■中長期の成長戦略
1. 中期成長戦略の概要と業績目標
SDエンターテイメント (T:4650)は今後の成長戦略とその具体的成果としての中期業績見通しを公表している。
今回、同社が公表したのは3年後に当たる2020年3月期の業績見通しで、売上高10,000百万円、営業利益700百万円を目標として掲げている。
この利益水準は1996年9月に株式を公開して以来の過去最高利益であるのはもちろん、過去23年間での最高利益更新でもある。
なお同社は、2020年3月期の業績目標はあくまで通過点に過ぎず、その後も売上高の更なる成長を目指すほか、営業利益率の点でも7%が上限というわけではなく、さらに高めていく方針であることを表明している。
1つの目安として、RIZAPグループの中期経営計画であるCOMIT2020の最終年度に当たる2021年3月期には営業利益900百万円を視野に入れていることも明らかにしている。
今回の中期成長戦略の基本方針は、1)フィットネス事業への成長投資加速、2)ゲーム事業の均衡市場でのシェア確保、3)選択と集中による収益改善、の3点から成っている。
従来は1)既存店売上利益最大化、2)新規出店、3)新規事業、という3つの基本方針を掲げていたが、今回はどの事業セグメントをどのように成長させていくかという形で、より踏み込んだ内容となっている。
同社自身の各事業の成長性への確信度が高まった結果と弊社ではみている。
売上高10,000百万円の事業セグメント別内訳は以下のようになっている。
2017年3月期から2020年3月期までの年平均成長率(CAGR)を見ると、上述の基本方針を反映して、フィットネス事業が19.8%と最も高くなっており、フィットネス事業を成長のためのメイン・エンジンにした成長戦略であることがわかる。
それに続くのはその他事業の12.6%、GAME事業の3.4%で、これらがサブの成長エンジンという位置付けになっていることが見て取れる。
その他事業のCAGRが高く出ているのは2018年3月期の前期比伸び率が高いためであり、2018年3月期から2020年3月期にかけてはごく緩やかな成長見通しとなっている。
この点をどう理解するか、であるがこの点は後述するように同社が将来の事業環境について慎重なスタンスで見通した結果であり、上振れの余地が残されていると弊社では考えている。
その他事業は、GAME事業とともに、成長のための補助エンジンとしての枠割を十分担えると弊社では考えている。
一方、シネマ事業を含んでいる施設管理事業はCAGRが0.3%と非常に低く抑えられている。
また、ボウリング事業も、2017年3月期の実績が大きくへこんだためCAGRが3.0%となっているが2016年3月期実績と比較すると2020年3月期の予想値がマイナス成長となっている。
これら2つの事業はそれぞれ、映画におけるヒット作の存在、ボウリングにおける天候要因という、外部要因に影響されやすいことを考慮して慎重な業績見通しとなったものと弊社では推測している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
1. 中期成長戦略の概要と業績目標
SDエンターテイメント (T:4650)は今後の成長戦略とその具体的成果としての中期業績見通しを公表している。
今回、同社が公表したのは3年後に当たる2020年3月期の業績見通しで、売上高10,000百万円、営業利益700百万円を目標として掲げている。
この利益水準は1996年9月に株式を公開して以来の過去最高利益であるのはもちろん、過去23年間での最高利益更新でもある。
なお同社は、2020年3月期の業績目標はあくまで通過点に過ぎず、その後も売上高の更なる成長を目指すほか、営業利益率の点でも7%が上限というわけではなく、さらに高めていく方針であることを表明している。
1つの目安として、RIZAPグループの中期経営計画であるCOMIT2020の最終年度に当たる2021年3月期には営業利益900百万円を視野に入れていることも明らかにしている。
今回の中期成長戦略の基本方針は、1)フィットネス事業への成長投資加速、2)ゲーム事業の均衡市場でのシェア確保、3)選択と集中による収益改善、の3点から成っている。
従来は1)既存店売上利益最大化、2)新規出店、3)新規事業、という3つの基本方針を掲げていたが、今回はどの事業セグメントをどのように成長させていくかという形で、より踏み込んだ内容となっている。
同社自身の各事業の成長性への確信度が高まった結果と弊社ではみている。
売上高10,000百万円の事業セグメント別内訳は以下のようになっている。
2017年3月期から2020年3月期までの年平均成長率(CAGR)を見ると、上述の基本方針を反映して、フィットネス事業が19.8%と最も高くなっており、フィットネス事業を成長のためのメイン・エンジンにした成長戦略であることがわかる。
それに続くのはその他事業の12.6%、GAME事業の3.4%で、これらがサブの成長エンジンという位置付けになっていることが見て取れる。
その他事業のCAGRが高く出ているのは2018年3月期の前期比伸び率が高いためであり、2018年3月期から2020年3月期にかけてはごく緩やかな成長見通しとなっている。
この点をどう理解するか、であるがこの点は後述するように同社が将来の事業環境について慎重なスタンスで見通した結果であり、上振れの余地が残されていると弊社では考えている。
その他事業は、GAME事業とともに、成長のための補助エンジンとしての枠割を十分担えると弊社では考えている。
一方、シネマ事業を含んでいる施設管理事業はCAGRが0.3%と非常に低く抑えられている。
また、ボウリング事業も、2017年3月期の実績が大きくへこんだためCAGRが3.0%となっているが2016年3月期実績と比較すると2020年3月期の予想値がマイナス成長となっている。
これら2つの事業はそれぞれ、映画におけるヒット作の存在、ボウリングにおける天候要因という、外部要因に影響されやすいことを考慮して慎重な業績見通しとなったものと弊社では推測している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)