(決算速報)
イトーキ<7972>(東証プライム)は11月14日に22年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。需要が好調に推移し、構造改革プロジェクト推進も寄与して大幅増益だった。ワークプレイス事業はニューノーマル時代の新しい働き方にあわせたオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調だった。設備機器・パブリック事業では大型案件も寄与した。そして通期も大幅増益予想(8月8日付で上方修正)としている。構造改革プロジェクトの推進で体質改善効果も継続する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は8月の年初来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。
■22年12月期3Q累計大幅増益で通期も大幅増益予想
22年12月期第3四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比7.0%増の899億61百万円で、営業利益が2.4倍の40億86百万円、経常利益が2.5倍の41億25百万円、親会社株主帰属四半期純利益が4.1倍の35億17百万円だった。
需要が好調に推移し、構造改革プロジェクトの推進による売上総利益率上昇や販管費抑制なども寄与して大幅増益だった。特別利益では固定資産売却益が減少(前年同期は11億83百万円計上、今期は1億39百万円計上)したが、子会社Global Treehouseの解散に伴う債務免除益7億79百万円を計上した。特別損失では前期計上の減損損失8億64百万円が剥落した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が15億31百万円増加、売上原価が12億33百万円増加、営業利益、経常利益、および税金等調整前四半期純利益がそれぞれ2億97百万円増加している。
ワークプレイス事業は売上高が5.1%増の632億05百万円、セグメント利益(営業利益)が66.7%増の24億47百万円だった。ニューノーマル時代の新しい働き方にあわせたオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調だった。原材料価格高騰の影響があったが、増収効果に加えて、構造改革プロジェクトの推進によって売上総利益率が改善した。
設備機器・パブリック事業は売上高が13.0%増の254億91百万円、営業利益が2.4倍の12億57百万円だった。子会社ダルトンにおいて前期受注したサイエンスパークなどの大型案件が牽引し、物流設備の需要も好調だった。
IT・シェアリング事業は売上高が6.2%減の12億円、営業利益が3億25百万円の黒字(前年同期は3億15百万円の赤字)だった。Global Treehouseの解散で黒字転換した。またシステム開発事業、システム検証事業、オフィス空間シェア事業が堅調に推移した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高353億45百万円で営業利益39億64百万円、第2四半期は売上高284億11百万円で営業利益4億07百万円、第3四半期は売上高262億05百万円で営業利益2億85百万円の赤字だった。収益はオフィス移転シーズンにあたる上期(特に第1四半期)偏重の特性がある。
通期の連結業績予想(8月8日付で上方修正)は据え置いて、売上高が21年12月期比6.1%増の1230億円、営業利益が56.2%増の40億円、経常利益が64.1%増の40億円、親会社株主帰属当期純利益が2.3倍の27億円としている。配当予想は21年12月期と同額の15円(期末一括)としている。
重点戦略として、中期経営計画に基づいた構造改革プロジェクトを推進し、ポストコロナの「働く環境」つくりでリードしていくための商品・サービスの展開を本格化する方針だ。そしてワークプレイス事業ではオフィス移転・リニューアル商談が増加傾向であり、設備機器・パブリック事業では大型案件も寄与する。構造改革プロジェクトの推進で体質改善効果も継続する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は8月の年初来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。11月15日の終値は440円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS59円63銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS992円89銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約201億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)