*17:32JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:メジャーSQ、米ISM非製造業、毎月勤労統計調査
■株式相場見通し
予想レンジ:上限33400円-下限31900円
来週の東京株式市場は強含みか。
主要株価指数は続伸劇を見せており、TOPIXは週末に1カ月ぶりにバブル崩壊後の高値を更新した。
出遅れている日経平均も25日線や75日線に続いて、50日線、13週線の上値抵抗線を上抜いた。
米国でもナスダック指数とS&P500種株価指数が25日線、50日線、13週線を上抜いている。
ダウ平均は75日線手前に伸び悩んでいるが、日米ともにテクニカルな好転は鮮明だ。
8月29日まで8日連続で2兆円台にとどまっていた東証プライムの売買代金は今週末にかけて3日連続で3兆円以上を記録し、商いも徐々に戻ってきた。
来週末は9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)を迎える。
地合いが改善しているなか、メジャーSQに向けて買い戻しが続けば、日経平均が33000円を捉える可能性はありそうだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル終了期待の高まりが地合いを改善させている。
米供給管理協会(ISM)の製造業景況指数が予想を上回り、雇用や価格の項目が上昇したほか、来週以降の企業の起債を見越した動きで週末の米10年債利回りは上昇したが、8月に付けた高値にはまだ距離がある。
ISMとその項目である雇用と価格も上昇したとはいえ、拡大・縮小の境界値である50は下回っている。
また、注目された米雇用統計では失業率が3.8%と予想(3.5%)を大きく上回り、平均時給の伸びは前月比で+0.2%と予想(+0.3%)を下回った。
米雇用動態調査(JOLTS)やADP全体雇用リポートに続いて労働市場の逼迫緩和を示唆する結果となっており、利上げサイクル終了期待は根強く続くだろう。
中国経済に対する投資家心理が改善してきている点も支援材料になる、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出後、中国からのインバウンド需要の期待が後退していることはネガティブではある。
一方で、中国国家統計局が発表した8月購買担当者景気指数(PMI)は、非製造業は予想を下回ったが、製造業は予想を上回った。
また、中小企業までより広い範囲を対象とした民間版の財新製造業PMIは51.0と前月(49.2)から回復し、悪化するとの予想(49.0)に反して景況感の拡大・縮小の境界値である50を上回った。
さらに、中国の金融監督当局は住宅購入者を対象に頭金や既存住宅ローン金利の引き下げなどの対策を講じた。
構造的な問題を抱える中国経済の本格的な回復は当面見込みにくいものの、投資家心理の悪化の歯止めに寄与し、株式市場に対する影響という点では最悪期を脱した可能性がありそうだ。
他方、原油市況が上昇してきていることは利上げサイクル終了期待を一部相殺し、今後の米金融政策の不透明感を強めそうだ。
ユーロ圏の8月消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、欧州の金融引き締め長期化を想起させる材料が確認されていることも気がかり。
また、為替の円安に頭打ち感が出てきていることは日本株の重荷になり得る。
ほか、足元の日米の株式市場の堅調さは、デリバティブ取引のSQに向けた需給面での一時的要因によるものに過ぎない可能性もある。
日本では来週末8日が、米国では翌週の15日がそれぞれSQになる。
その後の19-20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)、21-22日には日本銀行の金融政策決定会合が開催される。
スケジュール的にもSQを境に買いが一服する可能性はあり、足元の株式市場の強さは期間限定である可能性を意識しておきたい。
来週末、国内ではメジャーSQに加えて毎月勤労統計調査、景気ウォッチャー調査にも注目したい。
前回の勤労統計調査では賃金の伸びが予想を大きく下回った。
予想対比での下振れは日銀の金融緩和の長期化を正当化する一方、一段の円安を通じた輸入インフレの再燃、ひいては個人消費の下振れにつながりかねないため、株式市場にとっては強弱感が混在し、市場の反応には注意したい。
景気ウォッチャー調査では国内景況感が海外に比して堅調であるという、日本株買いの一つの要因とされている事実について確かめたい。
海外では7日に発表される中国の貿易収支に注目。
中国経済に対する強い警戒感は和らぎつつあるが、こうした見方をさらに支援してくれるかどうかを見極めたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。
