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JBR Research Memo(6):2019年9月期に売上高190億円、営業利益率10%、ROE20%以上を目指す

発行済 2017-07-31 16:05
更新済 2017-07-31 16:33
JBR Research Memo(6):2019年9月期に売上高190億円、営業利益率10%、ROE20%以上を目指す
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■今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
ジャパンベストレスキューシステム (T:2453)は2016年11月に3ヶ年の中期経営計画を発表している。
日常生活の困りごとに関して、「困っている人を助ける!」を経営理念として掲げ、「500万世帯へのサービス提供の実現」(現在は約240万世帯に提供)を目指していく。
現在、国内の世帯数は約5,000万世帯であり、その1割にサービスを提供していきたい考えだ。
今回の中期経営計画では、主力事業である「駆けつけ」「会員」「保険」「保証」の4つのサービスに注力することで収益基盤の再構築を図り、2020年以降に更なる成長を目指していくための礎を築く期間と位置付けている。


経営数値目標としては、最終年度となる2019年9月期に連結売上高19,000百万円(2016年9月期比64.5%増)、営業利益1,900百万円(同130.6%増)、ROE20%以上を掲げた。
主力4事業の強化だけでなく、周辺領域も含めた事業規模の拡大をM&Aを活用しながら進めていく戦略となっている。
また、経営効率の向上を目的とした新ERPシステムへの投資や人財投資、強固な集客基盤を確立するためのポータルサイトの開発や、インターネット広告投資などに積極的に資金を投下していく考えだ。


(2) 事業戦略の進捗状況
a) 駆けつけ事業の戦略
駆けつけ事業とは、従来のコールセンター事業、加盟店事業、企業提携事業の3つの事業を指す。
競争激化によりここ数年は伸び悩んでいるが、今後3年間で約3倍の規模(現状年間17万件→50万件)に拡大していくことを目指している。


計画策定時の課題認識としては、事業ごとに顧客情報管理を行ってきたため、事業間の顧客情報(法人顧客含む)の共有ができておらず顧客基盤を十分生かしきれていなこと、インターネットを活用した集客施策が十分にできていないこと、サービスメニューが20カテゴリーと多岐に広がっており、広告の費用対効果も含めて効率が悪化していたことなどが挙げられていた。


こうした課題の解決策として、顧客情報の共有に関しては新たに業務横断型のERPシステムを導入し、一元管理を行っていくことを予定していた。
ただ、要件定義を設定していくなかで予算が当初計画の約4億円に対して2倍に膨らむ見通しとなったことから、見直しを行ったことで稼働開始時期が2018年9月頃と当初計画よりも約1年遅れることとなった。
このため、同社では顧客情報の共有化に関しては、事業間のミーティングを定期的に開催することでスタートさせており、既に一定の成果も出始めていると言う。


サービスメニューに関しては、収益性と需要が一定以上見込める主要な7つのサービスメニュー(鍵、水回り、ガラス、害虫駆除、パソコン、庭掃除、リフォーム)に絞り、不採算なカテゴリーについては撤退を進めている。
現状、生活救急車サービスのカテゴリーとしては12カテゴリーあり、今後も採算性を見極めながら絞り込みを進め、経営効率の向上に取り組んでいくものと見られる。


また、加盟店の「直営店化」による収益力強化も進めていく計画だ。
主に東名阪の大都市圏を営業エリアとする加盟店が対象となる。
直営店化することで積極的なマーケティング施策を実施できるほか、今までばらつきのあったサービス品質を均一化し、顧客満足度の向上を図ることが可能となる。
第1弾として、2016年8月に「鍵」の駆けつけサービスの主要加盟店であったJLRを子会社化(同年10月に吸収合併)したが、今後も営業エリア・提供サービスを判断軸に直営店化を進めていく予定となっている。


