[ニューヨーク 5日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではドルが主要通貨バスケットに対し上昇し、6カ月ぶり高値に迫った。中国をはじめ、世界の成長鈍化を巡る懸念から、安全資産としてのドルへの投資妙味が強まった。
財新/S&Pグローバルが5日発表した8月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は、昨年12月以来の低水準を付けた。
また、8月のユーロ圏の景況感は主要産業のサービスが縮小に転じ当初の想定以上に悪化した。
コンベラのシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は「中国と欧州が主導する世界的な成長減速への懸念が高まっており、それに伴い、逃避先としてドルが買われている」と指摘。「同時に米インフレの高止まりによって、米連邦準備理事会(FRB)が近く利下げに動くという期待は薄れている」と述べた。
ウォラーFRB理事は5日、直近で発表された一連の経済データはFRBに利上げの必要性を見極める余地を与えていると述べた。さらに、FRBが利上げ終了を宣言するにはさらなるデータが必要としたほか、あと1回の利上げでリセッション(景気後退)に陥る可能性は低いと言及。インフレ率が低下するまでFRBは利上げを継続する必要があるとの見方を示した。
主要6通貨に対するドル指数は一時104.85と、約6カ月ぶりの高値を付けた後、終盤の取引では0.62%高の104.8。
ユーロ/ドルは一時1.07225ドルと、約3カ月ぶり安値を付けた。その後は0.69%安で推移した。
ドルはオフショア人民元に対し0.36%高の1ドル=7.3035元。
豪ドル/米ドルは1.29%下落し、10カ月ぶり安値を更新。中国の経済成長減速を巡る懸念に加え、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が5日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを4.10%に据え置いたことが材料視された。
ドル/円は10カ月ぶり高値となる147.8円を付けた。トレーダーは引き続き、日本当局が為替市場に介入する兆しを注視している。
ポンド/ドルも一時12週間ぶり安値を付けた後、終盤は0.5%安の1.2565ドル。S&Pグローバル/CIPSが発表した8月の英国のサービス部門PMI改定値は、好不況の分かれ目となる50を1月以来初めて下回った。
暗号通貨では、ビットコインが0.29%安の2万5743ドルと、12週間ぶりの安値近辺で推移した。
ドル/円 NY終値 147.71/147.73
始値 147.21
高値 147.80
安値 147.10
ユーロ/ドル NY終値 1.0720/1.0724
始値 1.0737
高値 1.0748
安値 1.0708