[ニューヨーク 14日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、円とドル指数が上昇。米長短金利差が2007年以来初めて逆転したことを受け、世界の景気後退が差し迫っているという懸念が広がり、安全資産と見なされる通貨への逃避買いが膨らんだ。
米2年債と10年債の利回りは07年以来初めて逆転。逆イールドはリセッション(景気後退)の兆候と捉えられていることから、世界の市場には動揺が走った。中国やドイツの経済指標が低調な結果に終わったことや、米中通商協議の進展を巡る楽観的な見方が後退したことも市場心理を悪化させた。
テンパスのジョン・ドイル氏は「悲観的な見方が世界中に波及した」とし、米長短金利差の逆転は「リセッションに関する主要な指標だ。ドイツ、イタリア、英国も景気後退に向かっている公算が大きいほか、中国の経済指標も非常に悪い内容だった」と述べた。
中国国家統計局が発表した7月の鉱工業生産は17年ぶりの低い伸びにとどまった。米国との貿易摩擦が激化する中、中国景気の鈍化が深刻化している様子が浮き彫りとなった。
ドイツの第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.1%減と、マイナスに転じた。貿易戦争や外需の減少で輸出が落ち込んだことが響いた。
円は対ドルで0.74%上昇し、105.93円。逆イールドを受けて円の上昇に拍車が掛かった。
前日は、トランプ政権が来月発動を予定していた対中追加関税を一部延期すると発表したことを受け、ドルは対円で上昇していたものの、米中通商交渉の進展を巡り懐疑的な見方が台頭する中、オーバーナイト取引で上昇分をすべて失った。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.17%高の97.978。逆イールドを受けて米景気後退懸念が強まっても、他のG10諸国に比べ米国のファンダメンタルズはなお堅調との見方がドルの投資妙味を押し上げている。
オフショア人民元は一時の上げ幅を縮小。低調な指標を受けて、対中追加関税一部延期を受けた楽観的な見方が後退した。
ドル/円 NY終値 105.89/105.92
始値 106.13
高値 106.20
安値 105.67
ユーロ/ドル NY終値 1.1138/1.1140
始値 1.1178
高値 1.1190
安値 1.1131