執筆:Peter Nurse
Investing.com - 欧州時間1日、ドルは下落し、5カ月ぶりに月次ベースで下落となりそうだ。リスク環境が落ち着き、米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めサイクルが一服するとの見方が高まったことが重しとなった。
米国東部時間午前3時55分、他の6つの通貨バスケットに対して米ドルを追跡するドル・インデックスは、0.2%低い101.510で取引され、5月の初めにみられた20年来の高値105.010から着実に低下している。
また、EUR/USDは0.2%上昇の1.0753、GBP/USDは0.2%上昇の1.2637と先週の大幅な上昇を維持、リスクに敏感なAUD/USDは0.7184、{{8|NZD/USD}は0.6549でいずれも3週間の高値付近に上昇。
ボラティリティは、メモリアル・デーの祝日で米国の株式市場と債券市場が休場のため、月曜日は低位になりそうだが、中国からコロナ禍措置の緩和に関するポジティブなニュースが出たことが、リスク選好を後押ししている。
上海は6月1日から企業に対する規制を撤廃すると発表し、北京は公共交通機関とショッピング・モールのそれぞれ一部を再開した。
その結果、USD/CNYは0.7%下落の6.6507となり、都市封鎖の解除が進んだことが人民元を押し上げることとなった。
中国は火曜日と水曜日に製造業PMIと非製造業PMIの先行指標を発表する予定である。これらはコロナ規制が世界第2位の経済大国にもたらした景気減速の程度を知る手がかりとして注目される。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後2カ月間にわたって積極的な利上げを行った後、景気後退を防ぐために利上げサイクルを一時停止するのではないかとの見方が広がり、リスク心理が回復し、ドル円は軟調な状況に置かれている。
投資家は今週、FRBのウォーラー理事を筆頭に、複数のFRB高官から話を聞く機会を得るが、今週は多くの米国経済指標の発表があり、その中でも特に注目を集めるのが雇用統計である。
金曜日の5月の非農業部門雇用者数は、労働市場が依然として堅調であることを示すと予想され、エコノミストは5月に32万人の雇用が増加し、失業率は3.5%に下がると予測している。
欧州では、ドイツとスペインの消費者インフレ・データの発表が月曜日遅くに予定されており、火曜日の最新のユーロ圏インフレ速報値の発表に先立って注目される。
さらに欧州各国政府は、ウクライナ侵攻に対する制裁として、ロシアの石油を禁止する可能性を含む、対露制裁措置の第6次パッケージを議論するために、会期後半に2日間の会議を開始する予定である。
INGのアナリストは、「世界のリスク環境の大幅な改善と、短期金利差のさらなるドル高傾向の拡大という組み合わせはあり得ないと考えており、したがって(現在はそれほど買われていない)ドルがすぐに底値をみつけると予想している」と、メモで述べている。
「つまり、EUR/USD が今後数日のうちに 1.0700 以下に戻ることは、上昇するよりも可能性が高いということだ」。