執筆:Geoffrey Smith
Investing.com -- FRBのパウエル議長が上院銀行委員会に出席し、インフレの「定着化」を阻止することを約束する声明を出す予定。バイデン大統領は、選挙手続きの厳格化を目指す州レベルの法律を無効とする民主党の法案を支持する見通し。株価は月曜日の後場からの上昇トレンドを維持。原油市場では、米国短期エネルギー見通しと石油の週間在庫データが発表を控える。1月11日(火)の金融市場で重要なトピックは、以下の通り。
1. パウエル議長の上院での声明
パウエル議長は、2期目就任に際して、議会上院銀行委員会での再任承認公聴会に出席する。米国東部時間10時(グリニッジ標準時15時)の公聴会に先立って発表された冒頭発言文によると、パウエル議長はインフレを「定着」させないと述べるとみられる。
サプライ・チェーンの問題、労働力不足、景気刺激策によって可処分貯蓄が高まり、パンデミック中も需要を維持することができたことなどを背景に、12月に発表された年次の消費者物価指数が過去40年間で最高となった。当声明はこの高インフレ率の発表前に準備されたものである。
その他、アトランタ連銀のRaphael Bostic総裁はウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し、今年の利上げは3回にとどまるとの見通しを示したが、4回目の利上げのリスクもあるとの見方を示した。クリーブランド連銀のLoretta Mester総裁とカンザスシティ連銀のEsther George総裁は、いずれも米国東部時間午前9時に講演を行う予定だ。
2. バイデン大統領はフィリバスターに対処する方針
バイデン米大統領は、今後予定されている演説で、上院の「フィリバスター(議事妨害)」による法案阻止能力を抑制する措置に支持する見通し。
多くの有権者が投票することを困難にするような州レベルの法律を阻止することを目的とした新しい連邦法の議論を下院が行う予定の数日前に、当演説は行われる。テキサス州など共和党が優勢の多くの州では、直近数カ月間、選挙の健全性を保つことを目的とした法案を提出している。
下院に提出される民主党提案の法案は、選挙日を祝日とし、全米で15日間の期日前投票を認め、さらにすべての州で郵便投票を認めることを義務づけるものである。
フィリバスターのルールを改革することは、政治権力を強める可能性がある一方で、州議会と連邦議会の間の歴史的に微妙なままとなっている憲法上の力関係を崩すおそれがある。伝統的に州は、独自の投票手続きを設定する最終決定権を持っている。
3. 米国株式市場は上昇基調で取引を開始
米国株式市場は、月曜日の後場にみられた上昇基調を維持し、火曜日も上昇する見通し。
コロナ禍の燻りを受けて、ウイルスに感染して隔離を余儀なくされた労働者の大量欠勤により、経済成長ペースは減速するかもしれないという懸念から、市場は今週下落してスタートしたものの、月曜日の後場に入ると反発した。週末にGoldman Sachs (NYSE:GS)やJP Morgan (NYSE:JPM)のアナリストが指摘した年内4度目の利上げ懸念はやや緩和された。
米国東部時間午前6時20分までに、Dow Jones 先物は78ポイント(0.2%)、S&P 500 先物 は0.3%、Nasdaq 100 先物は0.5%それぞれ上昇。
Rivianの業務統括責任者Rod Copes氏が先月末に退社したとの報道があったため、同社は注目を集めそうだ。また、JP Morganが主催している年次投資会議2日目も市場の注目を集めるだろう。
4. オミクロン株の対応に追われる中国
オミクロン株は、中国のゼロ・トレランス(不寛容)政策を脅かしている。河南省の第二の都市である安陽市では、市全域でコロナ感染が確認されたことから、地域当局は都市封鎖を実施している。
また世界第4の港湾を持つ天津では、住民を対象とした大規模な感染検査キャンペーンが続いている。寧波港では先週から規制がかかり、輸送トラックの稼働率が急落した。
香港では空港を閉鎖し、さらに150の都市からの入国を禁止した。
5. APIおよび短期エネルギー見通しの発表を前に原油価格は上昇
原油はオミクロン株による経済活動の低迷による短期的な需要減退の問題を克服、より活発な需要回復が見込まれる年後半に主要生産国が直面する問題に注目が集まっているが、引き続き原油価格は上昇を継続。
米国東部時間午前6時30分には、米国原油先物は1バレル79.34ドルで1.6%上昇、ブレント原油は1バレル81.98ドルで1.4%上昇。
米国東部時間午後4時30分には、米国石油協会が米国の原油・留出油在庫の週間推定値を発表し、エネルギー情報局は短期エネルギー見通しを発表する予定だ。