Leigh Thomas
[パリ 23日 ロイター] - パリ経済学院が主催する独立系調査機関、「EU税観測所」は23日の報告書で、各国政府が大富豪の課税回避を取り締まるために国際的な最低税率を導入すれば、年間2500億ドルの税収がもたらされるとの試算を示した。世界の大富豪2700人の総資産は約13兆ドルに上り、徴収するのはその2%に過ぎないと指摘している。
大富豪はペーパーカンパニーを使って所得税を逃れているため、実効税率は所得の少ない人々よりも往々にして大幅に低いと報告書は指摘。大富豪の個人税率は米国で0.5%に近く、フランスは一般に税率が高いにもかかわらず、大富豪はゼロの場合もあるとした。
EU税観測所は、国際的な大富豪への最低税率導入には長年を要する可能性があるとした上で、銀行の秘密主義をやめさせるなど、課税逃れの機会を減らす取り組みでは成功例もあると説明。2018年に口座情報の自動的な共有が始まると、富裕層がタックスヘイブン(租税回避地)に保有する資産は3分の1に減ったと指摘した。
ディレクターのガブリエル・ズックマン氏は記者団に、大富豪への最低税率導入に関して国際的な取り組みが進んでいない以上、「有志国の連合」が先行して実施すればよいとの考えを示した。