[フランクフルト 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は27日、銀行に早期返済を促すため、ターゲット型長期流動性供給オペ第3弾(TLTRO3)の条件を変更すると発表した。
TLTRO3を巡っては低金利の資金供給によってインフレ抑制の妨げになっていると指摘されていた。
ECBは「2022年11月23日から各TLTRO3オペの満期日または繰り上げ返済日まで、TLTRO3オペの金利はこの期間に適用されるECBの主要金利の平均に連動する」と表明。また、銀行に対し、新たに自発的な繰り上げ返済日を提案するという。
TLTROを通じたユーロ圏銀行への融資額は2兆1000億ユーロ(2兆1000億ドル)。
ECBはまた、銀行の最低準備金にかかる金利を主要リファイナンス・オペ金利ではなく、預金金利に再設定することも決定。ECBはこの日、預金金利を1.5%に、主要リファイナンス・オペ金利を2%に引き上げた。
ピクテ・ウェルス・マネジメントのマクロ経済調査部門トップ、フレデリック・デュクロゼ氏はツイッターで、融資条件を遡及的に変更する決定は「最も過激で、あらゆる選択肢の中で最悪だ」と指摘した。
アナリストは、遡及的な変更は、将来、危機が発生した際に銀行による同様の制度利用の抑制につながると警告している。
ドイツの協同組合銀行で構成されるBVR協会は声明を発表し、この変更は「ECBの信頼性に疑問を投げかける」と批判した。
ユーロ圏銀行株は、この決定を受けて一時的に下落。しかし、その後イタリアの銀行株が主導してプラスに転じた。TLTROの変更が当初懸念されていたほど悪くはなかったと評価された。
ECBを監督する欧州議会のミヒール・ホーヘフェーン議員はECBは信用を失うリスクを冒しながらも、合理的かつ論理的な方法で決断を下すに至ったとの認識を示した。
ラガルド総裁は理事会後の会見で、銀行による訴訟につながるリスクを考慮しても、これが政策の伝達を加速させるための最善の金融政策決定だと確信していると述べた。