[ワシントン 4日 ロイター] - 米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は4日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「第1段階」通商合意で期待される対中輸出の拡大が後ずれすると予想した。一方、企業のサプライチェーン(供給網)に対し、壊滅的な影響は与えないとの見方を示した。
委員長はFOXビジネス・ネットワークとのインタビューで、「事実、第1段階通商合意で期待される輸出拡大は新型ウイルスの影響で時間がかかるだろう」と指摘。
ただ、米経済や企業のサプライチェーンへの影響については、「壊滅的ではないし、大惨事ではない」との見方を示し、「こうしたことは過去にも経験しているし、影響は最小限にとどまると思う」と述べた。さらに、設備投資が促進され、米国で生産が拡大するとの見通しを示した。
新型肺炎の感染で部品や原材料の不足が起きないかとの質問には「一部の業種はそうだが、すべての業種ではない。半導体にはそれほど影響しないが、医薬品への影響はずっと大きいだろう。自動車に関しては中程度の影響が予想される」とした。
米中両国が1月15日に署名した通商合意は2月15日に発効する。米国が追加の対中関税発動を見送る見返りに、中国は米国から農産品やエネルギー関連商品、工業製品、サービスの輸入を拡大させる。追加的な購入額は2017年の輸入実績比で1年目が767億ドル、2年目が1233億ドル。
ただ、合意文書には、「自然災害やそのほかの当事国のコントロール外の予測不能な事象で当事国の義務履行が遅れた場合」に協議を求める条項が含まれている。
米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は4日付の文書で、これまでのところ中国は通商合意の義務の免除や停止を要請していないと明らかにした。
そのうえで「コロナウイルスの流行は中国の公衆衛生と経済に打撃を与えており、第1段階合意の義務を果たす能力や意思に影響が及ぶ可能性があるとした。
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