Yoshifumi Takemoto
[東京 22日 ロイター] - 政府は22日に公表した3月の月例経済報告で、景気の総括判断を「このところ足踏みもみられるが緩やかに回復している」との表現を据え置いた。日銀が大規模緩和政策を修正したことを踏まえ、政府の政策態度に「政府と日銀は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく」、「新たな成長型経済への移行に向け、あらゆる政策手段を総動員していく」との表現を追加した。
「デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる」との従来文言は据え置いた。
景気の個別項目では、設備投資の判断を引き上げる一方、輸入を引き下げた。
設備投資は、2月の「持ち直しに足踏みがみられる」から「足踏み」を削除した。国内総生産(GDP)2次速報で2023年10─12月期の設備投資が上方改訂されたことを反映した。半導体や自動車関連では生産能力強化に向け工場新設などの投資が行われ始め、契約金の支払いなども進んでいると内閣府はみている。
一方、輸入は2月の「おおむね横ばい」から3月は「このところ弱含んでいる」に判断を引き下げた。アジアから携帯電話機(スマートフォン)、半導体、パソコン、欧州からアルコール飲料や化粧品の輸入が減少したことを反映した。欧州からの輸入減は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海で商船を相次ぎ襲撃したことで海運各社が海上輸送航路を変更し、物流に遅れが生じた影響が出たとみている。
GDPの過半を占める個人消費については「足踏みがみられる」との文言を据え置いた。消費者マインドなどは改善し宿泊施設の稼働率などは回復しているものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により新車販売がこのところ弱い動きとなっていることなどを反映させた。
※〔表〕月例経済報告の景気判断の推移