[ワシントン 30日 ロイター] - 米商務省が30日発表した2023年第2・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期より2.1%増と、7月に発表された速報値の2.4%増から下方改定された。在庫投資と設備投資、知的財産権への支出が速報値から下振れしたのが要因。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は速報値から改定なしだった。
ただ、引き続き堅調な経済成長を維持しており、労働市場の逼迫が個人消費を下支えしていることから第3・四半期の序盤に成長の勢いは増したとみられる。
第1・四半期は2.0%増えていた。
EYパルテノン(ニューヨーク)のシニア・エコノミスト、リディア・ブースール氏は「経済に基調的な勢いがあることが改めて示された。金利上昇、信用状況の引き締まり、脆弱な世界的な背景の中でも、米経済は底堅く推移している」と述べた。
今回の改定値では、在庫投資が18億ドル減と、速報値の93億ドル増から大幅に下方改定された。在庫のGDPへの寄与度は若干のマイナス。速報値は0.14%ポイントのプラスだった。
設備投資などに対する企業支出も下方改定された。
米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)価格指数は3.7%上昇。速報値は3.8%上昇だった。第1・四半期の4.9%からは大幅な減速となる。
所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は0.5%増。第1・四半期は1.8%減少していた。
経済活動を推し測る上でより的確な指標とされるGDPとGDIの平均は1.3%増。第1・四半期は0.1%増だった。
FRBは2022年3月からの利上げで政策金利を計525ベーシスポイント引き上げたにもかかわらず、経済成長は続いている。
今年7月の求人件数は2年3カ月ぶりの低水準となり、労働市場は軟化している。ただ、雇用主は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に雇用が困難だったため、おおむね雇用をつなぎ留めている。
このため賃金が上昇し、個人消費を後押ししている。7月の小売売上高は底堅く伸び、一戸建て住宅着工件数も大幅に増えた。
エコノミストは第3・四半期のGDP予想を5.9%増へ引き上げたが、経済の健全性が誇張されている可能性が高い。