[8日 ロイター] - <為替> 円やスイスフランが引き続き売られた。イランは精鋭部隊の司令官殺害への報復として米軍の拠点をミサイル攻撃したが、トランプ米大統領は米国人の死傷者は出なかったと発表、当面これ以上の軍事攻撃はない可能性を示唆した。[nL4N29D3XE]
スコシアバンク(トロント)の主任FXストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「市場は当初、事態の悪化を懸念していたため、トランプ大統領の発言は市場に大きな安心感をもたらした。もちろんこれで全てが解決したとは思わないが、米イランが直接衝突するリスクは低下したと考える」と述べた。
円は対ドルで0.8%安の109.18円。約1週間ぶりの低水準を付けた。スイスフランも対ドルで0.3%安の0.9737フラン。一方、ADP全米雇用報告の底堅い内容が支えとなり、主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.3%高の97.30。ユーロ/ドル (EUR=)は0.4%安の1.1108ドル。
昨年12月のADP全米雇用報告は、民間部門雇用者数が20万2000人増となり、増加数は昨年4月以来8カ月ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は16万人増だった。10日には12月の雇用統計が発表される。[nL4N29D3IF]
<債券> 米国とイランの間で高まっていた緊張が和らいだことを受けて国債利回りが上昇した。
トランプ大統領は8日、米軍による革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害に対するイランの報復攻撃で米国人の死傷者は出なかったと明らかにした。また、イランの攻撃に必ずしも軍事力で対応する必要はないと述べ、強硬な発言を控えた。[nL4N29D3XE]
終盤の取引で、米10年債利回り (US10YT=RR)は5ベーシスポイント(bp)上昇の1.876%。イランの報復攻撃を受けてオーバーナイトで付けた水準から約20bp上げた。
RBCキャピタル・マーケッツのシニア米国エコノミスト、ジェイコブ・オウビナ氏は「昨夜は反射的な動きがあり、米10年債は1.70%の支持線レベルまで戻した。今日の動きはイランの報復攻撃を受けて何も起きなかったことによる急上昇だ」と指摘。「トランプ氏の発言で軍事行動は当面ないとの見方が広がり、リスク選好が上向いた。S&P株価指数は最高値に戻し、その結果安全資産は売られた」と述べた。
米2年債利回り (US2YT=RR)も3.9bp上昇の1.585%。オーバーナイトでは3カ月ぶり低水準の1.452%を付けていた。
リスク選好が改善したことで、この日行われた240憶ドルの10年債入札は需要が弱まった。直接・間接入札者の落札比率は71.3%と、平均の75.9%を下回った。プライマリーディーラーの落札比率は28.7%だった。
<株式> 上昇して終了。トランプ大統領の発言を受け、米・イランの対立が中東での全面的な紛争につながるとの懸念が緩和した。ただ、バグダッドでの爆発報道を受けて終盤に上値を大幅に削る展開に。
トランプ大統領は8日、米軍による革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害に対するイランの報復攻撃で米国人の死傷者は出なかったと明らかにした。また必ずしも軍事力を行使する必要はないと述べ、危機打開に向けた姿勢をにじませた。イラン外相による事態の激化や戦争を求めていないとのツイートや、トランプ氏の「万事順調だ!」とのツイートも、懸念緩和につながった。[nL4N29D3XE][nL4N29D073]
S&P総合500種 (SPX)とナスダック総合 (IXIC)はともに取引時間中の最高値を更新したが、ダウ工業株30種 (DJI)を含めた主要株価3指数はいずれも取引終盤に上げ幅を縮小。バグダッドで爆発音が聞かれたとの報道が背景で、引け後、イラク軍は、バグダッドの厳重な警備が敷かれている旧米軍管理区域(グリーンゾーン)内に2発のロケットが落下したと明らかにした。負傷者は出ていないという。
ナスダックは終値ベースでも最高値を更新。S&P総合500種の主要セクターはほとんどが上昇したが、S&Pエネルギー株指数 (SPNY)は原油価格の下落に伴い1.7%安となった。
<金先物> トランプ大統領がイランに対する軍事力行使に否定的な考えを示したことを受けて売られ、11営業日ぶりに反落。2月物の清算値は前日比14.10ドル(0.90%) 安の1オンス=1560.20ドル。
トランプ大統領の発言を受けて中東情勢緊迫化に対する警戒感が大きく後退し、安全資産として買われてきた金塊に売りが広がった。[nL4N29D3XE] また、外国為替市場ではドル高・ユーロ安が進み、ドル建てで取引される金塊などの商品に割高感が生じ、金の売りを誘った。
<米原油先物> 中東情勢に対する過度の警戒感が和らぎ、大幅続落。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値は前日比3.09ドル(4.93%)安の1バレル=59.61ドル。3月物は3.05ドル安の59.46ドルだった。
当初、米・イランによる軍事衝突への懸念から原油は買われ、相場は前日夜に一時65ドル台後半まで上昇していた。ただ、イランが米国との戦争を望まない意向を示したほか、イランの攻撃による死者は出なかったと伝えられ、原油は一転して売りに押される展開となった。
米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した在庫週報では、最新週の原油在庫は前週比120万バレル増と、市場予想(ロイター調査)の360万バレル減に反して積み増しとなった。さらに、ガソリン在庫が910万バレル増(予想は270万バレル増)、ディスティレート(留出油)が530万バレル増(同390万バレル増)とそれぞれ予想を大幅に上回る積み増しとなったことも原油売りを後押しした。
アラブ首長国連邦(UAE)のエネルギー相が「(中東情勢が)破滅的にエスカレートしない限り、(石油の)供給不足は起きないと予想している」と発言。原油は下げ幅を一段と拡大した。
ドル/円 NY終値 109.12/109.15
始値 108.71
高値 109.24
安値 108.63
ユーロ/ドル NY終値 1.1103/1.1107
始値 1.1125 (EUR=)
高値 1.1131
安値 1.1103
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*08.00 2.3632% (US30YT=RR)
前営業日終値 101*15.50 2.3060%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*28.50 1.8738% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*10.50 1.8250%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*13.00 1.6645% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*20.00 1.6190%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*02.50 1.5846% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*04.88 1.5460%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28745.09 +161.41 +0.56 (DJI)
前営業日終値 28583.68
ナスダック総合 9129.24 +60.66 +0.67 (IXIC)
前営業日終値 9068.58
S&P総合500種 3253.05 +15.87 +0.49 (SPX)
前営業日終値 3237.18
COMEX金 2月限 1560.2 ‐14.1
前営業日終値 1574.3
COMEX銀 3月限 1816.7 ‐22.6
前営業日終値 1839.3
北海ブレント 3月限 65.44 ‐2.83 (LCOc1)
前営業日終値 68.27
米WTI先物 2月限 59.61 ‐3.09 (CLc1)
前営業日終値 62.70
CRB商品指数 183.3751 ‐3.5503 (TRCCRB)
前営業日終値 186.9254
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