[香港 14日 ロイター] - 香港政府が若年層の住宅購入を支援する措置を打ち出す一方で、銀行はリセッション(景気後退)による不良債権の増加をなんとしても回避しようと住宅ローンの申請基準の厳格化に動いている。銀行や住宅ローン・ブローカーの関係者が明らかにした。
香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、反政府デモが続く中で政府への信頼を取り戻そうと、10月16日の施政方針演説に、初めて住宅を購入する人を対象に、価格が800万香港ドル(100万米ドル)の場合、最大で90%を住宅ローンでカバーできるようにする措置を盛り込んだ。
しかし、香港全土に広がるデモが香港経済に深刻な打撃を与えるなか、景気がさらに後退して失業や破産が増え、住宅ローンを返済できない人が増える事態を銀行は懸念している。
香港では歴史的に住宅ローンの不履行はまれで、不履行率は0.02%と極めて低い。
英金融大手HSBC (L:HSBA)は最近になって、住宅ローンの借り手に対し、月収の65%を超える返済を認めないことや、フルタイムの仕事に就いていること、その他の不動産を保有しないことなどのガイドラインを導入した。2人の業界関係者が明らかにした。
HSBC、スタンダード・チャータード銀行 (L:STAN)や中国銀行(香港) (HK:2388)などは、今後数カ月の間に住宅ローン金利の引き上げや現金割引率の引き下げも計画している。割引を段階的に廃止する方針の銀行もあるという。
香港に拠点を置く欧州系の銀行の関係者は「この環境下で銀行の利益と資産の質を守るためには、あらゆる手段を活用しなくてはならない。今後数カ月のうちに追加の措置を打ち出すことになるだろう」と語った。