[ロンドン 5日 ロイター] - 5日に辞任したスナク財務相の後任に任命されたザハウィ教育相には、2けた台のインフレや景気後退懸念などの難題が待ち構える。ザハウィ氏は元々英世論調査会社ユーガブの共同創業者で、その後に政界入りした人物だ。スナク氏とジョンソン氏は政府債務の拡大余地を巡る対立がしばしば伝えられていた。
スナク氏が5月に発表した最新の緊急生活費支援策などのおかげで、短期的には英経済は2四半期連続のマイナス成長は免れるとみるエコノミストは多い。しかし、来年にかけて成長が停滞する可能性も高いことから、支持率の低落する与党保守党は既に今秋の付加価値税減税を要求している。これは何百億ポンドもの歳入減につながり、公的債務をさらに増大させることになる。英公的債務はコロナ禍の中で約2兆ポンド(2兆3900億ドル)を超え、対国内総生産(GDP)比率は既に約96%に達している。保守党は歳出拡大も訴えている。
国際通貨基金(IMF)は4月、来年の英国経済は他の主要国よりも成長鈍化やインフレ長期化がはなはだしくなるとの予測を発表。その後もポンド安は進み今週5日には対ドルで約2年ぶりの安値を付けた。ポンド下落は国内のインフレ圧力をさらに高める。既に5月のインフレ率は40年ぶりの高い伸びとなる9.1%を記録し、イングランド銀行(中央銀行)は10月には11%を超えるとの予測を出している。同行の利上げに家計や企業の信頼感下落が重なって、4─6月の経済はマイナス成長だったとみられている。
ザハウィ氏は英国の欧州連合(EU)離脱後の積み残しの経済問題でも主要な役割を果たすことが求められる。英領北アイルランドを巡る物流規則問題の行方によっては英国の対EU輸出は大きな障壁に直面することになりかねない。