[ニューヨーク 7日 ロイター] 8日から始まる週の米国株式相場は、上昇する可能性がある。当局が不良資産救済プログラム(TARP)資金返済の第1陣を発表する見通しで、金融システムの一段の安定化への期待が高まる可能性が予想される。
ただ、3月に12年ぶり安値水準をつけて以来の最近の上昇をめぐる懐疑的な見方は依然として解消されておらず、弱気筋は引き続き景気の弱さを示す兆候を材料視している。
今週は、原油相場や米国債利回りが相場に影響を及ぼす可能性がある。消費者心理と購買意欲の手掛かりとして、小売売上高や消費者信頼感指数にも注目が集まる。
キャンター・フィッツジェラルドの米市場ストラテジスト、マーク・パド氏は「市場の観点から言えば、TARP資金の返済は、銀行が民間資金を調達できることを示しているという点で大きなプラスだ」と指摘する。
一方、資金の返済が早く行われすぎたため、他の銀行が悪い烙印(らくいん)を押されることになる、といった懸念もある。また、銀行が消費者や企業に貸し出す資金が減る恐れも指摘されている。
最近の一貫した原油の値上がりは懸念を生み始めており、原油高による消費者への圧迫が景気回復を遅らせるとの声も一部で聞かれる。米原油先物は5日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で一時1バレル=70ドルを超え、7カ月ぶり高値をつけた。
プルデンシャル・インターナショナル・インベストメンツ・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・プラビーン氏は「70ドル圏にあまりに近付くと、原油の上昇が景気に負担となり始めるだろうかと考えるようになる」と語った。
同様に、米国債利回りの上昇も、消費者や企業の借り入れコストを押し上げるとして懸念を呼んでいる。5日の米債券市場では、10年債利回りが一時3.90%まで上昇した。投資家は今週、9日の3年債入札と10日の10年債入札の結果に注目するだろう。
経済指標では、11日発表の5月の小売売上高が前月比0.5%増と予想されている。4月は同0.4%減だった。12日には、6月のミシガン大消費者信頼感指数速報値が発表される。
RDMフィナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・シェルドン氏は「投資家は引き続き、経済指標が改善しているかどうかに注目するだろう」と述べ、「過去数カ月間は心強い傾向が続いたが、景気が持続的に成長していると言えるまでにはまだかなり時間がかかる」との見方を示した。
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