[4日 ロイター] - <為替> 安全通貨である円とスイスフランが対ドルで続落した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済的低迷の抑制に向けた中国の措置を受け、リスク選好度が高まった。
円のドルに対する下落幅は約半年ぶりの大きさ。スイスフランの対ドル下落率も1カ月超ぶりの大きさになった。
対照的に、豪ドルやニュージーランド(NZ)ドルなどコモディティー関連通貨はオフショア人民元の上昇に連れ高した。
市場筋によると、中国人民銀行(中央銀行)は4日、リバースレポの公開市場操作を通じて5000億元(712億2000万ドル)を金融市場に供給した。[nL4N2A40GA]
TDセキュリティーズのシニアFXストラテジスト、メーザン・イッサ氏は「新型コロナウイルスの抑制を巡り、中国には金融市場を支援する意思があるという強いシグナルとなった。ただ資金供給は非常に短期間であり、供給網の混乱に関しては何もしていない」と述べた。
午後の取引で、ドルは対円で0.8%高の109.51円、対スイスフランで0.4%上昇の0.9690フラン。
ドル指数 (DXY)は0.2%高の97.952。
米大統領選で民主党の候補者選びの初戦となるアイオワ州党員集会の結果発表は初回の集計に不備があったため遅れている。左派のバーニー・サンダース上院議員またはエリザベス・ウォーレン上院議員が勝利すれば、株価を押し下げ、安全通貨の買いにつながる可能性がある。
一方、ユーロ (EUR=)は対ドルで0.2%安の1.1040ドル。豪ドルは0.6%高の0.6735米ドル。オフショア人民元は対ドルで0.3%高の6.9935元。ポンドは対ドルで0.4%高の1.3038ドルと約6週間ぶりの安値から切り返した。
<債券> 国債利回りが上昇。新型コロナウイルスに対する中国の措置を受け、投資家のリスク許容度が高まった。
午後の取引で、10年債利回りは8.4ベーシスポイント(bp)上昇の1.6043%。
市場筋によると、中国人民銀行(中央銀行)は4日、リバースレポの公開市場操作を通じて5000億元(712億2000万ドル)を金融市場に供給した。前日からの資金供給額は1兆7000億元に拡大。これを受け、懸念が一部緩和し、中国株は急反発した。新型コロナウイルスの感染拡大が収まる兆しはないものの、投資家は中国の措置をポジティブに受け止めた。
RBCキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、ジェイコブ・ウビナ氏は、前週末や前日に付けた1.50%近辺の10年債利回りについて「経済の基礎的条件に照らし、全く整合性が取れない水準」と述べた。
パイパー・ジャフリーの債券戦略部門責任者、ジャスティン・フーゲンドーン氏は、新型コロナウイルスの感染拡大に対処している中国などの国々から公衆衛生上でネガティブなニュースがまだ出てくるだろうが、債券市場は現時点で行き過ぎた反動の真っただ中にあるとした。
米大統領選で民主党の候補者選びの初戦となるアイオワ州党員集会は、集計に不備があり、結果発表が遅れている。[nL4N2A42FK]
2年債利回り (US2YT=RR)は6.2bp上昇の1.415%だった。
<株式> 米国株式市場は続伸して取引を終えた。ナスダック総合 (IXIC)は過去最高値を更新、S&P総合500種 (SPX)は約6カ月ぶりの大幅な上昇となった。中国人民銀行(中央銀行)が大規模な資金供給を実施したことを受け、新型コロナウイルスによる経済への影響を巡る懸念が緩和した。
ダウ工業株30種 (DJI)は5カ月超ぶりの大幅な上げを記録した。
人民銀行は3─4日にリバースレポで計1兆7000億元(2427億4000万ドル)を供給。金融市場の期待を安定させ、市場の信認を回復することを目指す人民銀行の決意の表れだと表明した。[nT9N28D00R]
ウイルスの感染拡大による影響で中国経済と世界経済が短期的に大きな打撃を受けるとみられるものの、人民銀の対応を受けて投資家心理は改善した。
アライ・インベストの主席投資ストラテジスト、リンゼー・ベル氏は「市場はコロナウイルスの先を見越している。歴史的には、何らかの伝染病やウイルスによる世界的な脅威が生じた際には常に市場は底を打ってきた」と指摘した。
4日発表された米経済指標も市場を支援。昨年12月の製造業新規受注は前月比1.8%増と、18年8月以来の大幅な伸びとなった。国防航空機の受注が大幅に増え、全体水準を押し上げた。[nL4N2A43SJ]
S&Pの主要セクターでは情報技術株指数 (SPLRCT)が2.6%高と上げを主導した。中国市場の影響を特に受けやすい半導体株が買われ、フィラデルフィア半導体株指数 (SOX)は3.1%値上がりした。
