David Randall
[ニューヨーク 22日 ロイター] - 米株式市場では、連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢や米国債利回りの大幅上昇、政府機関閉鎖の可能性といったリスクが重なって投資家が動揺し、相場の先行きに影を落としている。
7月終盤につけた高値からの米国株の下落率は6%を超え、特に過去1週間では不安感が強まっている。FRBが高金利政策を予想よりも長く続ける意向を示唆し、株安と国債利回り上昇を助長した形だ。
S&P総合500種は18─22日の週に2.9%下落。これは週間ベースとして3月以来の大きな落ち込みだった。
アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は「夏の数カ月間は底堅い成長があったが、経済に対する相当大きなリスクが存在する局面に入ってきた。投資家はリスクオフが妥当なことを示す根拠を目にしつつあり、株式の買い意欲はある程度弱まっていくだろう」と述べた。
アネックス・ウエルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブソン氏は、FRBが経済のソフトランディングシナリオに自信を持ち過ぎている点に懸念を抱く。「FRBの自信には危うさが潜んでいる。なぜならそれは経済が弱くなっていることを示す初期段階の兆しを無視してしまうからだ」という。
米株にとっては、原油高や10月からの大学生のローン返済再開、そして議会が9月末までに予算を可決できない場合に起きる政府機関閉鎖などもリスク要因に挙げられる。
さらに季節的にもこれから地合いは悪くなる。BofAグローバル・リサーチによると、S&P総合500種は18日時点で歴史的に年間でもっとも値動きが低調となる10営業日に突入した。この間の下落率は1.66%。しかも9月最初の10営業日の値動きも年間平均に比べてさえない後に、こうした局面を迎える。
BofAのアナリストチームは「歴史的にはかなりひどい値下がりを経て10月に入っていく」と指摘した。
もっとも各種指標を見ると、押し目買いのチャンスを待っている投資家の手元資金は非常に多い。トゥルーイストのキース・ラーナー共同最高投資責任者は、S&P総合500種が現在より約3%低い4200まで下落すれば、買い手が参入してくる公算が大きいとみている。
S&P総合500種がこの水準なら株価収益率(PER)は17.5倍で、過去10年平均並みに落ち着く、というのが同氏の見方で、4200近辺での買いが短期的な相場の弱さを和らげてくれると想定される。
LPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンクイスト氏は、S&P総合500種がなお200日移動平均を上回っていて、投資家が質への逃避に走る兆候も乏しいことから、楽観姿勢を崩していない。
ターンクイスト氏は「米株は下がっているが、完全に終わったわけではない。強気相場の流れの中での揺り戻しは全く普通の出来事だ」と語った。