[トロント 14日 ロイター] - 低迷が続いたカナダ住宅市場に回復の兆しが出ていることについて、インフレ押し上げ要因となり、先月利上げを停止したカナダ銀行(中央銀行)の利下げ転換を遅らせる可能性があるとアナリストは指摘する。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ロバート・カブチック氏は「住宅市場が本格的に持ち直し始めても中銀はあまり喜ばないだろう」と述べ、住居費の観点で今年後半はインフレ上昇をもっと実感できるようになると予想した。
カナダの消費者物価指数(CPI)で住居費のウエイトは30%と最も高い。
カナダで最も人口の多いトロント大都市圏の平均住宅価格は4月に3カ月連続で上昇。他の主要地域でも上昇が見られた。
一方、金利高にもかかわらず住宅ローン延滞率は今のところ低水準で推移している。
ただ、状況は一変する可能性がある。ロイヤル・バンク・オブ・カナダはこのほど、住宅ローン延滞率が今後1年間で約30%上昇するリスクに警鐘を鳴らした。
もう一つの懸念材料は米地方銀行部門のストレスがカナダに波及する恐れだ。
それでもなお、住宅の供給不足や記録的な移民流入、堅調な労働市場は住宅市況の改善を後押しする。
キャピタル・エコノミクスのシニア・カナダ・エコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は、賃金の伸びが鈍ってインフレを下押ししても、住宅価格が高騰すれば中銀が利下げを急ぐことはないだろうと述べた。