<金先物> 投資家のリスク回避姿勢が後退する中で売られ、3営業日続落した。中心限月4月物の清算値は前日比26.90ドル(1.70%)安の1オンス=1555.50ドル。
中国人民銀行(中央銀行)は3日、1兆2000億元(約19兆円)規模の資金供給を実施。財政省も金融面から企業支援に乗り出した。これらを受けて、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が経済に打撃を与えるのではないかとの懸念がひとまず後退。米株相場が大幅続伸する半面、安全資産とされる金は売り圧力にさらされた。また、外国為替市場でドル高・ユーロ安が進行し、ドル建てで取引される金に割高感が生じたことも、金相場を下押しした。
金塊現物相場は午後1時半現在、25.420ドル安の1552.080ドル。
<米原油先物> エネルギー需要の落ち込みに対する警戒感がくすぶる中、5営業日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物は前日比0.50ドル(1.00%)安の1バレル=49. 61ドルと、2019年1月上旬以来、約1年1カ月ぶりに清算値ベースで50ドルの節目を割り込んだ。4月物は0.48ドル安の49.80ドルだった。
米メディア各社は3日、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が、新型肺炎の世界的な広がりに伴う原油需要の落ち込みを想定し、現行の協調減産規模をさらに日量50万バレル拡大することを検討していると報道。これを受けて3日夜以降は安値拾いや買い戻しが入り、4日朝には一時51.55ドルまで上昇した。
しかし、その後は需給不均衡への根強い警戒感に押され、徐々に上げ幅を削る展開。OPECは19年12月上旬に、日量120万バレルの減産枠を50万バレル拡大させる措置を決定し、今年1月に導入したばかり。新型肺炎による影響の見極めが困難な状況下で、一段の産油量抑制をめぐる合意が得られない可能性もあるとの見方が浮上した。外国為替市場でのドル高・ユーロ安の進行や、米週間原油在庫の増加予想なども重しとなり、相場は再びマイナス圏に押し戻された。
ドル/円 NY終値 109.51/109.54
始値 109.01
高値 109.54
安値 109.04
ユーロ/ドル NY終値 1.1042/1.1046
始値 1.1052 (EUR=)
高値 1.1054
安値 1.1034
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 106*17.50 2.0789% (US30YT=RR)
前営業日終値 108*14.50 1.9970%
10年債(指標銘柄) 17時04分 101*10.50 1.6026% (US10YT=RR)
前営業日終値 102*02.50 1.5200%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.75 1.4222% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*05.00 1.3430%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.50 1.4150% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*01.38 1.3530%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28807.63 +407.82 +1.44 (DJI)
前営業日終値 28399.81
ナスダック総合 9467.97 +194.57 +2.10 (IXIC)
前営業日終値 9273.40
S&P総合500種 3297.59 +48.67 +1.50 (SPX)
前営業日終値 3248.92
COMEX金 4月限 1555.5 ‐26.9
前営業日終値 1582.4
COMEX銀 3月限 1756.1 ‐10.9
前営業日終値 1767.0
北海ブレント 4月限 53.96 ‐0.49 (LCOc1)
前営業日終値 54.45
米WTI先物 3月限 49.61 ‐0.50 (CLc1)
前営業日終値 50.11
CRB商品指数 167.9337 ‐0.1178 (TRCCRB)
前営業日終値 168.0515 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200204T223412+0000