Divya Chowdhury
[ムンバイ 6日 ロイター] - 日本、欧州、ニュージーランド(NZ)の経済専門家や中央銀行当局者は中国の成長鈍化が続くと予想しており、現在のコンセンサス予想よりもさらに鈍化する可能性があると見ている。インフラ・投資主導から消費主導への経済移行は難しそうだ。
中国経済の危機は景気循環的というよりも構造的なもので、世界的な成長見通しの低下につながるほか、コモディティー(商品)価格の冷え込みを通じてインフレ圧力の緩和をもたらす見通しという。
元日銀審議委員の木内登英氏はロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラム(GMF)で、中国の成長率は「4%未満、あるいは3%未満」まで低下するとの予想を示し、世界経済に悪影響を及ぼす可能性があるとした。
同じく元日銀審議委員の片岡剛士氏は、中国経済の「厳しい未来」を予測。「中国のインフレ率はゼロ%前後で、これは国内需給のゆがみを意味する」と語る。
財新/S&Pグローバルが5日発表した8月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は51.8と7月の54.1から低下し、昨年12月以来の低水準を付けた。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのブイチッチ・クロアチア中銀総裁は「欧州と世界経済にとってマイナスの外需ショックリスクがあることは確かだ」と述べ、警戒感を示す。
また、中国で拡張的な政策の余地が狭まっていると指摘。「注意しなければならない」と述べた。
同じくECB理事会メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁は、習近平政権が「進むべき方向についてちゅうちょ」したままである限り、中国経済のダイナミズムは戻らないとの考えだ。
2023年を通じ、中国経済は新型コロナウイルス禍後の景気回復の勢いを失っている。苦境の不動産セクター支援を目的とした最近の措置を含む景気刺激策も消費を大幅に復活させることはできていない。
米欧経済も中国への依存度を下げるため対中関係の「デリスク(リスク低減)」を模索している。
<インフレ圧力緩和も>
一連のGMFインタビューでは、中国経済の減速による商品価格の下落はインフレと闘う先進国の中銀にとって明るい兆しになり得るとの認識も示された。
NZ中銀のホークスビー副総裁は、インフレ圧力がわれわれの中心的な見方よりも早く和らぐ可能性があると指摘。商品価格が再び上昇に転じるまでの「かなり落ち着いた期間」をすでに予測に織り込んでいると述べた。
(Savio Shetty記者、Lisa Mattackal記者、Mehnaz Yasmin記者)