べて特殊であることから、その嗜好や考え方に合うように調整した上で、いずれ正式版をリリースする計画である。


※1 茨城県東茨城郡大洗町を舞台として、戦車戦の全国大会で優勝を目指す女子高生たちの奮闘を描く人気アニメ「ガールズ&パンツァー」をゲーム化したものであり、(株)バンダイナムコエンターテインメントがパブリッシングし、開発を同社が担当。
ゲームシステムは非常にシンプルであり、基本的にはキャラクターゲームと言えるが、上位ランカーを狙うユーザーにとっては課金要素も強いゲームとなっているようだ。

※2 2018年8月28日にリリース済み。



弊社では、他社IPによるタイトルは、今後も一定の業績貢献は期待できるものとみている。
一方、自社IPについては、しばらくヒット作品を生み出していない同社であるが、自社IP創出とメディアミックス展開は今後の事業拡大や収益基盤の更なる強化はもちろん、組織能力の向上(優秀な人材の獲得やモチベーションの向上、ノウハウの蓄積等)のためにも重要な戦略テーマとなっており、弊社でも大きな可能性を秘めているものとして注目している。
特に、現在開発中の自社IPタイトルには外部の有力なクリエイターが協力しており、その成果が期待される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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