[東京 10日 ロイター] - 岸田文雄首相は10日夜の第2次内閣発足を受けて記者会見し、成長と分配の好循環に向け、2022年春闘での賃上げを労使代表に促すと表明した。日米同盟のさらなる強化や自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、年内を含めできるだけ早期に訪米する考えも示した。
岸田首相は会見の冒頭、「国民の声にこれまで以上に耳を傾け、丁寧で、寛容な政治を行っていく」と述べた。政治空白は許されないとの考えも示し、「スピード感を政策実行に発揮すべく、全力を挙げていく」とも語った。
新型コロナウイルス対応では「(感染者数が)2倍になっても対応できる医療体制をしっかり確保する。病床使用率を8割以上とし、3.5万人以上が確実に入院できる体制を11月末までにつくる」とした。12月から新型コロナワクチンの3回目接種を始める考えも改めて示し、「18歳以上の希望する全ての方が接種できるようにする」と述べた。
年収960万円超の世帯を除く18歳以下を対象とする10万円相当の給付に関しては「予備費も活用して年内にプッシュ型で現金給付する」と、早期実現に意欲を示した。「厳しい経済状況にある学生にも、10万円の緊急給付金を支給する」ことも新たに表明。非正規労働者など経済的に困窮している世帯への10万円の給付も明らかにした。
一方、事業者向けでは「持続化給付金並みの支援を11月から3月までの5カ月分を支援する」と語った。近くまとめる数十兆円規模の経済対策で、原油高に苦しむ農業、漁業者への支援を盛り込む考えも示した。
(竹本能文、山口貴也 編集:田中志保)