[24日 ロイター] - <為替> ユーロ/ドルが5日ぶりに上昇。週末を控えショートポジションの買い戻しが入った。しかし、ユーロの先行きを巡る不透明感から上値は重かった。
ユーロ/ドル (EUR=)は0.16%高。週間では0.7%安となる見込み。
欧州連合(EU)首脳は23日、新型コロナウイルス流行で打撃を受けた経済の復興を支援する1兆ユーロ規模の緊急基金を設立することで合意した。ただ、資金を返済の必要がない助成金として支給するのか、あるいは返済が必要な貸付金として支給するかを巡って各国の意見が分かれたため、詳細は今後に持ち越した。
ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツ(トロント)の主任市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「欧州首脳はまたもや総合的な経済対策の取りまとめに失敗した。これでユーロ圏の回復は米国よりも遅れる可能性が高まった」と述べた。
3月の米耐久財受注統計は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.1%増と、市場予想の6.0%減に反してプラスに転じた。
米原油価格は今週、記録的な値崩れを起こし、史上初めてマイナス価格を付けた。マイナス価格は売り手が手数料を払って原油を引き取ってもらうことを意味する。原油安に伴いドルは買われる展開となった。
石油輸出国の通貨は週間でドルに対し値下がりする見込み。ノルウェークローネ
ポンド/ドル
<債券> 国債利回りはほぼ横ばいで推移した。新型コロナウイルス感染拡大の影響から経済が素早く回復することはないとの見方が強いにもかかわらず、株式などのリスク資産に資金がとどまり、膠着状態となっている。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の0.6008%。マニュライフ・インベストメント・マネジメントのシニア債券トレーダー、マイケル・ロリツィオ氏は「膠着している」と述べた。
同氏は連邦準備理事会(FRB)が利上げに着手するのは数年先のことになると予想。FRBは新型ウイルス感染拡大に対応するために今年に入ってから3回の利下げを実施し、政策金利はゼロ%近辺に戻った。
新型ウイルスの感染拡大が続く中、市場では経済の回復には時間がかかるとの見方が浸透している。ただこうした中でも株式や社債などの長期資産に資金を留め置く状態が継続。ロリツィオ氏は「リスク資産に対するサポートはまだ十分に存在している」と述べた。
新型ウイルス感染による米国の死者数は5万人を超えたが、ジョージア州やオクラホマ州などの一部の州は段階的な感染拡大抑制措置の緩和に着手した。
エバーコアISIのマクロ調査アナリスト、スタン・シプリー氏は、早期に経済活動を再開した州の感染動向に関するデータを監視する必要があると指摘。「安全に経済活動を再開できるのか明白に分かるまで市場の膠着は続く」と述べた。
2年債 (US2YT=RR)利回りは0.2144%と、低下幅は1bp未満にとどまった。2年債と10年債の利回り格差 (US2US10=RR)は38bpと、前日終盤の水準との差は1bp未満となっている。
<株式> 上昇して取引を終えた。アップル (O:AAPL)とマイクロソフト (O:MSFT)が共に1%超上昇し、S&P総合500種を押し上げた。
両社は来週、四半期決算の発表を予定している。
一方、ボーイング (N:BA)は6%を超す下げとなった。787ドリームライナーの生産を約半減させる計画と報じられた。
業種別ではS&P11セクター全てが上昇。情報技術 (SPLRCT)は2.1%高、素材 (SPLRCM)は1.5%高となった。
もっとも、主要3指数は週間で下落。S&P500が1.3%、ダウ工業株30種が1.9%、ナスダック総合が0.2%それぞれ値下がりした。4月の経済活動がほぼ崩壊しているほか、新規失業保険申請件数が5週間で2600万件を超えたことなどを受け、深刻な不況に陥るとの懸念が重しとなった。
一方、南部ジョージア州はこの日、全米に先駆けて新型コロナ流行で休止状態にある経済活動の一部再開に踏み切り、スポーツジムや美容室、入れ墨店などの営業が再開された。
USバンク・ウェルス・マネジメントのエリック・フリードマン最高投資責任者(CIO)は、投資家は米経済活動の迅速な再開を過大評価している可能性があり、経済活動が数カ月間にわたって再開されないことが明らかになれば、S&P500は5%超下落する可能性があると警告。「このような見方は市場でやや脇に追いやられているようで、株価が一段と上昇する前に下落したとしても驚きではない」と述べた。
アナリストによると、S&P500構成銘柄の第1・四半期利益は15%減が見込まれている。特にエネルギーセクターは60%を超える減益が見込まれており、債務不履行(デフォルト)や従業員の解雇、倒産などの懸念が高まっている。
米商務省が24日発表した3月の耐久財受注統計は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.1%増と、市場予想の6.0%減に反してプラスに転じた。ただ新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が急停止したほか、原油価格が急落したことを踏まえると、コア資本財受注は伸び続けない可能性が高いとみられている。
