[上海 16日 ロイター] - 米中両国は15日、貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名した。中国市場はこれを慎重ながらも歓迎し、人民元相場は16日の取引で上昇している。ただ、より根本的な問題が未解決となる中、株価は高値で寄り付いた後、小幅安に転じた。
米中の第1段階の合意を受け、貿易摩擦激化への懸念はいったん和らいだが、両国が過去1年半に互いに発動した関税の大部分は維持され、摩擦の原因となった構造的な問題も未解決のままとなった。
序盤の国内取引で人民元は1ドル=6.8820元。第1段階の合意がようやく署名されたという安ど感に加え、中国人民銀行(中央銀行)がこの日の基準値を2019年7月26日以来の元高水準に設定したことが支援材料となった。
OCBCウィンハン銀行のアナリストは、第1段階の合意署名による人民元への影響は限定的とし、「市場は関税削減の時期や第2段階の交渉の行方を注視する」との見方を示した。そのうえで「米中貿易交渉は引き続き材料視されるが、今年の人民元相場には経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)のほうが大きな影響を及ぼすだろう」と指摘した。
米中の摩擦緩和への期待から値上がりしてきた中国株は、この日は上値を伸ばす展開にはならず、上海総合指数 (SSEC)は高値で寄り付いた後、直近では0.06%安。上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数 (CSI300)は0.11%安。
第1段階の合意署名を受けた景気押し上げは限定的とみられている。
香港のハンセン指数 (HSI)は0.21%高。