[東京 9日 ロイター] - ドル/円 JPY= ユーロ/ドル< EUR=> ユーロ/円 EURJPY= 正午現在 120.89/91 1.0841/45 131.07/11 午前9時現在 120.74/76 1.0842/46 130.92/96 NY午後5時 120.79/80 1.0843/46 131.02/06
正午のドル/円は、先週末ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドルややドル高/ 円安の120円後半だった。米雇用統計の強い数字を受けたドル高の地合いが意識され、 底堅く推移した。
朝方には、先週末の米株安や10─12月期GDP2次速報の下方修正を嫌気して日 経平均株価がマイナス幅を拡大する中、ドル/円もやや弱含んで推移した。ただ、ドル/ 円の下落は限定的なものにとどまり、市場では「株価の一定の下げは織り込んでいた。株 価がさらに大きく崩れないようなら、ドル/円も底堅いのではないか」(国内証券)との 声が出ていた。 仲値公示にかけては輸入企業の買いが支えとなり、じり高で推移した。輸出企業の売 りが出て頭が押さえられた面も意識されたが「下落するほどの圧力にはならなかった」( 国内金融機関)という。正午にかけては日経平均株価が下落幅を縮め、ドル/円も底堅い 動きとなった。
朝方に内閣府が発表した2014年10─12月期実質国内総生産(GDP)2次速 報値は、1次速報値から下方改定となった。前期比はプラス0.4%(1次速報値プラス 0.6%)、年率換算ではプラス1.5%(1次速報値プラス2.2%)。ロイターの事 前予測調査では、中央値は前期比プラス0.6%、年率プラス2.2%と、1次速報から 変わらない見通しとなっていた。
財務省が発表した国際収支状況速報で1月の経常収支は、614億円の黒字だった。 経常収支の黒字は7カ月連続となる。1月としては東日本大震災前の2011年以来、4 年ぶりに黒字に転換した。
一方、中曽宏日銀副総裁は松山市内で講演し、物価の基調に変化が生じ2%物価安定 目標の早期実現にとって必要となれば政策調整を行う、などの見解を示した。
<ドル/円は緩やかな上昇か>
目先のドル/円の動きについて「上昇は緩やかになりそうだ」(国内金融機関)との 指摘があった。米雇用統計の強い数字を受けてドルは主要通貨に対し全面高の様相となっ たが、円もドル以外の通貨に対してはしっかり推移したことが背景にある。 ドルの主要6通貨に対するドル指数 .DXY は、米雇用統計後に強含み、一時11年半 ぶり高水準となる97.828まで上昇した。こうした中でドル/円は121円台に急伸 したものの、円もユーロやポンド、豪ドルなどに対し強含んだ。 「このところの米雇用統計後の反応とは違うパターン。昨秋までなら雇用統計が強け れば円売り主導となったが、ユーロという円より弱い通貨が台頭し、お株を奪われた格好 だ」(同)との指摘が出ていた。 米雇用統計を経てレンジが120─121円前半程度に1円程度、切り上がったとの 指摘も出ていた。底堅さが意識される半面、米雇用統計の織り込みだけで買い上げていく 様子も見られないといい、「米小売売上高の発表まで材料がない中で、121円半ばを試 すようなドル買いの流れは想定しにくい」(邦銀)との見方が出ていた。 ポイントになりそうなのは、米雇用統計発表後に売りが強まった新興国相場や米株価 のきょう以降の動向で「さらに崩れるようなら、日本株も調整基調が強まってドル/円の 上値も重くなりやすい」(別の邦銀)との指摘が出ていた。 先週末発表の米2月雇用統計は市場の予想を上回る結果となり、米連邦準備理事会( FRB)が今月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利の道筋を示すフォワード ガイダンスから「忍耐強く」の文言を削除し、6月の利上げに向けた地ならしをするとの 見方が強まった。
<ユーロはショートカバーに警戒でも根強い先安観>
ユーロ/ドルは朝方から弱含んで推移し、朝方に一時1.0822ドルまで下落した 。先週は欧州中央銀行(ECB)が量的緩和策の詳細を発表した後に2003年9月以来 、11年半ぶりに1.10ドルの大台を割り込み、米雇用統計発表後にはさらに売り込ま れていた。 短期筋の売り持ち高が積み上がっており「さすがに売られ過ぎ。値ごろ感が出てきて いる」(国内金融機関)と、いったんショートカバーが入るのではないかとの警戒感が出 ている一方、米雇用統計の強い数字を受け「米欧の金融政策の方向性の違いが鮮明になっ ている。積極的にユーロを買えるような材料もなく、底打ち感はまだ出ていない」(国内 証券)との声もあった。 市場ではユーロについて「リアルマネーの一部から売りが出たとの観測がある。腰の 入った投資家も、ユーロの先安観を強めているようだ」(国内金融機関)との指摘も出て いた。米欧の政策差からユーロが売られやすい地合いが強まっている上、ギリシャ情勢も 依然「リスクの火種がくすぶっている」(同)と指摘される。 きょうはユーロ圏財務相会合があり、ギリシャの財政問題が再び市場で意識されやす いという。ギリシャは4月末までに新政権が財政再建の実行計画をまとめる必要があるが 、与党内からの反発も伝えられ難航すると見られる。ユーロは売り持ち高の積み上がりか らショートカバーへの警戒も根強いが「先行き数カ月は下値不安もつきまといそうだ」( 同)との声が出ていた。
(為替マーケットチーム)