[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日に発表した6月の製造業景気指数は53.0と、前月の56.1から低下し、2020年6月以来の低水準を付けた。市場予想の54.9も下回った。
新規受注指数が約2年ぶりに拡大と縮小の節目である50を下回ったほか、雇用指数が2カ月連続で低下。連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めで景気が冷え込みつつあることが改めて確認された。
消費の対象がモノからサービスに回帰していることが減速の一部要因になっているとみられるが、このところの経済指標で金利上昇による需要減退が示されている。ウェルズ・ファーゴ(ニューヨーク)のエコノミスト、シャノン・シーリー氏は「投資支出が弱まり始めており、経済の急速な減速が改めて示された」との見方を示した。
ネイションワオイドのシニアエコノミスト、ベン・アイヤーズ氏は「景気後退が近づいていることを示唆するものではない」としながらも、「FRBの金融引き締めに加え、消費者と企業に対するコスト圧力が拡大していることで、経済成長を巡る状況は悪化し続けている」と指摘。一方、FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のシニアエコノミスト、ウィル・コンパーノル氏は「今回の数値は割り引いて考える必要がある」とした。
先行指標となる新規受注指数は49.2と、55.1から低下。20年5月以来初めて50を下回った。輸送機器、電気機器・部品メーカーなど一部業種で需要は堅調に推移したが、大部分の業種で受注が伸び悩んだ。
供給業者の納入を示す指数は57.3と、65.7から低下。JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「供給網を巡る問題の緩和に関連して納入指数が低下した可能性があるが、需要の減退も一因として挙げられる」としている。
価格指数は78.2と、82.2から低下。インフレがピークを付けた可能性があることが示唆された。
雇用指数は47.3と、49.6から低下。労働力需要の減退と人手不足が重なり、20年11月以来の低水準を付けた。
FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「企業は人員削減を進めているとしているが、レイオフ件数は週間新規失業保険申請件数に反映されていない」と指摘。「雇用指数は6月も拡大と縮小の節目である50を下回ったが、5月の製造業部門雇用者数は1万8000人増加している」とした。