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高木証券 Research Memo(9):預かり資産の拡大を図り、安定的な収益力の確立を目指す

発行済 2016-11-24 16:17
更新済 2016-11-24 16:33
高木証券 Research Memo(9):預かり資産の拡大を図り、安定的な収益力の確立を目指す
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■中期経営計画

高木証券 (T:8625)は、証券業界を取り巻く厳しい経営環境が続くなかで、着実な業績の向上を図るため、顧客基盤と預かり資産の拡大を図り、相場環境に左右されない安定した収益力の確立を目指している。


そのための重点戦略として、以下の3つの施策を掲げる。


(1)投資信託を第1の戦略商品として、「ファンド・ラボ」シリーズ(ファンド分析ツール) の活用で、投資信託の残高拡大につなげる。

(2)株式を第2の戦略商品として、NISA 対応、外国株式の強化、タイムリーな情報提供、引受部門の強化を行い、株式営業を強化する。

(3)相続対策、不動産売買紹介など外部の専門家との業務提携を拡大し、顧客にとって最良の全体資産設計を提案することで、「家計資産のベストパートナー」を目指す。


(1)については、投資信託の圧倒的な品ぞろえに加えて、顧客目線による他に類を見ない「ファンド・ラボ」シリーズ(ファンド分析ツール)や業界初となる「投信の窓口」を売りとして、顧客との信頼関係を築き、結果的に預かり資産の拡大につなげることにより、中長期的には預かり資産残高1兆円の実現と安定収益源である信託報酬の拡大を目指している。
また、「ファンド・ラボ」シリーズの活用については、他業態との連携も検討しているもようである。


(2)については、特にアジア株を中心とした外国株式の強化が注目される。
経済成長の著しいアジア株は魅力が大きいものの、手続きが煩雑な割にはニッチ市場であることからインターネット証券以外で取り扱う証券会社は少ない。
世界的な連鎖株安の影響により低調に推移してきたが、足元ではやや底打ち感がみられる。
独自のネットワークを活かした個別株式レポートの提供など、対面営業の強みが生かせる分野であり、今後の相場環境によっては、若い世代を含めた新たな顧客層の取り込みが期待できる。


(3)については、2015年1月1日より施行された相続税増税(基礎控除の引き下げ等)をにらみ、その対策を提案する「310万円プロジェクト」を進めてきた。
会計事務所との連携により、次世代に円滑に資産を引き継ぐための様々なシミュレーションが可能となっている。
これまでの相続発生前の対策に加えて、相続発生後の相談(手続きを含め)についてもサポートデスクを設置したことから問い合わせ件数が大きく増加しており、潜在的な関心の高さは大きいとみられる。
比較的高齢者を顧客に持つ同社は、次世代への円滑な資産承継を支援することで相続人との取引へとつなげる効果(資産流出の抑制を含め)を狙っている。
さらには、同社のホームページや口コミ等により既存顧客以外からの問い合わせも増えていることから、新規顧客の獲得にもつながる可能性がある。
なお、サポートデスクを設置した昨年4月以降、月当たり40~50件の相続案件が持ち込まれているようであるが、実際に歩留り(資産流出の抑制)に効果を発揮していることに加え、関連する手数料収入に結び付くケースも増えているもようである。


弊社では、業界トップの投資信託の品ぞろえや独自のファンド分析ツール、「投信の窓口」の3点セットがそろったことから、TVCM等による認知度拡大を図ることにより、投資信託のコンサルティング営業が中長期的な収益ドライバーとして同社の業績の伸びをけん引するものとみている。
また、国策とも言える「貯蓄から投資へ」(長期的な資産形成の促進)の流れも同社にとっては大きな追い風となるだろう。
加えて、株式営業や相続対策、不動産売買紹介などを含めた「家計資産のベストパートナー」としての方向性との相乗効果も期待できる。


ただ、本格的な収益貢献には、認知を高め、集客を図り、取引(収益化)につなげていくためのプロセスが必要であり、評判や信頼を含めて着実に実績を積み上げていくことが肝要となるだろう。
また、広告よりも効果が高いと言われる口コミによるマーケティングをうまく活用することも成功のカギを握ると考えられる。
同社の将来性を判断するに当たって、従来の証券営業の延長線では一層厳しい状況になることは明白であり、同社特長を活かした事業モデルをできるだけ早く軌道に乗せる必要がある。
特に、これまで培ってきた知的資本(豊富な投信ラインナップや独自の分析ツール、コンサルティング営業ノウハウ等)で差別化を図ることができる同社には、他業態(地方の金融機関など)との提携を含めて、様々な事業機会の可能性が考えられる。
貴重な財産をどのような形で価値創造に結び付けていくのか、取捨選択や優先順位の判断、事業展開のスピードなど、今後の経営手腕にかかっていると言えそうだ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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