[22日 ロイター] - リフィニティブ・リッパーのデータによると、第1・四半期のアジアのファンドの運用成績では、中国の株式ファンドの好調ぶりが目立った。
アジアの株式市場は新型コロナウイルスの感染拡大で売りが膨らんだが、中国本土市場は底堅く推移した。
調査は、純資産5億ドル以上のアジアのパッシブ型、アクティブ型ミューチュアルファンド1348本を対象に実施した。
運用成績上位10位のうち7本は中国のファンドだった。
上位にランクインし、第1・四半期の運用成績がプラス10%を超えたのは、中国のGF小型成長ハイブリッド・ファンド
アナリストは、中国株について、効果的な新型コロナ対策、政策対応、経済規模の大きさを背景に海外の株式市場と比べて好調に推移したと指摘している。
上海総合指数 (SSEC)は第1・四半期に9.8%下落。これに対しMSCIアジア太平洋指数 (MIAP00000PUS)は19.8%値下がりしている。
BNPパリバ(香港)のマルチアセット・クオンツ・ソリューション部門トップ、Paul Sandhu氏は「世界各国が対応を迫られる中、中国には余裕があった」とし「巨大な経済で、成長力も非常に高い。このため新型コロナ感染症の流行といった状況では、小粒な対策は現実的ではない。巨大な飛行機にちょっと傷がついた程度だ」と述べた。
リフィニティブ・リッパーのデータとモーニングスターの分析によると、中国に投資する債券ファンドも好調だった。
ロイターの分析によると、アジアの運用成績上位20位のファンドのうち、約3分の2は債券ファンド。債券ファンドで運用成績が好調だったのは、フィデリティ・インベストメンツとプリンシパル・グローバル・インベストメンツが運用する香港債券ファンドで、第1・四半期の運用成績はプラス5%前後だった。
プリンシパルの香港債券ファンドを運用するBinay Chandgothia、Raj Singh両氏は、デュレーションの長い香港債・米国債と期間が短めの社債に投資したことが功を奏したと指摘。
Chandgothia氏は「こうした状況を切り抜けるには、ディフェンシブに傾けた理想的なポジションだった」と述べた。第1・四半期の資金流出入が小幅な流入超過だったため、アリババやテンセントなどの社債を直接購入することができたという。
一方、運用成績が悪かったのは、不動産を経営する上場企業に投資するオーストラリアの不動産ファンド。
iシェアーズ・オーストラリア上場不動産インデックス
アラン・グレイのSimon Mawhinney最高運用責任者は「こうしたREIT(不動産投資信託)の大半は賃料収入に依存している」と指摘。都市封鎖や強制休業でテナントの小売店が苦戦する中、賃料が下がったり、空き店舗が出るケースが出ており、不動産を経営する多くの上場企業の財務状況は圧迫されるだろうと指摘した。