<為替> ドル指数が小幅下落した。ただ、四半期ベースでは年初来最大の上げ幅を記録し、週間でも11週連続上昇となる基調にある。投資家は堅調な米経済の持続と金利上昇長期化の可能性を織り込んでいる。
ドル指数は、この日は0.05%安の106.09となった。27日に付けた10カ月ぶり高値106.84からは下落したものの、今四半期は3.13%上昇し、週間でも11週連騰を記録する勢いとなっている。
複数のアナリストがドル高は続くとみている。ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の為替戦略担当グローバルヘッド、ウィン・シン氏は「今日のドル下落は四半期末のリバランスによる可能性が高いとみている。この調整がいつまで続くかはわからないが、投資家は割安な水準で再びドルを買い持ちにする機会をうかがうべきだ」と述べた。
一方、政府機関の一部閉鎖が迫っていることは、経済指標の発表に影響を与え、経済成長に水を差す可能性がある。
米議会下院は29日、マッカーシー下院議長(共和党)が提案した10月末までのつなぎ予算案を賛成198、反対232で否決した。これにより10月1日から連邦政府機関が一部閉鎖されることがほぼ確実となった。
ドル/円は0.06%高の149.41円となった。27日につけた11カ月ぶり高値149.71円からは下落した。前四半期の8.66%上昇に続き、今四半期は対円で3.54%上昇した。
円は150円台目前で推移しており、日本当局による介入警戒感が高まっている。
ユーロ/ドルは0.10%高の1.0578ドルとなったが、四半期では3.08%下落し、この1年で最大の下げ幅を記録した。
英ポンドは0.04%上昇の1.2206ドル。四半期ベースでは3.85%安となる見通しで、この1年で最悪のパフォーマンスとなっている。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを終了するとの見方が強まった。
指標となる10年債利回りは終盤には2.2bp低下し4.575%と、28日に付けた2007年9月以来16年ぶり高水準である4.688%から11bp低下した。
それでも、10年債利回りは週間で13.7ベーシスポイント(bp)上昇し、7月以来の大幅上昇を記録した。月間では48.6bp上昇し、今年最大の上昇幅となった。
第3・四半期には76bp上昇し、四半期としては22年9月以来の大幅上昇となった。
米商務省が29日発表した8月の個人消費支出(PCE)価格指数によると、コアPCE価格指数は前月比で0.1%上昇。伸びは7月の0.2%から鈍化し、20年11月以来の小ささとなった。
SLCマネジメントの投資戦略・資産配分担当マネージングディレクター、デック・マラーキー氏は「データは引き続きディスインフレが軌道に乗っていることを裏付けており、FRBは年内いっぱい金利を据え置くことができるだろう」と述べた。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス46.80bpまで縮小した。
月間では、イールドカーブは28.8bpスティープ化し、3月以来のタイトなスプレッドとなった。四半期ではスプレッドは59.20bp縮小した。
2年債利回りは1.9bp低下し5.052%となった。
CMEのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場は11月の利上げ確率をわずか14%と見積もっている。1カ月前には40%を超えていた。
30年債利回りは2.6bp低下し4.703%。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、10年物が2.343%だった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> S&P総合500種が下落して取引を終えた。投資家は米インフレ指標が連邦準備理事会(FRB)の金融政策に及ぼす影響を消化した。第3・四半期末のポートフォリオ調整も重しとなった。
S&P500とナスダック総合は月間で今年最大の下落率を記録。四半期では主要3指数全てが今年初の下げとなった。
米商務省が29日発表した8月の個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが前年同月比3.9%と、前月の4.3%から減速し、2021年6月以降で初めて4.0%を下回った。
PCE発表を受け株価は当初上昇していたが、その後下げに転じた。
USバンク・ウェルス・マネジメントのエリック・フリードマン最高投資責任者(CIO)は「インフレ率は予想より好転しているものの、なお高止まりしている」と指摘。一方で「四半期末を迎え、株式と債券の両市場であらゆる動きが見られる」とした。
業種別では、エネルギーが約2%、金融が0.9%それぞれ下落した。ただ第3・四半期のパフォーマンスではエネルギーが最も上昇したセクターとなった。
フリードマン氏は「エネルギーと金融は相対的に上昇しており、きょうはある程度のリバランス効果が見られる」とした。
四半期ベースではS&P500が約3.6%、ダウ工業株30種が2.6%、ナスダックが4.1%それぞれ下落した。月間ではS&P500が4.9%安、ダウが3.5%安、ナスダックが5.8%安となった。
個別銘柄では、米スポーツ用品大手ナイキが6.7%高。28日発表した第1・四半期(6─8月)決算は、利益が市場予想を上回った。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.2対1の比率で上回った。ナスダックでは1.1対1で値上がり銘柄が多かった。
米取引所の合算出来高は約113億株。直近20営業日の平均は104億株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> ドル安に伴う買いが先行したものの、あと利益確定の売りに押され、5営業日続 落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比12.50ドル(0.67%)安の1オンス=1866.10ドルと、3日連続で今年3月中旬以来6カ月半ぶりの 安値を更新した。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米中経済への懸念がくすぶる中、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前日比0.92ドル(1.00%)安の1バレル=90.79ドル。この日は7〜9月期の最終取引日で、中心限月の前四半期末比では約28.5%高となった。12月物は0.79ドル安の88.80ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 149.35/149.40
始値 149.09
高値 149.49
安値 148.97
ユーロ/ドル NY終値 1.0570/1.0574
始値 1.061
高値 1.061
安値 1.0565
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 90*22.00 4.7086%
前営業日終値 90*12.50 4.7290%
10年債(指標銘柄) 17時05分 94*14.50 4.5793%
前営業日終値 94*10.00 4.5970%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.25 4.6161%
前営業日終値 99*29.50 4.6430%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.88 5.0519%
前営業日終値 99*27.75 5.0710%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33507.50 -158.84 -0.47
前営業日終値 33666.34
ナスダック総合 13219.32 +18.05 +0.14
前営業日終値 13201.28
S&P総合500種 4288.05 -11.65 -0.27
前営業日終値 4299.70
COMEX金 12月限 1866.1 ‐12.5
前営業日終値 1878.6
COMEX銀 12月限 2245.0 ‐29.1
前営業日終値 2274.1
北海ブレント 11月限 95.31 ‐0.07
前営業日終値 95.38
米WTI先物 11月限 90.79 ‐0.92
前営業日終値 91.71
CRB商品指数 284.5324 ‐2.5245
前営業日終値 287.0569