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BS11 Research Memo(6):「6つの“力”」を具現化する重点施策を「Value 5」と位置付け推進

発行済 2022-05-25 16:06
更新済 2022-05-25 16:16
© Reuters.
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■中長期成長戦略

1. 中期成長戦略の概要、「6つの“力”」の強化・実践
日本BS放送 (TYO:9414)は中期経営計画を策定し、それをメルクマール(指標、道標)に、中長期にわたる持続的成長を実現するべく取り組んでいる。
「マーケティング力」「企画力」「戦略構築力」「実行力」に、コロナ禍に伴う状況の変化を考慮した「変化対応力」「改革推進力」を加えた「6つの“力”」の強化・実践を掲げた。
2020年8月期より、番組制作と販売という一連の流れに沿って関連する4つの力、1)マーケティング力:データベースの分析・活用による潜在的な需要喚起、2)企画力:視聴者やクライアントのニーズを捉えた企画立案、3)戦略構築力:環境変化に応じた機動的かつ効果的な戦略構築、4)実行力:知恵と知識を結集して戦略を強力に実行、を打ち出して良質な番組づくりへの実効性を高めていたが、コロナ禍を契機に5)変化対応力:経営環境の変化に応じた戦略を構築する力、6)改革推進力:過去に囚われず新たな挑戦を続ける力、という2つの力が加わった。


2. 重点施策「Value5-2022」
同社は、「6つの“力”」を具現化するための重点施策を新たに「Value 5」として位置付けている。
BS放送事業者である同社にとって、その根幹を成すのは番組であり、基本戦略「6つの“力”」や重点施策「Value 5」は、“良質な番組を作り、それを業績の成長につなげる”という目標の実現のための施策である。
なお、同社は上記「6つの力」を具現化する重点施策として2021年8月期に策定した「Value 5」を現在の環境に合わせて修正し、これらを推進していく方針としている。
2022年8月期においては、修正を加え洗練した「Value5-2022」を公表した。
内容は以下のとおり。


1) 「コンテンツ強化」…マルチユースを前提としたコンテンツの企画制作
2) 「配信ビジネス、新規事業開発と収益化」…アーカイブを含む自社コンテンツの活用
3) 「アニメ事業の強化と発展」…アニメ番組の強化、周辺事業への発展
4) 「コラボレーション施策の推進」…番組共同制作をはじめとした協力関係の強化
5) 「情報番組の新規、深耕開拓」…戦略に基づく新規開拓、新規企画の共同開発

(1) 「コンテンツ強化」
マルチユースを前提としたコンテンツの企画制作に注力する方針を掲げている。
1つのコンテンツに対して、出版、映像、イベントなどの複数用途への展開を図る。
いわゆる二次利用の促進である。
コンテンツのクオリティアップを継続することで、二次利用やイベントなどの多角展開へ広がることが期待される。


(2) 「配信ビジネス、新規事業開発と収益化」
自社制作番組のネット配信強化を目的として、「配信コンテンツbiZ局」を立ち上げた。
現在、BS11オンデマンドにて自社制作番組のレギュラー番組・特別番組の無料見逃し配信を行っている。
今後はアーカイブ作品も含めて配信コンテンツが増えていくと思われる。
なお、2021年10月からはレギュラー番組『私たち鉄印帳はじめます。
』『偉人・素顔の履歴書』等をYouTube及びGYAO!で見逃し配信を開始している。
また、先の2番組を含む同社オリジナルの5番組を、Paraviにて2021年11月2日より配信している。


(3) 「アニメ事業の強化と発展」
同社の強みであるアニメにおいて毎週40タイトル以上のアニメ関連番組の放送を行う。
同社はオリジナルアニメ関連番組に注力しており、『アニゲー☆イレブン!』は、2022年10月に放送開始から8年目を迎え、アニメソング番組『Anison Days』は番組オリジナルアレンジによるアニソンを生バンドで歌唱しており、幅広い世代の視聴者から好評を得ているもようだ。
また、2022年3月に開催された世界最大規模のアニメイベント「AnimeJapan 2022」に出展した。
また2022年夏には同社のほか、(株)ドワンゴ、(株)文化放送等が主催する世界最大規模のアニソンイベント「Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-」を開催する。
そのほか、2022年4月より同社YouTubeにて、文化放送が運営するインターネットラジオとコラボレーションし、『転生したらスライムだった件~転スラジオ~』を配信している。
同作品は、2022年11月には『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』が公開されることもあり、同社は人気の再燃を見込んでいる。


同社はアニメ業界との強いパイプを持ち、製作委員会やクライアントとの強いアライアンスを組んでいる。
コンテンツ販売では中国が柱となるだろうが、世界各国で日本のアニメは評価を受けていることもあり、同分野の取り組みは引き続き注目される分野である。
アニメに出資するだけではなく同社が番組販売できるようにするなど、製作委員会のなかでの立ち位置、アニメ関連各社との環境強化を行うことにより、番組を放送するだけではなく周辺事業へ発展させていく。


(4) 「コラボレーション施策の促進」
独立系TV局の強みとして、全国各地のテレビ局及び制作会社との共同制作番組の提供が可能であることから自社制作番組と外部リソースの最適なミックスによる視聴世帯数のさらなる増加に取り組む。
これまでも(株)京都放送(以下、KBS京都)や東京メトロポリタンテレビジョン(株)(以下、TOKYO MX)と番組共同制作を行っているほか、(株)岐阜放送、びわ湖放送(株)などとも番組共同制作を行っている。
また配信とアニメを掛け合わせた形で文化放送とコラボし、アニメの声優がラジオの番組を文化放送で行い、その後同社のYouTubeでその模様を映像化したものを配信するといった取り組みも始めている。
その他、2022年5月に長崎文化放送(株)とコラボした作品が放送される予定である。
さらに、同社の子会社で児童書の出版会社である理論社、国土社とのコラボレーション企画として2020年6月から読み聞かせの番組『今日のえほん』を放送しており、2021年10月からは、KBS京都・TOKYO MX・BS11の3社共同制作番組『京都画報』が月1回のレギュラー番組として放送されている。
また「ディスカバリーチャンネル」のなかから特に評価と人気の高い作品を厳選した番組『ディスカバリー傑作選』を引き続き放送していく。


(5) 「情報番組の新規、深耕開拓」
情報番組(通販番組)は、コロナ禍の影響でクライアントとなる通販各社が地上波へシフトする景況が顕著に表れてきたこともあり、これを取り戻す狙いがある。
これまでは通販番組は30分などの枠を提供し、通販各社が制作した番組を放映することがメインであった。
つまり放映枠のセールスが中心であったが、今後は深耕開拓として同社番組と紐付けた新しい情報番組を同社から提案するほか、通販各社との新規企画などの共同開発を行っていく。


(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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