〇世界的株高、中国情勢がカギか〇
大発会の日経平均は741円高。
昔のような半日営業でないので、比較はできないが、年末にもたついた分を一気に取り戻した印象だ。
構成銘柄の寄与度を見ると、ファナックの64.38円を筆頭に、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンク、京セラ、ダイキン、信越化学の7銘柄が20円以上となった。
合計の上昇分は287.93円、日経平均上昇幅の38.8%を占め、インデックス・先物主導色の強い展開。
なお、マイナス寄与はセイコーエプソン、DOWA、楽天の3銘柄で、全面高の様相も濃かった。
世界株高持続に、中国情勢がカギを握るとの見方が出ている。
恒例の米調査会社ユーラシア・グループの18年「10大リスク」の筆頭は「中国は真空状態を愛す(米不在の間隙=真空状態をついて中国の影響拡大)」。
存在感の低下する米国の間隙を突くように、中国の影響力が国際的に増すとの見方だ。
代表のイアン・ブレマー氏は「米中、いずれ対決姿勢を強める」との見方。
AIなど情報技術分野で競争が激化すると見ている。
日本に対しても、「最終的に中国とより安定した関係を持つことが重要になって来る」と指摘。
4日の中国・上海株は5連騰、香港株は10年ぶり高値更新。
大幅ではないが世界株高潮流に乗った動き。
ロイターは3月全人代で公表される18年の経済成長率目標を「6.5%前後」と17年と同水準に設定する見通しと伝えた(17年実績は6.8%前後と見られる)。
習近平国家主席は「質の高い成長」を目指すと表明しており、統制経済色を強めつつ、インフラ整備、新規(技術革新)セクター投資、社会福祉拡充に注力すると見られている。
懸念の一つは巨大債務。
中国国家外貨管理局が年末に公表した対外債務残高(9月末時点)は約11兆1498億元(約193兆円)、16年末の国内総負債は244兆元(約4221兆円)だったので、総合計は約255兆元(約4412兆円)。
対外債務の9%が広義政府部門、金融機関が50%を占める。
対GDP比は16年ベースで342.7%(統計は不正確でもっと過大との見方もある)。
経済減速次第で、重荷感が一気に増す恐れがある。
中国共産党の「長い腕」の実態暴露、警戒感が強まっている。
「長い腕」は共産党組織の各国政府中枢への浸透工作を指し、米議会公聴会で使われたことが由来。
華僑組織を使った独特の仕組み、コミンテルン以来の共産党組織の工作活動が織り交ざっている。
サンフランシスコ市の慰安婦像問題でも、背後に中国系団体がいることが分かっている。
オーストラリアで中国と関係の深い議員の辞任が相次ぎ、政治献金を断ち切る法整備が行われ、台湾では中国人留学生を使ったスパイ工作活動が摘発された。
米民間団体の報告では、過去10年間に数百億ドルの工作資金が使われ、発展途上国を中心に賄賂政治が横行していると指摘した。
北京の指導下にある「平和統一促進会」や「孔子学院」などが使われているようだ。
軋轢の中心が台湾・香港になる可能性がある。
米国が静かに台湾重視政策を行っており、中国が対抗する形で工作活動を強化している可能性がある。
北朝鮮問題も当然、絡む。
3日付産経新聞は「電子商取引で中国包囲網、デジタル保護主義を懸念、日米欧が有志国協定で2月にも初会合」と報じており、様々な包囲網構築も焦点となろう。
中国経済の安定拡大を望みつつ、摩擦拡大にも注意をすることになろう。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/1/5号)
大発会の日経平均は741円高。
昔のような半日営業でないので、比較はできないが、年末にもたついた分を一気に取り戻した印象だ。
構成銘柄の寄与度を見ると、ファナックの64.38円を筆頭に、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンク、京セラ、ダイキン、信越化学の7銘柄が20円以上となった。
合計の上昇分は287.93円、日経平均上昇幅の38.8%を占め、インデックス・先物主導色の強い展開。
なお、マイナス寄与はセイコーエプソン、DOWA、楽天の3銘柄で、全面高の様相も濃かった。
世界株高持続に、中国情勢がカギを握るとの見方が出ている。
恒例の米調査会社ユーラシア・グループの18年「10大リスク」の筆頭は「中国は真空状態を愛す(米不在の間隙=真空状態をついて中国の影響拡大)」。
存在感の低下する米国の間隙を突くように、中国の影響力が国際的に増すとの見方だ。
代表のイアン・ブレマー氏は「米中、いずれ対決姿勢を強める」との見方。
AIなど情報技術分野で競争が激化すると見ている。
日本に対しても、「最終的に中国とより安定した関係を持つことが重要になって来る」と指摘。
4日の中国・上海株は5連騰、香港株は10年ぶり高値更新。
大幅ではないが世界株高潮流に乗った動き。
ロイターは3月全人代で公表される18年の経済成長率目標を「6.5%前後」と17年と同水準に設定する見通しと伝えた(17年実績は6.8%前後と見られる)。
習近平国家主席は「質の高い成長」を目指すと表明しており、統制経済色を強めつつ、インフラ整備、新規(技術革新)セクター投資、社会福祉拡充に注力すると見られている。
懸念の一つは巨大債務。
中国国家外貨管理局が年末に公表した対外債務残高(9月末時点)は約11兆1498億元(約193兆円)、16年末の国内総負債は244兆元(約4221兆円)だったので、総合計は約255兆元(約4412兆円)。
対外債務の9%が広義政府部門、金融機関が50%を占める。
対GDP比は16年ベースで342.7%(統計は不正確でもっと過大との見方もある)。
経済減速次第で、重荷感が一気に増す恐れがある。
中国共産党の「長い腕」の実態暴露、警戒感が強まっている。
「長い腕」は共産党組織の各国政府中枢への浸透工作を指し、米議会公聴会で使われたことが由来。
華僑組織を使った独特の仕組み、コミンテルン以来の共産党組織の工作活動が織り交ざっている。
サンフランシスコ市の慰安婦像問題でも、背後に中国系団体がいることが分かっている。
オーストラリアで中国と関係の深い議員の辞任が相次ぎ、政治献金を断ち切る法整備が行われ、台湾では中国人留学生を使ったスパイ工作活動が摘発された。
米民間団体の報告では、過去10年間に数百億ドルの工作資金が使われ、発展途上国を中心に賄賂政治が横行していると指摘した。
北京の指導下にある「平和統一促進会」や「孔子学院」などが使われているようだ。
軋轢の中心が台湾・香港になる可能性がある。
米国が静かに台湾重視政策を行っており、中国が対抗する形で工作活動を強化している可能性がある。
北朝鮮問題も当然、絡む。
3日付産経新聞は「電子商取引で中国包囲網、デジタル保護主義を懸念、日米欧が有志国協定で2月にも初会合」と報じており、様々な包囲網構築も焦点となろう。
中国経済の安定拡大を望みつつ、摩擦拡大にも注意をすることになろう。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/1/5号)