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為替週間見通し:ドル・円は弱含みか、米国の保護主義的な行動はドル安要因に

発行済 2018-03-03 15:01
更新済 2018-03-03 15:33
為替週間見通し:ドル・円は弱含みか、米国の保護主義的な行動はドル安要因に
■ドル・円は一時105円25銭、米国株安を意識した円買い強まる

先週のドル・円は軟調推移。
トランプ米政権は鉄鋼・アルミの輸入制限措置発動を決める方針を表明したことで、貿易戦争激化への警戒感が高まり、リスク回避的なドル売り・円買いが活発となった。
日本銀行の黒田総裁は2日に衆院議院運営委員会に出席し、物価目標2%について「2019年度頃に達成の可能性が高いと確信している」と述べたことも円買い材料となった。


市場関係者の間では「鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税導入は米経済の阻害要因となりドル売り材料になる」との声が聞かれたが、黒田日銀総裁の発言については「日銀は物価目標の達成時期を何度も先送りしており、今回も例外ではない」との見方も出ている。
ただし、黒田総裁は「出口というものをそのころ検討するようにするのは間違いない」と語っていることから、市場関係者の一部は「2%の物価目標達成の成否に関係なく金融緩和策の縮小が2019年度に検討される可能性が高い」と指摘している。


2日のニューヨーク外為市場では、トランプ大統領が「貿易戦争は有用」と発言したことや米国株安を受けてドル・円は一時105円25銭まで下落したが、ロス米商務長官が「輸入関税は米国の雇用を押し上げるとことを目的とし、消費者への影響は最小」との見方を伝えたことやS&P500種の反発を受けてドル・円は105円74銭まで反発し、105円71銭でこの週の取引を終えた。
取引レンジ:105円25銭−107円68銭。


■ドル・円は弱含みか、米国の保護主義的な行動はドル安要因に

今週のドル・円は弱含みか。
2月米ISM非製造業景況指数、2月米雇用統計などの経済指標が有力な売買材料として注目されそうだ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB議長)の議会証言を受けて市場は3月の追加利上げを完全に織り込んでおり、主要経済指標が予想に沿った内容だった場合、市場が顕著に反応する可能性は低いとみられるが、米トランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の輸入制限措置などの保護主義的な通商政策はドル安要因になるとの見方が依然として多いようだ。


トランプ大統領は鉄鋼製品やアルミニウム製品の輸入に高率の関税を課す措置を打ち出した。
詳細は今週公表されるが、米国の保護貿易主義的な行動は貿易相手国との通商関係を悪化させるだけでなく、世界経済の順調な成長を妨げる一因になるとみられており、リスク回避的なドル売りを促す可能性がある。


2月27日(下院)と3月1日(上院)で行われた議会証言で、パウエル議長は景気の動向に応じ緩やかな引き締め目指すなど、金融正常化の方針を示した。
市場ではタカ派寄りと受け止められており、今月20-21日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利引き上げは織り込み済み。
2月雇用統計などの経済指標改善を受けてドル買いが強まる可能性はあるものの、市場予想を下回った場合はドル売りが再び強まる可能性が高い。


【米・2月ISM非製造業景況指数】(5日発表予定)
5日発表の米2月ISM非製造業景況指数は58.7程度と予想されており、1月実績の59.9を下回る見通し。
米国株式は調整局面に入ったとの見方があるが、経済指標の悪化は株安要因となり、ドル売りを誘発する可能性がある。


【米・2月雇用統計】(9日発表予定)
9日発表の米2月雇用統計は、失業率4.0%、非農業部門雇用者数は前月比+20.0万人程度、平均時給は前年比+2.9%と予想されている。
雇用情勢の改善が続いており、市場予想とおおむね一致した場合、年3回以上の利上げ実施の可能性が高まることから、ドル買い材料になりそうだ。


予想レンジ:104円00銭−107円00銭


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