■株式相場見通し
予想レンジ:上限28000-下限27000円
来週の日経平均は軟調か。
今月下旬から3月期決算企業の本決算発表が始まるのを前に、米金利動向やウクライナ情勢など外部環境の不透明感がくすぶっており、全体的に手掛けにくさが残る。
一足先に本格化する2月期決算企業の決算内容を受けた個別株物色が中心となりそうだ。
連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、複数の理事が量的引き締め(QT)のペースに上限を設けない方針を支持するなど、総じてタカ派色が濃い内容だった。
事前に連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事の発言があったにも関わらず、議事録公表以降も株式市場はあく抜け感が高まらなかった。
米10年債利回りは2.7%台後半と3年ぶりの高値を付けてきており、名目金利から期待インフレ率の指標とされる米10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利は-0.2%を割り込んできた。
インフレ退治に躍起になっているFRBの姿勢を踏まえれば、実質金利が今後プラスに向かっていくことは時間の問題とみられ、金利の一段の上昇に対する警戒感がくすぶる。
そうしたなか、来週は米国や中国で3月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)の発表がある。
高い伸びは相当に織り込み済みとも考えられるが、足元で再び米金融政策に焦点が移りつつあるなか、予想比での上振れ次第では市場が神経質に反応する可能性がある。
米国では3月の小売売上高も発表されるが、インフレ高進下での消費動向が注目される。
弱い結果となれば、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクが一段と意識され、相場の重しとなろう。
また、14日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会があり、タカ派色の濃い結果となれば、世界的な金利上昇圧力になりかねないため、こちらも注目される。
ウクライナ情勢も予断を許さない状況が続いている。
戦力を喪失しつつあるロシア軍は首都キーウから撤退した一方、ウクライナ東部での新たな攻撃に備えている様子。
旧ソ連の対ドイツ戦勝記念パレードが行われる5月9日までに何らかの勝利の確保を目指しているとも推察されており、更なる情勢悪化のリスクがある。
ロシア軍による民間人の虐殺が多数報告されており、欧州連合(EU)はこれまで制裁に二の足を踏んでいたエネルギー分野で、遂にロシア産石炭の禁輸に踏み切った。
天然ガスや原油などは影響力が大きいだけに制裁に踏み切っていないが、欧州委員会のベステアー上級副委員長は対ロ制裁について「タブーはなく、あらゆることが検討されている」と述べた。
一段の制裁リスクには注意が必要だ。
そのほか、英国で新変異株「オミクロンXE」が確認されるなどコロナリスクもくすぶり、本決算シーズンを前に当面相場の上値は重いと想定しておいた方がよいだろう。
個別では11日に決算発表予定のSansan (T:4443)に注目。
前回会社計画線の決算だったにも関わらず、金融引き締め懸念が強まるなか赤字決算が嫌気され叩き売られた。
今回も再び引き締め懸念が強まっているタイミングであり、株価反応が注目される。
再び売り込まれるようなことがあると、グロース(成長)株の手掛けにくさがさらに意識される。
一方、今週末に本決算を発表した安川電機 (T:6506)の内容は非常に良かった。
半導体や電気自動車(EV)関連の見直しにつながるか、週明けの株価動向に注目したい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上昇一服か。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め加速への思惑から、長期金利高を手がかりにドル買いは継続するとの見方が多い。
ただし、直近高値の125円台が意識され、利益確定を狙った短期筋などのドル売りが増える可能性もあり、一段のドル上昇を抑制しよう。
複数のFRB当局者が金融引き締めに前向きな見解を示し、米金利高・ドル高の基調が鮮明だ。
特に、バイデン政権に近いとされるブレイナードFRB理事は先日行われた討論会で追加利上げに意欲を示した。
加えて、バランスシート縮小の開始に踏み込み、インフレ対応を強力に後押しする方針を示した。
次回5月3-4日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では0.50ポイントの利上げや保有資産の縮小開始が予想される。
12日発表の消費者物価指数が市場予想と一致、または上回った場合、為替市場はそれを織り込む展開となろう。
一方、円安容認の黒田日銀に対し、政府サイドから「悪い円安」をけん制する発言が相次ぐ。
黒田日銀総裁は4月5日の国会答弁で、最近の為替の変動について「やや急ではないか」と述べているものの、日銀は長期金利の上昇を抑制する方針を堅持しており、市場参加者の間からは「ドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低い」との声が聞かれている。
ただし、3月28日の高値125円09銭とその延長線上にある2015年6月につけた125円86銭は節目の水準として意識されやすい。
124円台では高値警戒感や過熱感が強まるため、利益確定狙いのドル売りが増えることによってドルに下押し圧力が加わることには警戒したい。
■来週の注目スケジュール
4月11日(月):日・工作機械受注(3月)、中・消費者物価指数(3月)、中・生産者物価指数(3月)など
4月12日(火):日・国内企業物価指数(3月)、サークレイスが東証グロースに新規上場、独・ZEW期待指数(4月)、米・消費者物価コア指数(3月)、米・10年債入札、米・ブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)理事がウォールストリートジャーナル(WSJ)のイベントで講演など
4月13日(水):英・消費者物価コア指数(3月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(2月)、米・生産者物価コア指数(3月)、米・30年債入札など
4月14日(木):日・決算発表→ファストリ、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、米・小売売上高(3月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(4月)、米・決算発表→TSMC、モルガンS、ゴールドマン、シティグループなど
4月15日(金):米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(4月)、米・鉱工業生産指数(3月)、米・独・英・仏・印・豪・スイス・加・ブ・南ア・NZ・香港・株式市場は祝日のため休場(グッドフライデー)、米・債券市場は休場、など