日本政府による為替介入への警戒感から、リスク選好的な円売りは抑制されると予想され、ドルの下押し要因になりやすい。
FEDウォッチによると、9月19-20日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きが9割近く織り込まれている。
ただ、米追加利上げの可能性は残されており、再来週発表される米経済指標が市場予想を上回った場合、金利高・ドル高に振れやすい。
直近発表の消費者信頼感指数やJOLT求人件数、コアPCE価格指数は低調な内容が目立ったが、再来週発表の経済指標でISM非製造業景況感指数が堅調なら引き締め観測を支える材料になろう。
一方、中国経済の不透明感は引き続きリスク回避の円買い要因だが、足元で中国経済の現状について過度な懸念は一服している。
習政権による資本市場の活性化策で中国・香港株が堅調さを維持できれば、株高を背景とした円売りがドルをサポートしよう。
■来週の注目スケジュール
9月4日(月):米・株式市場は祝日のため休場(レーバーデー)、独・国際モーターショー「IAAモビリティ2023」のプレスデー、など
9月5日(火):日・家計支出(7月)、中・財新サービス業PMI(8月)、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・製造業受注(7月)、など
9月6日(水):日・トヨタが新車発表会、米・貿易収支(7月)、加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・ISM非製造業総合景況指数(8月)、米・ボストン連銀総裁が講演、米・ダラス連銀総裁がイベント参加、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表、など
9月7日(木):日・東京オフィス空室率(8月)、米・労働生産性(4-6月)、中・貿易収支(8月)、米・フィラデルフィア連銀総裁が講演、米・ニューヨーク連銀総裁がイベントに参加、米・アトランタ連銀総裁が講演、など
9月8日(金):日・毎月勤労統計(7月)、日・実質賃金総額(7月)、日・国際収支(経常収支)(7月)、日・景気ウォッチャー調査(8月)、米・消費者信用残高(7月)、など
9月9日(土):中・消費者物価指数(CPI)(8月)、中・卸売物価指数(PPI)(8月)
予想レンジ:上限33400円-下限31900円
来週の東京株式市場は強含みか。
主要株価指数は続伸劇を見せており、TOPIXは週末に1カ月ぶりにバブル崩壊後の高値を更新した。
出遅れている日経平均も25日線や75日線に続いて、50日線、13週線の上値抵抗線を上抜いた。
米国でもナスダック指数とS&P500種株価指数が25日線、50日線、13週線を上抜いている。
ダウ平均は75日線手前に伸び悩んでいるが、日米ともにテクニカルな好転は鮮明だ。
8月29日まで8日連続で2兆円台にとどまっていた東証プライムの売買代金は今週末にかけて3日連続で3兆円以上を記録し、商いも徐々に戻ってきた。
来週末は9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)を迎える。
地合いが改善しているなか、メジャーSQに向けて買い戻しが続けば、日経平均が33000円を捉える可能性はありそうだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル終了期待の高まりが地合いを改善させている。
米供給管理協会(ISM)の製造業景況指数が予想を上回り、雇用や価格の項目が上昇したほか、来週以降の企業の起債を見越した動きで週末の米10年債利回りは上昇したが、8月に付けた高値にはまだ距離がある。
ISMとその項目である雇用と価格も上昇したとはいえ、拡大・縮小の境界値である50は下回っている。
また、注目された米雇用統計では失業率が3.8%と予想(3.5%)を大きく上回り、平均時給の伸びは前月比で+0.2%と予想(+0.3%)を下回った。
米雇用動態調査(JOLTS)やADP全体雇用リポートに続いて労働市場の逼迫緩和を示唆する結果となっており、利上げサイクル終了期待は根強く続くだろう。
中国経済に対する投資家心理が改善してきている点も支援材料になる、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出後、中国からのインバウンド需要の期待が後退していることはネガティブではある。
一方で、中国国家統計局が発表した8月購買担当者景気指数(PMI)は、非製造業は予想を下回ったが、製造業は予想を上回った。
