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中東情勢に市場は静観【フィスコ・コラム】

発行済 2023-11-12 09:00
更新済 2023-11-12 09:15
*09:00JST 中東情勢に市場は静観【フィスコ・コラム】 イスラム組織ハマスとの紛争でイスラエルの通貨シェケルは大きく値を下げた後、急激に値を戻しています。
中東の不安定化はなお警戒されるものの、攻撃開始から1カ月で金融市場はひとまず静観のもようです。
現時点で混迷は想定内との見方があるようです。



イスラエルシェケルは紛争が勃発した10月7日以降、対ドルで11年ぶりの安値圏に大きく値を切り下げましたが、その後は回復に転じ10月初旬の水準まで持ち直しています。
同国の10年債利回りと代表的な株価指数TA35もそれに沿った値動きです。
ドルや円、スイスフランといった安全通貨への買いは後退したほか、NY株式市場はダウなど主要指数が10月下旬から連続してプラスを確保しています。



市場関係者は地政学リスクを注視しながらも、10月下旬から11月上旬にかけての日本やアメリカ、イギリスの各中銀による政策決定、米雇用統計など、他の重要イベントに関心を向けました。
その間、戦況は悪化し、イスラエルとパレスチナ自治区ガザでの犠牲者は1万人を越えました。
とはいえ、ハマスやヒズボラを支援するイランがイスラエルへの攻撃に加わる事態とはならず、現時点では様子見ムードのようです。



もちろん、まだ目を離せる状況ではありません。
イスラエルの閣僚は核攻撃に言及。
同国は正式には認めていないものの、1960年代から核技術開発を推進しており、ラピド前首相は昨年、保有を示唆しました。
一方、1980年代にウラン濃縮計画に着手したイランも、最高指導者ハメネイ師は宗教上の信念で保有を求めていないとしながらも、対西側の「カード」と考えているフシがあります。



一歩踏み間違えれば最悪のケースに発展しかねない緊張状態であるものの、過度なリスクオフのムードは短期的に抑制されています。
その理由として、国際世論がイスラエル側の反撃への支持に慎重である点が挙げられます。
国連総会では、イスラエルによる占領を問題視し人道的休戦を求めたヨルダン提出の決議案を賛成多数で採択。
バイデン米大統領も露骨なイスラル支援を手控え、戦闘休止を提案しています。



ある市場関係者は「事態が悪化すれば再びリスクオフの相場展開になる」と指摘。
ただ、ニューヨーク中心部でユダヤ系住民がイスラエルにガザへの攻撃をやめるよう抗議活動を展開していることなどから、戦火の広がりは抑えられるのではないかと期待しているようです。
同関係者は現時点で「状況を見守っているところ」と話しています。

(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


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