[11日 ロイター] - 米国株式市場ではボラティリティーが数週間にわたり高まっているが、新規株式公開(IPO)への影響はさほど見られていない。市場関係者の間では、年末から来年にかけて堅調なIPOが見込まれている。
世界のIPO件数は9月末までに2000件以上に達し、調達総額は4210億ドルと過去最高となった。リフィニティブによると、調達額は前年同期の2倍以上という。
ディールロジックによると、米国では過去3週間に4件のIPOが取り下げまたは延期された。米債務上限問題を巡る不確実性や中国の不動産大手、中国恒大集団の経営危機、エネルギー価格の上昇などが株式市場の乱高下につながり、IPO価格の設定が難しくなっている。
ただ、IPOが7件取り消された欧州に比べ、米国のIPOは耐性がある。米議会が債務上限問題の先送りで先週合意したほか、中国不動産市場を巡る懸念も解消しつつあることから、IPO関係者は大半の企業がIPO計画を順調に進めていると話す。
法律事務所レイサム&ワトキンスのニューヨークオフィスのマネジングパートナー、マーク・ジャフェ氏は「新規案件だけでなく、既存案件も引き続き進められている」と述べた。
IPO後に株価が上昇していることもIPOを目指す企業の支援材料となっている。ディールロジックによると、過去4週間にIPOを行った米国企業の株価は平均で25.5%上昇している。
バンク・オブ・アメリカの米州株式資本市場担当責任者、ジム・クーニー氏は、直近のIPOの動向は市場の耐性を示しているが、「流通市場のパフォーマンスが全体的に低調なことから、投資家は投資対象を厳選している」と述べた。