以下は、フィスコソーシャルレポーターの暗号通貨研究家の平野淳也氏(ブログ「junyahirano.com」、Twitter: @junbhirano)が執筆したコメントです。
フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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■CBOE(シカゴ・オプション取引所)がビットコインETF(上場投資信託)を申請
7月8日に、CBOE(シカゴ・オプション取引所)がビットコイン(BTC)のETF(上場投資信託)を米SEC(米国証券取引委員会)に申請しました。
ビットコインETFは、全ての機関投資家がビットコインを買うための選択肢をしっかりと得ることになる入り口としてこの数年来期待されているものの未だ実現しておらず、個人投資家にはやや食傷ムードも感じられますが、ETFは依然として非常に重要なトピックです。
より正確には、CBOEは取引所であり、ニューヨークをベースにする金融系企業VanEck社と技術系企業SolidX社の2社が構築するビットコインETFを、CBOEがリストしたいと申請をしています。
CBOEは、イリノイ州シカゴ拠点のデリバティブ取引所です。
CBOEはビットコインの市場整備に前向きで、昨年12月にはすでにビットコイン先物を上場させており、ETFについてもかねてより上場の実現に対して真剣でした。
今年1月SECに対して、暗号通貨関連の商品、つまりETFの上場許可を検討する書簡をCBOEが提出しています。
アメリカの金融市場では、ニューヨーク証券取引所は金融取引所の代表格であり、後発で設立されたCBOEは、市場ルールが整備されていなかったオプション取引を、一定の規制の下に監督された市場形成を目指し設立したという歴史を持ちます。
このような取引所が、今、当時のオプション市場と同じく市場整備がなされていないビットコインをはじめとした暗号通貨に真剣に向き合い、ポジションを取りたいと考えているのは自然だといえます。
CBOEが今回提案するETFの形状は指数連動型ではなく、現物のビットコインETFが結びつく形式のものとなり、もし上場されることになれば、価格への影響も大きいと予想されます。
現在再び、ビットコインETFへの期待再燃の機運がきています。
■CBOEが上場申請をしたビットコインETFは上場承認されるのか?
今回のCBOEによるビットコインETF上場申請は果たしてSECに承認されるのでしょうか。
もちろんそう簡単に実現するとは思いませんが、フラットに見て、今まで提案されたビットコインETFと比べると相対的には承認される可能性が高いのでは、と感じます。
以下にその理由を述べます。
1:ビットコインとイーサリアム(ETH)はコモディティである、とSECが今年見解を出しましたが、CBOEはその後初のビットコインETF申請です。
2:CBOEは連邦政府公認のデリバティブ取引所です。
また昨年、SECにビットコイン先物上場を真っ先に承認させることが出来たという実績を持ち、ETFでも一番に承認を獲得されるのではという期待があります。
3:今回のETF商品は、1つのポーションが25BTC(約165,000米ドル)で機関投資家、または大口個人投資家を対象としており、個人投資家がボラティリティによって大損するというような事件が起きないようにある程度配慮されています。
4:裏付けされているビットコインの保管について、なにか事件が起きたとしても、1億2500万米ドルまでは複数の保険会社から保険がおりるように取り計らっています。
5:ビットコインの保管に関連をするセキュリティには、SolidX社というブロックチェーン企業が技術提供しています。
実際に承認されるかどうか、こればかりは結果を待たないとわかりませんが、CBOE側もSECによるビットコインとイーサリアムをコモディティとみなすという見解が出てから満を持した申請と見て取れます。
■現在のアメリカの暗号通貨に対する姿勢や足場固めの状況について
今回のETFも承認されない可能性は十分に大きいですが、今回の審査結果に問わず、個人的には、米国でのETFの承認は時間の問題になった段階と捉えています。
アメリカの暗号通貨に対する姿勢や枠組みを整える姿勢は概ねポジティブです。
アメリカではETFは、1940年に制定されたInvestment Company Act of 1940(投資会社法)に基づいて規制されています。
SECとしては、この規制に基づいて、ETFの申請を審査します。
これまでビットコインETFは却下されてきましたが、必ずしも、SECが暗号通貨のETFを上場させたくないと考えているわけではなく、この規制に基づいて公正な審査をしなくてはならないからです。
却下の理由・算定基準として最も重要なものが、流動性は保証できるかという問題や、市場操作が可能である可能性がないか、またボラティリティの高さなどです。
そして、このETFの上場申請の承認について、今の規制をより簡易的なものにするべきではないかという緩和案を2018年6月28日に行なっています。
筆者サイトの「世界で生きる実践・研究所」では、ビットコインETFの周りにある様々な事項を概観するほか、ゴールドのETFを振り返る他、ビットコインETFの周辺に生まれる産業などより深い考察をしております。
※2018年7月18日に執筆
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執筆者名:平野淳也
