Shinji Kitamura
[東京 2日 ロイター] - ドルが152円に再び迫ってきたことで、外為市場では、通貨当局の円買い介入に対する警戒度が一段と高まってきた。介入があれば円は大きく上昇する可能性もあり、通貨オプション市場では、円高に備えたポジションを相次ぎ構築する動きが広がっている。
2日の通貨オプション市場では、ドル/円のコールオプションとプットオプションの価格差を示すリスクリバーサルが一段と拡大。今年3月19日以来、2週間ぶりの水準へ達した。
同日は、日銀がマイナス金利の解除やイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の撤廃など、金融政策の大転換を決めた決定会合の当日だ。
つまり参加者の間では現在、日銀の利上げ前と同程度の円高リスクが警戒されていることになる。
1日に米国で発表された供給管理協会(ISM)の3月製造業景気指数は50.3と、事前予想の48.5を大きく上回り、景気拡大のめどとされる節目の50を1年半ぶりに超えた。発表を受けて、主要通貨に対する値動きを示すドル指数は、昨年11月以来の高値を更新した。
LSEGによると、米金利先物市場が織り込む米国の年内利下げ回数は現在2回程度と、数週間前の3回から後退。米10年債利回りも前日の取引で10bp超上昇し、年初来最高水準となる4.3%台へ上昇した。
ドルの先高観が強まる一方、同時に円高への警戒感が高まっているのは、当局の強い円安けん制発言が背景だ。ふくおかフィナンシャルグループのチーフストラテジスト、佐々木融氏は「(最近の)神田真人財務官のコメントを過去と比較すると、いつ介入があってもおかしくない発言内容となっている」と指摘する。
神田財務官は3月27日夕、日銀・金融庁との3者会合後「最近の円安はファンダメンタルズに沿ったものとは到底いえず、円安の背景に投機的な動きがあることは明らか」と語気を強めた。
きょうも介入の可能性を問われた鈴木俊一財務相が「一切申し上げない」と言葉を濁し、参加者の疑心暗鬼を誘った。市場では「介入前夜の様相」(国内証券アナリスト)との受け止めも出ている。
(基太村真司 編集:橋本浩)