米株式市場の投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数) (VIX)は3営業日連続で低下した。
アマゾン (O:AMZN)は0.4%上昇し、終値ベースでの過去最高値を更新した。来週30日に四半期決算の発表を予定。アマゾンの時価総額はネット通販の急増を背景に2月中旬から1000億ドル超増加している。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.65対1の比率で上回った。ナスダックでも2.00対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は102億株。直近20営業日の平均は125億株。
<金先物> 週末を控えた利益確定やポジション調整の売りが優勢となり、3営業日ぶりに反落した。中心限月6月物の清算値は前日比9.80ドル(0.56%)安の1オンス=1735.60ドル。前週末比では2.17%高。
米ミシガン大学が朝方発表した4月の消費者景況感指数(確報値)は71.8と、暫定値の71.0から上方修正され、市場予想の68.0も上回った。前月確報値の89.1を大きく下回っているものの、安全資産の金にとっては一定の圧迫要因となった。一方、トランプ米大統領はこの日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業への追加支援を柱とする4840億ドルの対策法案に署名、同法は成立した。インフレヘッジとしての金の需要は引き続き高いとみられる。
金塊現物相場は午後3時現在、5.570ドル安の1724.190ドル。
<米原油先物> 米イラン関係の緊張が続いていることなどを手掛かりに、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値は、前日比0.44ドル(2.7%)高の1バレル=16.94ドルとなった。7月物は0.22ドル安の21.22ドル。
今月中旬にイランの艦艇が米軍艦艇に異常接近したのを機に、両国間の緊張が再燃。トランプ米大統領が22日、「イランの軍艦が米国の船に嫌がらせをすれば、砲撃し破壊してよいと海軍に指示した」とツイッターに投稿するなど、両国間の応酬が続いている。中東産原油の供給に支障が出るとの見方から、原油先物相場の押し上げにつながっている。
また、トランプ氏はこの日、米エネルギー業界の支援のため、政府が燃料を購入するとの考えを提示したほか、テキサス州やオクラホマ州、カナダなどのエネルギー企業が減産を進めていると強調した。この他、石油輸出国機構(OPEC)加盟国アンゴラの鉱物資源・石油相が、各国の石油業者が一層の減産を進めるべきだと発言したことが報じられた。
ドル/円 NY終値 107.50/107.53
始値 107.58
高値 107.66
安値 107.38
ユーロ/ドル NY終値 1.0820/1.0822
始値 1.0784 (EUR=)
高値 1.0829
安値 1.0778
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 120*22.00 1.1752% (US30YT=RR)
前営業日終値 119*29.00 1.2030%
10年債(指標銘柄) 17時05分 108*16.00 0.6055% (US10YT=RR)
前営業日終値 108*14.50 0.6110%
5年債(指標銘柄) 17時02分 100*19.50 0.3750% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*20.50 0.3690%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*09.38 0.2225% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*09.63 0.2190%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 23775.27 +260.01 +1.11 (DJI)
前営業日終値 23515.26
ナスダック総合 8634.52 +139.77 +1.65 (IXIC)
前営業日終値 8494.75
S&P総合500種 2836.74 +38.94 +1.39 (SPX)
前営業日終値 2797.80
COMEX金 6月限 1735.6 ‐9.8
前営業日終値 1745.4
COMEX銀 5月限 1526.3 ‐9.4
前営業日終値 1535.7
北海ブレント 6月限 21.44 +0.11 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 21.33
米WTI先物 6月限 16.94 +0.44 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 16.50
CRB商品指数 112.7549 ‐0.7353 (TRCCRB)
前営業日終値 113.4902 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200424T211707+0000