■業績動向
1. 2022年3月期の業績概要
(1) 損益状況
三機工業 (TYO:1961)の2022年3月期の業績は、売上高193,189百万円(前期比1.6%増)、営業利益9,112百万円(同21.5%増)、経常利益9,817百万円(同19.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,489百万円(同10.0%増)となった。
受注高は202,250百万円(同3.4%増)となり、目標を達成した。
次期繰越高は150,737百万円(前期末比6.4%増)と高水準を維持した。
売上高においては、前期の反動で産業空調は減収となったが、大型案件が完工したビル空調衛生がこれを補った。
環境システム関連の工事が順調に進捗したこともあり、全売上高は前期比で増収となった。
受注においては、前期に大型案件を獲得したビル空調衛生の受注が減少したものの、産業空調、電気は好調に推移し環境システムと機械システムも堅調であった。
利益面においては、採算性の高い大型工事の売上があったことにより、売上総利益率は15.6%(前期比0.5ポイント上昇)となった。
継続的に原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などを行ったことが利益率改善につながった。
高水準の売上総利益率(15%台)を維持している点は評価できる。
一方で、販管費は21,110百万円(前期比0.7%減)となった。
人件費等の増加があったが、前期に一部の事務所移転費用や新型コロナウイルス対策費用があったこと、各種経費の削減に努めたことなどから前期比では減少した。
この結果、営業利益は前期比で大幅増となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に税効果があったことなどから前期比では10.0%増となり、経常利益の伸び率(19.8%)を下回った。
(2) セグメント別損益状況
建築設備事業の売上高は155,484百万円(前期比-0.0%)となった。
サブセグメント別では、ビル空調衛生は62,146百万円(同12.4%増)となった。
手持ちの大型案件が進捗したことから2ケタの増収を確保した。
産業空調は57,363百万円(同10.6%減)となったが、前期からの繰越工事が減ったことによる。
電気は24,933百万円(同-0.0%)、ファシリティシステムは11,040百万円(同0.7%減)とほぼ前期並みとなった。
プラント設備事業の売上高は35,509百万円(前期比9.1%増)となった。
サブセグメント別では、機械システムは、コンベア等の搬送用機器の販売が回復したことなどから9,666百万円(同7.7%増)となった。
環境システムは、以前に受注した大型DBO※案件が進行したことや産業廃棄物処理場の大型案件が完工したことなどから25,842百万円(同9.7%増)となった。
また、不動産事業の売上高は2,410百万円(同1.5%増)、その他が566百万円(同30.5%減)となった。
※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。
またセグメント別の利益については、2020年3月期から売上総利益で開示されている。
2022年3月期における建築設備事業の売上総利益は24,409百万円(前期比5.0%増、前期比1,156百万円増)となった。
またサブセグメントの内訳としては、ビル空調衛生・産業空調・電気が22,086百万円(同5.0%増)、ファシリティシステムが2,323百万円(同4.9%増)であった。
プラント設備事業の売上総利益は5,133百万円(同8.5%増、同401百万円増)となったが、内訳は機械システムが1,586百万円(同1.9%増)、環境システムが3,547百万円(同11.7%増)となった。
また不動産事業及びその他の売上総利益は、各々876百万円(同1.1%増)、69百万円(同31.0%減)となった。
(3) セグメント別受注状況
建築設備事業全体の受注高は160,504百万円(前期比2.4%増)となった。
サブセグメント別では、ビル空調衛生は58,603百万円(同10.4%減)となったが、過去2年間高水準が続いた端境期であり懸念される状況ではない。
産業空調は63,113百万(同6.5%増)となった。
これについて「特に半導体関連、研究開発関連等からの受注が好調であった」と同社は述べた。
電気は27,856百万円(同29.7%増)と堅調であった。
データセンターの大型案件が寄与している。
ファシリティシステムは10,930百万円(同2.3%増)となった。
水準としては悪くないと言えるだろう。
プラント設備事業の受注高は39,554百万円(前期比8.2%増)となり、堅調であった。
機械システムの受注高は8,914百万円(同13.4%増)と順調であった。
特に物流倉庫向けなどが好調であったもようだ。
環境システムの受注高は30,640百万円(同6.7%増)となった。
子会社で比較的大きな維持・管理を受注したことが寄与した。
これらの結果、建築設備事業と合わせた設備工事全体の受注高は200,059百万円(同3.5%増)となった。
また設備工事以外の受注高は、不動産2,410百万円(前期比1.5%増)、その他563百万円(同7.4%減)となり、調整額を含めた2022年3月期の総受注高は202,250百万円(前期末3.4%増)となった。
この結果、2022年3月期末の次期繰越高は150,737百万円(前期末比6.4%増)となり、依然として高水準を維持している。
業種別では、電機、医薬、自動車などからの受注は前期比減少となったが、一方で機械、化学、サービス、教育などからの受注は前期比増となった。
大型案件(10億円以上)の受注は、計25件、47,103百万円となった。
受注件数、金額ともに前期よりは減少したが、1件当たり平均金額は1,884百万円(前期は1,796百万円)と増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