また、中小企業までより広い範囲を対象とした民間版の財新製造業PMIは51.0と前月(49.2)から回復し、悪化するとの予想(49.0)に反して景況感の拡大・縮小の境界値である50を上回った。
さらに、中国の金融監督当局は住宅購入者を対象に頭金や既存住宅ローン金利の引き下げなどの対策を講じた。
構造的な問題を抱える中国経済の本格的な回復は当面見込みにくいものの、投資家心理の悪化の歯止めに寄与し、株式市場に対する影響という点では最悪期を脱した可能性がありそうだ。
他方、原油市況が上昇してきていることは利上げサイクル終了期待を一部相殺し、今後の米金融政策の不透明感を強めそうだ。
ユーロ圏の8月消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、欧州の金融引き締め長期化を想起させる材料が確認されていることも気がかり。
また、為替の円安に頭打ち感が出てきていることは日本株の重荷になり得る。
ほか、足元の日米の株式市場の堅調さは、デリバティブ取引のSQに向けた需給面での一時的要因によるものに過ぎない可能性もある。
日本では来週末8日が、米国では翌週の15日がそれぞれSQになる。
その後の19-20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)、21-22日には日本銀行の金融政策決定会合が開催される。
スケジュール的にもSQを境に買いが一服する可能性はあり、足元の株式市場の強さは期間限定である可能性を意識しておきたい。
来週末、国内ではメジャーSQに加えて毎月勤労統計調査、景気ウォッチャー調査にも注目したい。
前回の勤労統計調査では賃金の伸びが予想を大きく下回った。
予想対比での下振れは日銀の金融緩和の長期化を正当化する一方、一段の円安を通じた輸入インフレの再燃、ひいては個人消費の下振れにつながりかねないため、株式市場にとっては強弱感が混在し、市場の反応には注意したい。
景気ウォッチャー調査では国内景況感が海外に比して堅調であるという、日本株買いの一つの要因とされている事実について確かめたい。
海外では7日に発表される中国の貿易収支に注目。
中国経済に対する強い警戒感は和らぎつつあるが、こうした見方をさらに支援してくれるかどうかを見極めたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。
日本政府による為替介入への警戒感から、リスク選好的な円売りは抑制されると予想され、ドルの下押し要因になりやすい。
FEDウォッチによると、9月19-20日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きが9割近く織り込まれている。
ただ、米追加利上げの可能性は残されており、再来週発表される米経済指標が市場予想を上回った場合、金利高・ドル高に振れやすい。
直近発表の消費者信頼感指数やJOLT求人件数、コアPCE価格指数は低調な内容が目立ったが、再来週発表の経済指標でISM非製造業景況感指数が堅調なら引き締め観測を支える材料になろう。
一方、中国経済の不透明感は引き続きリスク回避の円買い要因だが、足元で中国経済の現状について過度な懸念は一服している。
習政権による資本市場の活性化策で中国・香港株が堅調さを維持できれば、株高を背景とした円売りがドルをサポートしよう。
■来週の注目スケジュール
9月4日(月):米・株式市場は祝日のため休場(レーバーデー)、独・国際モーターショー「IAAモビリティ2023」のプレスデー、など
9月5日(火):日・家計支出(7月)、中・財新サービス業PMI(8月)、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・製造業受注(7月)、など
9月6日(水):日・トヨタが新車発表会、米・貿易収支(7月)、加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・ISM非製造業総合景況指数(8月)、米・ボストン連銀総裁が講演、米・ダラス連銀総裁がイベント参加、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表、など
9月7日(木):日・東京オフィス空室率(8月)、米・労働生産性(4-6月)、中・貿易収支(8月)、米・フィラデルフィア連銀総裁が講演、米・ニューヨーク連銀総裁がイベントに参加、米・アトランタ連銀総裁が講演、など
9月8日(金):日・毎月勤労統計(7月)、日・実質賃金総額(7月)、日・国際収支(経常収支)(7月)、日・景気ウォッチャー調査(8月)、米・消費者信用残高(7月)、など
9月9日(土):中・消費者物価指数(CPI)(8月)、中・卸売物価指数(PPI)(8月)