EUがエアバスに不当な助成金を補助したとして、米国はEUからの輸入品に対し新たに関税を課す方針を発表した。これを受け、9日午前のヨーロッパ市場でユーロ価格が停滞している。
このニュースは中国との貿易戦争を解決しても他の貿易相手国や商業的競争相手と別の貿易摩擦が生じることを意味し、世界経済に新たな脅威をもたらす可能性があることを思い起こさせた。
日本時間午後5時、ユーロは1.1263ドルで8日遅くのヨーロッパ市場価格から0.2%高となっている。ドルインデックスは96.572で目立った変化はなかった。
メイ英首相が離脱延期を求める重要なEU首脳会議の前日であることから、大きな賭けに出る動きはほとんどないようだ。メイ首相は今日、メルケル独首相、マクロン仏大統領との会合を予定している。しかしながら、野党党首のジェレミー・コルビン氏との協議では、EUが求めた条件を満たす代替案の模索に失敗している。
最悪のシナリオは回避できるだろうという楽観論に支えられ、英ポンドはユーロと米ドルに対し小幅高となった。
10日には欧州中央銀行の政策決定理事会も開催される予定だ。市場はユーロ安をもたらしうるさらなる刺激策を求め模索するだろう。
欧州中央銀行総裁のマリオ・ドラギ氏は、銀行の超過準備金に対するペナルティレートの「段階的調整」を検討する可能性を示唆している。この動きは、ユーロ圏の銀行制度の収益性に対するマイナス金利低下の影響を軽減するのに役立ちそうだ。第1四半期において明らかな景気後退があったものの、近い将来に改善されると見る向きはほとんどない。
原油価格はカナダドルやロシアルーブルといったコモディティ通貨を支えている。オーストラリアドルとニュージーランドドルも同様に米ドルに対し高値となった。