予想レンジ:上限28000-下限27000円
来週の日経平均は軟調か。
今月下旬から3月期決算企業の本決算発表が始まるのを前に、米金利動向やウクライナ情勢など外部環境の不透明感がくすぶっており、全体的に手掛けにくさが残る。
一足先に本格化する2月期決算企業の決算内容を受けた個別株物色が中心となりそうだ。
連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、複数の理事が量的引き締め(QT)のペースに上限を設けない方針を支持するなど、総じてタカ派色が濃い内容だった。
事前に連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事の発言があったにも関わらず、議事録公表以降も株式市場はあく抜け感が高まらなかった。
米10年債利回りは2.7%台後半と3年ぶりの高値を付けてきており、名目金利から期待インフレ率の指標とされる米10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利は-0.2%を割り込んできた。
インフレ退治に躍起になっているFRBの姿勢を踏まえれば、実質金利が今後プラスに向かっていくことは時間の問題とみられ、金利の一段の上昇に対する警戒感がくすぶる。
そうしたなか、来週は米国や中国で3月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)の発表がある。
高い伸びは相当に織り込み済みとも考えられるが、足元で再び米金融政策に焦点が移りつつあるなか、予想比での上振れ次第では市場が神経質に反応する可能性がある。
米国では3月の小売売上高も発表されるが、インフレ高進下での消費動向が注目される。
弱い結果となれば、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクが一段と意識され、相場の重しとなろう。
また、14日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会があり、タカ派色の濃い結果となれば、世界的な金利上昇圧力になりかねないため、こちらも注目される。
ウクライナ情勢も予断を許さない状況が続いている。
戦力を喪失しつつあるロシア軍は首都キーウから撤退した一方、ウクライナ東部での新たな攻撃に備えている様子。
旧ソ連の対ドイツ戦勝記念パレードが行われる5月9日までに何らかの勝利の確保を目指しているとも推察されており、更なる情勢悪化のリスクがある。
ロシア軍による民間人の虐殺が多数報告されており、欧州連合(EU)はこれまで制裁に二の足を踏んでいたエネルギー分野で、遂にロシア産石炭の禁輸に踏み切った。
天然ガスや原油などは影響力が大きいだけに制裁に踏み切っていないが、欧州委員会のベステアー上級副委員長は対ロ制裁について「タブーはなく、あらゆることが検討されている」と述べた。
一段の制裁リスクには注意が必要だ。
そのほか、英国で新変異株「オミクロンXE」が確認されるなどコロナリスクもくすぶり、本決算シーズンを前に当面相場の上値は重いと想定しておいた方がよいだろう。
個別では11日に決算発表予定のSansan (T:4443)に注目。
前回会社計画線の決算だったにも関わらず、金融引き締め懸念が強まるなか赤字決算が嫌気され叩き売られた。
今回も再び引き締め懸念が強まっているタイミングであり、株価反応が注目される。
再び売り込まれるようなことがあると、グロース(成長)株の手掛けにくさがさらに意識される。
一方、今週末に本決算を発表した安川電機 (T:6506)の内容は非常に良かった。
半導体や電気自動車(EV)関連の見直しにつながるか、週明けの株価動向に注目したい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上昇一服か。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め加速への思惑から、長期金利高を手がかりにドル買いは継続するとの見方が多い。
ただし、直近高値の125円台が意識され、利益確定を狙った短期筋などのドル売りが増える可能性もあり、一段のドル上昇を抑制しよう。
複数のFRB当局者が金融引き締めに前向きな見解を示し、米金利高・ドル高の基調が鮮明だ。
特に、バイデン政権に近いとされるブレイナードFRB理事は先日行われた討論会で追加利上げに意欲を示した。
加えて、バランスシート縮小の開始に踏み込み、インフレ対応を強力に後押しする方針を示した。
次回5月3-4日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では0.50ポイントの利上げや保有資産の縮小開始が予想される。
12日発表の消費者物価指数が市場予想と一致、または上回った場合、為替市場はそれを織り込む展開となろう。
一方、円安容認の黒田日銀に対し、政府サイドから「悪い円安」をけん制する発言が相次ぐ。
黒田日銀総裁は4月5日の国会答弁で、最近の為替の変動について「やや急ではないか」と述べているものの、日銀は長期金利の上昇を抑制する方針を堅持しており、市場参加者の間からは「ドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低い」との声が聞かれている。
ただし、3月28日の高値125円09銭とその延長線上にある2015年6月につけた125円86銭は節目の水準として意識されやすい。
124円台では高値警戒感や過熱感が強まるため、利益確定狙いのドル売りが増えることによってドルに下押し圧力が加わることには警戒したい。
■来週の注目スケジュール
4月11日(月):日・工作機械受注(3月)、中・消費者物価指数(3月)、中・生産者物価指数(3月)など
4月12日(火):日・国内企業物価指数(3月)、サークレイスが東証グロースに新規上場、独・ZEW期待指数(4月)、米・消費者物価コア指数(3月)、米・10年債入札、米・ブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)理事がウォールストリートジャーナル(WSJ)のイベントで講演など
4月13日(水):英・消費者物価コア指数(3月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(2月)、米・生産者物価コア指数(3月)、米・30年債入札など
4月14日(木):日・決算発表→ファストリ、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、米・小売売上高(3月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(4月)、米・決算発表→TSMC、モルガンS、ゴールドマン、シティグループなど
4月15日(金):米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(4月)、米・鉱工業生産指数(3月)、米・独・英・仏・印・豪・スイス・加・ブ・南ア・NZ・香港・株式市場は祝日のため休場(グッドフライデー)、米・債券市場は休場、など