[バンコク 11日 ロイター] - タイ議会では11日、セター・タビシン新首相の政策方針を巡り、野党議員から非難が相次いだ。政策方針が曖昧である上、首相が属するタイ貢献党が掲げた選挙公約の一部に踏み込んでいないとの声が上がった。
セター氏は議会で自身の政策方針を説明、デジタルウォレットを通じた給付やエネルギー価格の引き下げ、観光業を支援するためのビザ発給要件の緩和といった措置に重点的に取り組むとアピールした。
同氏はまた、政府は年率5%以上の経済成長を目指すほか、短期的には観光需要の喚起によって経済を下支えすると強調した。
だが議会の最大勢力である前進党は、タイ貢献党の政策方針は具体性に欠けると追及。前進党のシリカンヤ議員は「明確な目標が設定されていない上、達成時期や予算も明示されていない。政策方針には詳しい説明が必要だ。願望リストであってはならない」と述べた。
セター氏は、16歳以上の全国民にデジタルウォレットを通じて1万バーツ(282.09ドル)を給付することにより、経済が活性化されると主張した。
しかし一部の議員は、総額5600億バーツ(158億ドル)の費用が必要になると推計されるこのプロジェクトの財源について質し、前進党のシリカンヤ氏は、セター氏が「財政規律を放棄することで政権運営を始める」つもりなのかと詰め寄った。
一方、民主党のジュリン前商務相は、貢献党が掲げた選挙公約の一部が盛り込まれていないと指摘。「(貢献党は)初任給を2万5000バーツにすると約束したが、言及されていない」と訴えた。