[24日 ロイター] - 24日の金融市場は、米連邦準備理事会(FRB)が新型コロナウイルス流行による経済への影響を和らげるために利下げを余儀なくされるとの観測を織り込む動きとなった。ただ、クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、短期的な市場の動向に「過剰反応」すべきでないとの立場を示した。
米金利先物は急上昇し、昨年秋以来の高水準を付けた。新型ウイルスの感染者が発生源である中国本土以外で急増している状況を受けた動きで、世界の株式市場は売り一色となり、国債に逃避的な買いが入った。
米株式市場では、ダウ工業株30種とS&P総合500種が2年ぶりの大幅な下げを記録した。
CMEのフェドウォッチによると、フェデラル・ファンド(FF)先物取引では7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で少なくとも0.25%ポイント利下げする確率が約85%に上昇。1カ月前の時点では50%だった。
2021年序盤に期限が到来する各限月が織り込むFF金利の誘導目標は約1%かそれを下回る水準となっており、現在の水準(1.50─1.75%)からの引き下げを示している。
FRB当局者らは、米経済は好調を維持しており、新型コロナウイルスがもたらすリスクについて判断を下すのは時期尚早であるため、短期的に利下げの必要はないとの認識を繰り返し示唆している。
メスター総裁は24日ワシントンで開かれた会議で、新型ウイルスの流行は「大きなリスク」とした上で、「現時点で経済が受ける影響を推し量るのは難しいが、こうした不確実性の新たな根源は慎重に見守っていきたい」と述べた。
ただ、FRBは新型ウイルス感染拡大を巡る懸念を背景にした短期的な金融市場の動向に「過剰反応」するべきではないとの見方を示した。
米国債市場では、30年債 (US30YT=RR)利回りが1.811%まで低下し、過去最低水準を更新。2年債 (US2YT=RR)利回りは1.2435%と、17年5月以来の低水準を付けた。
ナットウエスト・マーケッツのアナリストらは、「FRBは非常にハト派的な対応を取る」ことで役割を果たしているため、それほど遠くない将来にFRBが対応に動いても驚かないと指摘。ただ、新型ウイルス流行が米企業に影響を与え始めた場合、FRBの利下げはそれほど役に立たないかもしれないとした。