ブログ名:junyahirano.com
Twitter: @junbhirano
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■CBOE(シカゴ・オプション取引所)がビットコインETF(上場投資信託)を申請
7月8日に、CBOE(シカゴ・オプション取引所)がビットコイン(BTC)のETF(上場投資信託)を米SEC(米国証券取引委員会)に申請しました。
ビットコインETFは、全ての機関投資家がビットコインを買うための選択肢をしっかりと得ることになる入り口としてこの数年来期待されているものの未だ実現しておらず、個人投資家にはやや食傷ムードも感じられますが、ETFは依然として非常に重要なトピックです。
より正確には、CBOEは取引所であり、ニューヨークをベースにする金融系企業VanEck社と技術系企業SolidX社の2社が構築するビットコインETFを、CBOEがリストしたいと申請をしています。
CBOEは、イリノイ州シカゴ拠点のデリバティブ取引所です。
CBOEはビットコインの市場整備に前向きで、昨年12月にはすでにビットコイン先物を上場させており、ETFについてもかねてより上場の実現に対して真剣でした。
今年1月SECに対して、暗号通貨関連の商品、つまりETFの上場許可を検討する書簡をCBOEが提出しています。
アメリカの金融市場では、ニューヨーク証券取引所は金融取引所の代表格であり、後発で設立されたCBOEは、市場ルールが整備されていなかったオプション取引を、一定の規制の下に監督された市場形成を目指し設立したという歴史を持ちます。
このような取引所が、今、当時のオプション市場と同じく市場整備がなされていないビットコインをはじめとした暗号通貨に真剣に向き合い、ポジションを取りたいと考えているのは自然だといえます。
CBOEが今回提案するETFの形状は指数連動型ではなく、現物のビットコインETFが結びつく形式のものとなり、もし上場されることになれば、価格への影響も大きいと予想されます。
現在再び、ビットコインETFへの期待再燃の機運がきています。
■CBOEが上場申請をしたビットコインETFは上場承認されるのか?
今回のCBOEによるビットコインETF上場申請は果たしてSECに承認されるのでしょうか。
もちろんそう簡単に実現するとは思いませんが、フラットに見て、今まで提案されたビットコインETFと比べると相対的には承認される可能性が高いのでは、と感じます。
以下にその理由を述べます。
1:ビットコインとイーサリアム(ETH)はコモディティである、とSECが今年見解を出しましたが、CBOEはその後初のビットコインETF申請です。
2:CBOEは連邦政府公認のデリバティブ取引所です。
また昨年、SECにビットコイン先物上場を真っ先に承認させることが出来たという実績を持ち、ETFでも一番に承認を獲得されるのではという期待があります。
3:今回のETF商品は、1つのポーションが25BTC(約165,000米ドル)で機関投資家、または大口個人投資家を対象としており、個人投資家がボラティリティによって大損するというような事件が起きないようにある程度配慮されています。
4:裏付けされているビットコインの保管について、なにか事件が起きたとしても、1億2500万米ドルまでは複数の保険会社から保険がおりるように取り計らっています。
5:ビットコインの保管に関連をするセキュリティには、SolidX社というブロックチェーン企業が技術提供しています。
実際に承認されるかどうか、こればかりは結果を待たないとわかりませんが、CBOE側もSECによるビットコインとイーサリアムをコモディティとみなすという見解が出てから満を持した申請と見て取れます。
■現在のアメリカの暗号通貨に対する姿勢や足場固めの状況について
今回のETFも承認されない可能性は十分に大きいですが、今回の審査結果に問わず、個人的には、米国でのETFの承認は時間の問題になった段階と捉えています。
アメリカの暗号通貨に対する姿勢や枠組みを整える姿勢は概ねポジティブです。
アメリカではETFは、1940年に制定されたInvestment Company Act of 1940(投資会社法)に基づいて規制されています。
SECとしては、この規制に基づいて、ETFの申請を審査します。
これまでビットコインETFは却下されてきましたが、必ずしも、SECが暗号通貨のETFを上場させたくないと考えているわけではなく、この規制に基づいて公正な審査をしなくてはならないからです。
却下の理由・算定基準として最も重要なものが、流動性は保証できるかという問題や、市場操作が可能である可能性がないか、またボラティリティの高さなどです。
そして、このETFの上場申請の承認について、今の規制をより簡易的なものにするべきではないかという緩和案を2018年6月28日に行なっています。
筆者サイトの「世界で生きる実践・研究所」では、ビットコインETFの周りにある様々な事項を概観するほか、ゴールドのETFを振り返る他、ビットコインETFの周辺に生まれる産業などより深い考察をしております。
※2018年7月18日に執筆
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執筆者名:平野淳也
ブログ名:junyahirano.com
Twitter: @junbhirano