「鍵」の駆けつけサービスの国内市場は約100億円と見られており、業界トップはRセキュリティ(株)で5割を占めており、JLRは1割強と現状は2番手に位置しているが、今後、加盟店の直営化を進めることで、数年後にトップシェアの獲得を目指している。
「鍵」の駆けつけサービスで事業拡大に成功すれば、第2弾として「水回り」の加盟店についても、直営店化を進めていく方針となっている。


さらには、今後の成長ポテンシャルが最も大きいリフォーム需要の獲得を強化していく方針となっている。
現在、駆けつけ事業で年間17万世帯に訪問しているが、その中でリフォーム需要を掘り起こす提案型の営業体制を構築していくことを目指している。
リフォーム案件は他のサービスよりも単価が高くなるため、需要を獲得できれば一気に事業規模が拡大する可能性があるだけに、今後の展開が注目される。


b) 会員事業・保証事業の戦略
会員事業・保証事業は、会員数を現状の206万人から約2倍となる410万人に拡大していくことを目指している。
基本戦略としては、「入り」のタイミング(入居、入学、入会、購入、加入等)を重視した新規会員の獲得や、顧客基盤を持つ業界1位、2位クラスの大手企業との提携を推進していくことで会員数を増やしていく。
2015年からNTTドコモ (T:9437)向けに提供を開始した「家のあんしんパートナー」(現在のdリビングのサービスメニューの一部)のような成功事例を今後も多く積み上げていくことで実現可能と見ている。
同事業はストック型のビジネスモデルとなるだけに、事業規模の拡大とともに収益性も一段と安定するものと見込まれる。


また、会員事業の収益性を考える上では、日々電話で入ってくる出動要請に対して、コールセンターのスタッフが加盟店・協力店に出動依頼を行う案件と電話の応対だけで解決できる案件をうまく切り分けていくことができるかどうかが重要なポイントとなる。
会員事業の場合、出動依頼が増えれば収益性の低下につながるためだ。
このため、コールセンタースタッフのスキルアップのための教育にも注力していく方針となっている。


c) 保険事業の戦略
子会社で展開する保険事業については、現状25万件の契約数を40万件に拡大することを目標としている。
「入り」のタイミング(入居、入学、入会、購入、入社等)に自然に加入するような保険商品の開発に注力し、保険商品の種類としては現状の5種類から10種類へ2倍に増やしていくことを目指している。
また、販促施策としては、会員・保証事業で開拓した販売チャネルを活用することで効率よく契約を獲得していく戦略だ。
具体例としては、家財保険となる「新すまいRoom保険」を「安心入居サポート」の販売チャネルを使って販売している。
また、従来は顧客データベースを事業部ごとに本部で一括して入力していたが、新ERPシステムの稼働により顧客データベースのグループ内での情報共有化が実現すれば、顧客データの入力を販売店でも行えるようし、ワンストップで複数のサービスを提案できるようにしていく。
保険事業についてもストック型ビジネスモデルとなるため、今後安定した成長が見込まれる。


(3) 投資戦略
投資戦略としては、経営効率向上のためERPシステムの導入やポータルサイトの開発等のシステム投資を進めていくことに加え、既存事業とのシナジーが期待できる周辺領域のM&Aも積極的に進めていく方針だ。
具体例としては前期に実施したリペア事業の事業譲受が挙げられる。
住宅や家具の購入の際に、保証サービスとして住宅ローンなどに組み込むことができれば、事業拡大につなげていくことが可能となる。
M&Aについては、ROIC(投下資本利益率)で20%を目標に、社内で十分な検討を行った上で進めていくことになる。
対象となる企業の規模としては、連結売上高で10%以下を目安としている。


また、人的投資についても積極的に取り組んでいく。
間接スタッフについては削減する一方で、営業等のプロフィット部門の人員増強を進めていく。
また、経営戦略室内に人材開発部門を設置し、次代の経営を担う人材の育成も強化していく。
当第2四半期累計では人材に関する採用教育費が前年同期比12百万円増加しており、今後も当面は同程度の増加が続くものと予想される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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