1. 2022年3月期の業績概要
(1) 損益状況
三機工業 (TYO:1961)の2022年3月期の業績は、売上高193,189百万円(前期比1.6%増)、営業利益9,112百万円(同21.5%増)、経常利益9,817百万円(同19.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,489百万円(同10.0%増)となった。
受注高は202,250百万円(同3.4%増)となり、目標を達成した。
次期繰越高は150,737百万円(前期末比6.4%増)と高水準を維持した。
売上高においては、前期の反動で産業空調は減収となったが、大型案件が完工したビル空調衛生がこれを補った。
環境システム関連の工事が順調に進捗したこともあり、全売上高は前期比で増収となった。
受注においては、前期に大型案件を獲得したビル空調衛生の受注が減少したものの、産業空調、電気は好調に推移し環境システムと機械システムも堅調であった。
利益面においては、採算性の高い大型工事の売上があったことにより、売上総利益率は15.6%(前期比0.5ポイント上昇)となった。
継続的に原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などを行ったことが利益率改善につながった。
高水準の売上総利益率(15%台)を維持している点は評価できる。
一方で、販管費は21,110百万円(前期比0.7%減)となった。
人件費等の増加があったが、前期に一部の事務所移転費用や新型コロナウイルス対策費用があったこと、各種経費の削減に努めたことなどから前期比では減少した。
この結果、営業利益は前期比で大幅増となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に税効果があったことなどから前期比では10.0%増となり、経常利益の伸び率(19.8%)を下回った。
(2) セグメント別損益状況
建築設備事業の売上高は155,484百万円(前期比-0.0%)となった。
サブセグメント別では、ビル空調衛生は62,146百万円(同12.4%増)となった。
手持ちの大型案件が進捗したことから2ケタの増収を確保した。
産業空調は57,363百万円(同10.6%減)となったが、前期からの繰越工事が減ったことによる。
電気は24,933百万円(同-0.0%)、ファシリティシステムは11,040百万円(同0.7%減)とほぼ前期並みとなった。
プラント設備事業の売上高は35,509百万円(前期比9.1%増)となった。
サブセグメント別では、機械システムは、コンベア等の搬送用機器の販売が回復したことなどから9,666百万円(同7.7%増)となった。
環境システムは、以前に受注した大型DBO※案件が進行したことや産業廃棄物処理場の大型案件が完工したことなどから25,842百万円(同9.7%増)となった。
また、不動産事業の売上高は2,410百万円(同1.5%増)、その他が566百万円(同30.5%減)となった。
※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。
またセグメント別の利益については、2020年3月期から売上総利益で開示されている。
2022年3月期における建築設備事業の売上総利益は24,409百万円(前期比5.0%増、前期比1,156百万円増)となった。
またサブセグメントの内訳としては、ビル空調衛生・産業空調・電気が22,086百万円(同5.0%増)、ファシリティシステムが2,323百万円(同4.9%増)であった。
プラント設備事業の売上総利益は5,133百万円(同8.5%増、同401百万円増)となったが、内訳は機械システムが1,586百万円(同1.9%増)、環境システムが3,547百万円(同11.7%増)となった。
また不動産事業及びその他の売上総利益は、各々876百万円(同1.1%増)、69百万円(同31.0%減)となった。
(3) セグメント別受注状況
建築設備事業全体の受注高は160,504百万円(前期比2.4%増)となった。
サブセグメント別では、ビル空調衛生は58,603百万円(同10.4%減)となったが、過去2年間高水準が続いた端境期であり懸念される状況ではない。
産業空調は63,113百万(同6.5%増)となった。
これについて「特に半導体関連、研究開発関連等からの受注が好調であった」と同社は述べた。
電気は27,856百万円(同29.7%増)と堅調であった。
データセンターの大型案件が寄与している。
ファシリティシステムは10,930百万円(同2.3%増)となった。
水準としては悪くないと言えるだろう。
プラント設備事業の受注高は39,554百万円(前期比8.2%増)となり、堅調であった。
機械システムの受注高は8,914百万円(同13.4%増)と順調であった。
特に物流倉庫向けなどが好調であったもようだ。
環境システムの受注高は30,640百万円(同6.7%増)となった。
子会社で比較的大きな維持・管理を受注したことが寄与した。
これらの結果、建築設備事業と合わせた設備工事全体の受注高は200,059百万円(同3.5%増)となった。
また設備工事以外の受注高は、不動産2,410百万円(前期比1.5%増)、その他563百万円(同7.4%減)となり、調整額を含めた2022年3月期の総受注高は202,250百万円(前期末3.4%増)となった。
この結果、2022年3月期末の次期繰越高は150,737百万円(前期末比6.4%増)となり、依然として高水準を維持している。
業種別では、電機、医薬、自動車などからの受注は前期比減少となったが、一方で機械、化学、サービス、教育などからの受注は前期比増となった。
大型案件(10億円以上)の受注は、計25件、47,103百万円となった。
受注件数、金額ともに前期よりは減少したが、1件当たり平均金額は1,884百万円(前期は1,796百万円)と増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)