[ニューヨーク 5日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では円が下落。米中通商交渉が進展の兆しを見せるなど、世界的な緊張が一部和らいだことを受けて市場心理が改善し、安全資産とされる通貨への需要が後退した。
ポンドも上昇し、対ドルで約1カ月ぶりの高値を更新。英国が「合意なき」欧州連合(EU)離脱を回避するとの期待がポンド買いを誘った。
ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツのグローバル・マーケッツ戦略ディレクター、カール・シャモッタ氏は、世界的な緊張が後退する中、円などの「調達通貨」が売られたと指摘した。
米中両国はこの日、閣僚級の通商交渉を10月初旬にワシントンで開催することで合意した。ニュースを受け、米中が貿易摩擦解消を目指すとの期待が高まった。
終盤の取引で、ドル/円は0.53%高の106.975円。一時は7月終盤以来の高値となる107.235円を付ける場面もあった。
円は対ユーロ (EURJPY=EBS)でも0.5%下落し、118.015円。一時118.6円と、3週間ぶりの安値を付けた。
逃避需要の後退に伴い、主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.04%安。しかし、朝方発表された一連の指標が好調な内容だったことで、下げは限定的だった。
8月の米ISM非製造業総合指数は56.4と、前月から上昇。通商面での懸念がくすぶっているものの、新規受注は2月以来の高水準となった。8月の全米ADP雇用報告は民間部門雇用者数が19万5000人増と、市場予想の14万9000人増を上回った。
労働情勢の底堅さを確かめようと、投資家は6日発表の8月の米雇用統計に注目する。
ポンド/ドルは0.6%高の1.2327ドル。対ユーロ (EURGBP=D3)でも0.57%上昇し、89.52ペンス。一時、6週間ぶりの高値となる89.49ペンスを付けた。
英議会下院は前日、10月31日に英国を合意なしで欧州連合(EU)から離脱させようとするジョンソン首相の動きを阻止する法案を可決。また、10月15日の総選挙実施を求める首相の提案を否決した。
ドル/円 NY終値 106.92/106.93
始値 106.63
高値 107.22
安値 106.63
ユーロ/ドル NY終値 1.1033/1.1037
始値 1.1054
高値 1.1084
安値 1.1033