先週の新興市場では、日経平均が22000円台で底堅さを見せるなか、マザーズ指数は急ピッチの調整を強いられた。
前の週末に年初来高値1067.29pt(取引時間中)を付けると上値が重くなり、1010pt台に位置する25日移動平均線を割り込んだのち下げ足を速めた。
前回の当欄で指摘したとおり、個人投資家の買い余力が低下してきていたことが背景にあるだろう。
コロナ禍で期待を集めていたバイオ・ヘルスケア関連株を中心に、ここまでマザーズ指数の上昇をけん引してきた銘柄で手仕舞い売りがかさんだ。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.9%であったのに対して、マザーズ指数は-6.6%、日経ジャスダック平均は-2.8%だった。
個別では、アンジェス (T:4563)が週間で22.0%安と急落。
新型コロナウイルスワクチンの治験を始めたが、ひとまず材料出尽くしと受け止められたようだ。
その他マザーズ時価総額上位では、フリー (T:4478)が同3.1%安、ラクス (T:3923)が同3.1%安と軟調だった。
売買代金上位では、ヘルスケア関連のプレシジョン・システム・サイエンス (T:7707)がやはり大幅安となり、前の週に上場したロコガイド (T:4497)やフィーチャ (T:4052)も売り優勢。
また、アイリックコーポレーション (T:7325)などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。
反面、メルカリ (T:4385)が同6.9%高、AI inside (T:4488)が同5.3%高と堅調で、フルッタフルッタ (T:2586)やステムリム (T:4599)が上昇率上位に顔を出した。
ジャスダック主力はワークマン (T:7564)の同2.3%高を除き、日本マクドナルドHD (T:2702)の同4.8%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)の同4.5%安と全般軟調。
また、ANAP (T:3189)などが週間のジャスダック下落率上位に、アイ・ピー・エス (T:4335)などが上昇率上位にそれぞれ顔を出した。
IPOでは、前の週から初値持ち越しとなっていたコマースOneHD (T:4496)、それに6月29日上場のエブレン (T:6599)と30日上場のグッドパッチ (T:7351)が揃って公開価格の4倍前後となる初値を付けた。
今週の新興市場では、マザーズ指数は調整基調が続く可能性はある。
人気株の信用買い残の整理は比較的早く進んでいるようだが、マザーズ指数は3月に付けた安値527.30pt(取引時間中)から直近高値までほぼ一本調子に上昇してきたため、相応の調整はあるだろう。
これまで良好だった株式需給や株価トレンドが大きく崩れた銘柄では戻り待ちの売りも出やすいとみられる。
ただ、EC(電子商取引)関連のメルカリやBASE (T:4477)といったところは上昇基調を維持しており、株式需給は比較的良好だろう。
コロナ禍がもたらしたニューノーマル(新常態)での新興株に対する期待はなお高く、他の銘柄も株式需給の改善状況を見ながら押し目買いスタンスで臨みたい。
なお、今週は7月7日にフロイント産業 (T:6312)、10日にブロッコリー (T:2706)、エクスモーション (T:4394)、リプロセル (T:4978)などが決算発表を予定している。
IPO関連では、7月7日にBranding Engineer (T:7352)がマザーズへ、10日にSpeee (T:4499)がジャスダックへそれぞれ新規上場する。
このところの初値高騰に対する警戒ムードもじわり出てきているようだが、それでも個人投資家の初値買いスタンスは引き続き積極的だろう。
また、先週はティアンドエス {{|0:}}(8月7日、マザーズ)の新規上場が発表されている。