[14日 ロイター] - <為替> ドル指数が6カ月ぶりの高値を付けた。経済指標が予想より良好な内容となったほか、欧州中央銀行(ECB)が利上げサイクルの終了を示唆したことを受けた。
米商務省が14日発表した8月の小売売上高(季節調整済み)は前月比で0.6%増とロイターがまとめた市場予想の0.2%を上回った。9月9日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は22万件に増加したものの、ロイターがまとめたエコノミスト予想の22万5000件ほど悪化しなかった。
米労働省が14日発表した8月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比で0.7%上昇。ガソリン価格が高騰したのが響き、伸び率は2022年6月以来、1年2カ月ぶりの大きさとなった上、ロイターがまとめた市場予想の0.4%上昇を上回った。
ドル指数は0.64%高の105.41。一時105.43と3月9日以来の高値を付けた。1日の上昇率としては1週間超ぶりの大きさとなる見込み。
ユーロ/ドルは0.89%安の1.0635ドル。一時3月17日以来の安値となる1.0629ドルまで下げた。
ECBは14日の理事会で、主要政策金利を0.25%ポイント引き上げる一方で、利上げ打ち止めの可能性を示唆した。
シルバー・ゴールド・ブルのFX・貴金属リスクマネジメントディレクター、エリック・ブレガー氏は、ECBのラガルド総裁は「これが最後の利上げになる可能性をほのめかしている。なぜなら一定期間金利をこの水準で維持すれば責務が果たせるとみているからだ」と指摘。「加えて、失業保険申請件数や小売売上高、PPIなど今朝発表された米経済指標は全て予想より良好な数値となり、ドルのさらなる追い風となった」と述べた。
良好な米経済指標にもかかわらず、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に対する見方はほぼ変わらなかった。CMEのフェドウオッチによると、9月19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが金利を据え置く確率は97%と、前日の96%からわずかに上昇した。11月FOMCでの0.25%ポイントの利上げ確率は前日の41%から35.3%に低下した。
ポンド/ドルは0.68%安の1.2418ドル。一時3カ月ぶりの安値となる1.2400ドルを付けた。下落率は8月24日以来の大きさとなる見込み。
ドル/円は0.01%安の147.44ドルだった。
中国のオフショア人民元は下落。中国人民銀行(中央銀行)は14日、銀行預金準備率(RRR)を0.25%引き下げると発表した。
ドル/オフショア人民元は一時7.2969元まで上昇。終盤は0.27%高の7.2907元となった。
<債券> 国債利回りが上昇した。この日発表された8月米小売売上高や卸売物価指数(PPI)は市場予想を上回った。ただ、その要因となったガソリン価格高騰の勢いは今後数カ月で弱まるとみられている。
マッコーリーの経済部長、デビッド・ドイル氏は「インフレ率が奇跡的に低下し、その後も低下し続けるとは考えていない。インフレ率が持続的に2%の目標水準に戻るには時間がかかるだろう」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、20日まで開催のFOMCでFRBが金利を引き上げる可能性を3%程度織り込んでいる。FF金利の誘導目標は2024年6月まで5%を上回ると予想され、大幅利下げは翌月以降になるとみられている。
2年国債利回りは3.4ベーシスポイント(bp)上昇の5.018%、10年国債利回りは4.2bp上昇の4.290%だった。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス73.0bpだった。
30年国債利回りは4.7bp上昇し、4.384%となった。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.309%、10年物が2.338%だった。
<株式> 上昇して終了した。一連の米経済指標を受け、来週のFOMCで利上げが決定されるとの観測は高まらない中でも、景気後退(リセッション)に対する懸念が和らいだことが背景。ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アームがナスダック市場に力強く上場したことも押し上げ要因となった。
アームの初値は米国預託株式(ADS)1株当たり56.1ドルと、新規株式公開(IPO)価格の51ドルを10%上回った。終値は公開価格を25%近く上回り、時価総額は650億ドルとなった。
上場を計画する他の企業にとっても市場の信頼感を示す結果となった。
米商務省が発表した8月の小売売上高は前月比0.6%増と予想以上に増加した。一方、週間の新規失業保険申請件数は前週から増加。8月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.7%上昇し、伸び率は1年2カ月ぶりの大きさだった。
ベアードの投資戦略アナリスト、ロス・メイフィールド氏は「きょうの経済指標はソフトランディング(軟着陸)への道筋を裏付けるものだが、FRBがあと数回の利上げが必要と考えるほど強い内容ではない」とし、「総じて強気だ」と述べた。
パソコン大手HPは1.8%下落。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイがHP株約550万株を売却したことを明らかにした。
バイオ製薬会社モデルナは3.9%高。欧州当局の諮問委員会が同社の新型コロナウイルス改良ワクチンを推奨したことを好感した。
<金先物> 堅調な米経済指標の発表などを眺めた売りが先行したものの、あと買い戻しが入り、小反発した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比0.30ドル(0.02%)高の1オンス=1932.80ドル。
<米原油先物> 需給引き締まり観測が再燃し、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は前日比1.64ドル(1.85%)高の1バレル=90.16ドル。90ドル台の節目に乗せるのは、昨年11月初旬以来約10カ月ぶり。11月物は1.73ドル高の89.61ドルだった。
ドル/円 NY終値 147.47/147.48
始値 147.31
高値 147.56
安値 147.03
ユーロ/ドル NY終値 1.0641/1.0645
始値 1.0733
高値 1.0746
安値 1.0633
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*24.50 4.3801%
前営業日終値 96*15.00 4.3370%
10年債(指標銘柄) 17時05分 96*22.50 4.2863%
前営業日終値 97*00.00 4.2480%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.75 4.4189%
前営業日終値 99*29.75 4.3910%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*31.13 5.0135%
前営業日終値 100*00.88 4.9840%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34907.11 +331.58 +0.96
前営業日終値 34575.53
ナスダック総合 13926.05 +112.47 +0.81
前営業日終値 13813.59
S&P総合500種 4505.10 +37.66 +0.84
前営業日終値 4467.44
COMEX金 12月限 1932.8 +0.3
前営業日終値 1932.5
COMEX銀 12月限 2299.4 ‐18.7
前営業日終値 2318.1
北海ブレント 11月限 93.70 +1.82
前営業日終値 91.88
米WTI先物 10月限 90.16 +1.64
前営業日終値 88.52
CRB商品指数 290.2853 +2.6606
前営業日終値 287.6247